心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder)


メディアなどで使われる「PTSD」という言葉。

心の深い傷(トラウマ)の後遺症として現れる心的外傷後ストレス障害のことです。

くわしいお話・説明は
こちらのサイト をごらんになると理解が深まると思います。


PTSDについて・はじめに

●PTSDとはそもそも 重大かつ劇的な外傷的といえる出来事を体験した後、 生じる可能性のある精神障害で、

簡単に説明すると

事故・震災・レイプ・DV・幼児期の虐待 など。
その強烈な出来事により心の深い傷が癒えず、心の状態が不安定になってしまった人に対して診断される
DSM-Wの診断名の一つです。



PTSD・特徴

PTSDが病気の一つとして精神科医たちに取り上げられるようになったのは
DMS-Vが発表された1980年からです。

しかし戦争によるトラウマ後遺症としてはもっと以前から取り上げられていました。


PTSDは主に二つの症状にまとめられています。


●侵入性反応

●感情鈍麻性反応

この二つです
(→詳しくは後述)




主な症状は・・・

◆侵入性反応◆
特徴:過剰な活動性

日常生活で思いがけないような出来事に心を痛めるといった経験は誰にでもあることです。
しかし、人はその出来事を
思い出す たび「大変なことになった」というショッキングな気持ちや
「なんでこんなことになってしまったんだ」という怒りの感情がよみがえってきます。

それを何回か繰り返すうちに、その出来事を思い出しても、激しい感情が次第に薄れていき、最後には「大したことないではないか」というふうに思えてくるようになります。
つまり、繰り返し思い出したり、その思い出を話したりすることで、その体験を消化し、既存の認知的枠組みに取り込むことに成功します。

しかし、PTSDになるような体験はその人の認知的枠組みに組み込まれることなく、どれだけ時間が経過しても過去の思い出とはならない のです。
とう言うのも、その記憶はまるで「瞬間冷凍された体験」のように生々しく保存されてしまうからです。

自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心が自らを守るために、それを瞬間冷凍してしまうためです。
それによって、その体験に関するさまざまな記憶、例えば視覚や聴覚などの諸感覚の記憶、情緒や感情、その際に抱いた考えや思考などは
とりあえずひとかたまりとなり、心の他の領域に影響を及ぼさなくなります。

通常の記憶の場合には時間が経つにつれその質が変化していくものですが、このトラウマは「瞬間冷凍」であるため、鮮度はずっと保たれてます。
かなり時間が経過した後、何らかの理由で瞬間冷凍された体験が解けた場合、
そこに凍り付いていた記憶の一部は、非常に生々しいかたちで心に侵入してくるのです。
(「子どものトラウマ」西澤哲)


侵入性反応は はっきりとしていて分かりやすい反応と言えます。

「何かやっていなくてはいられない」という過剰に昂ぶった状態・興奮状態。
→アルコール乱用・薬物乱用などの嗜癖(アディクション=有害な習慣)にはまり込んで人も。
(怒りの爆発 という状態もこの時に見られる)


■驚愕反応とパニック■
例) ●ベトナム戦争から帰還した人がヘリコプターの音を聞いただけでその場から逃げ出そうとする。
●エレベーターの中でレイプされた女性が エレベーターの前で立ちすくんでしまう。
●突然興奮したり、過度の不安状態になる。

■侵入性回想■
とても嫌な、思い出したくない記憶が 何も関係のない場所で(たとえば静かに読書している時などに)
フッと意識の中に侵入してくること。これが夢に出てくると、悪夢となります。

そうした回想が、事件当時に感じた恐怖や冷や汗などの生理反応と一緒になって 再体験されることを
フラッシュバックと言います。


■その他■
●トラウマ体験を思い起こさせる刺激(トラウマ体験と同じ様な場面、例えば音、臭い、場所、時等)が引き金にする事が多い。
●子どもの場合、トラウマ体験を思わせる遊び(ポスト・トラウマティック・プレイ)や話を繰り返す。


トラウマの再演*再演技化(リイナクトメント)とは。  (イナクト=劇を上演するという意味)

この症状で誤解しないでほしいのは、「演じる」と言っても故意にやっているわけではなく、
無意識に演じてしまう という事。

例) ●性的虐待を受けた人が売春に走ってしまう。(もう一度性被害にあうような状況に持って行ってしまう)
●ベトナム戦争から帰還した人が帰国後殺人を繰り返したり、他国の軍隊に雇われ戦争に参加し続けたりする。


この行動の意味としては
過去に自分がコントロールできなかった状況での心の傷を
自分の身を 同じ状況に置く事によって再現し、それによってその状況を 自分の意思と力で
今度こそ支配しようとする試み として解釈されています。

フロイトはこれを「抑圧されたものの回帰」と呼んでいます。

もともと心理的防衛のために 自分の意識から排除されていたのに
ストレスが本人にとって、あまりにも強かったので 抑圧していた部分が 
また「こんにちわ」と戻って来て(自分で無意識に戻して)しまうのです。


□解離性フラッシュバック(作成中)□

◆感情鈍麻性反応◆
特徴:精神活動の萎縮・感情が鈍くなる

侵入性症状は思い出したくないのに思い出させてしまうというものですが、回避性症状(狭窄・反応麻痺)は健忘のように
トラウマとなった体験を思い出させないようにするものです。
一見正反対ともいえるような状態が同居していることをどう理解すればいいのでしょうか。

この事を理解するためには、先に述べた「体験の瞬間冷凍」という考え方が役に立つと思われます。

回避性(狭窄)の症状はトラウマ体験を思い出させるきっかけとなりうる刺激を避けようとするものであり、
瞬間冷凍されたトラウマが解凍されて自己を抑制したり、あるいは解体してしまうような状態を避けようとする 意味が含まれています。
一方、侵入性の症状はある意味ショッキングな体験に対する通常の反応と類似したものであると言えましょう。

このようにしてみてみると、一見正反対にみえる回避性症状(狭窄)と侵入性症状はいづれもトラウマから自己を守ったり、
あるいはトラウマを解消しようとするこころの動きが固定化し、何らかの不適応をもたらす症状になったものと理解できるでしょう。
(「子どものトラウマ」西澤哲)


感情鈍麻性反応は分かりづらく、見落としの多い反応です。

例えば、強姦の被害にあった人が それから五年後にも無気力で憂鬱な状態が続いたとします。
しかし不安パニックや悪夢などは 最初の半年で収まってしまっていたとする。
そうすると、事件の影響はその半年のうちに収まっていて後に残った無気力や憂鬱は
その人の「もともとの病気であった」と解釈されてしまう。

しかし驚愕反応や悪夢などがなくなり
患者本人が表面上は平穏で落ち着いているように見えたとしても
良く観察すると 事件以後、深刻な人格変化が生じている場合があるのです。

派手な症状
●震え ●急な発汗 ●毛が逆立つ
これらが消えても、人間関係において深い情緒的な関係を避けてしまうことになりがちです。


■兆候■
●友人関係を鬱陶しいと感じるようになる。
●配偶者や恋人との関係が以前ほど親密なものでなくなる。
●新しい人間関係を作りなおすことを躊躇する。
●「こんな思いをしながら どうして生きていなきゃならないのか」という気持ちが芽生える。
●「人生なんて何も面白いものはない。生きる価値なんてない」という感覚になる。
→■失感情症■身体的にも精神的にも痛みの感覚が鈍麻したり なくなってしまったりする。


そして人間関係での信頼が失われ、閉じこもりの精神になってしまいます。

トラウマの人格変化については、H・クリスタルという人の意見が妥当とされています。
具体的には
第二次世界大戦の生き残り、特にホロコースト(ナチスの行ったユダヤ人全滅運動)の被害者で
現在アメリカに生活している人々の調査で「災難症候群」というものを報告するなかで述べられています。


■症候群の特徴■
●「コミュニティー・サポートを利用する能力の低下」
以前なら寂しさや要望を表現することができたのに、それが出来なくなってしまう=孤立化

●「絶望感を伴う慢性・反復性の抑鬱」

●身体のどこかが、いつも具合が悪い=心身症

●情緒的に麻酔をかけられているような状態。「感情反応の遮断」と呼ばれる。
さきほどの失感情症も症候群の特徴に含まれます。



トラウマの人格変化に関して 特に目立つPTSDの症状は 解離 です





最後に

私が現在受けている診断の 解離性同一性障害 も このPTSDの仲間です。
トラウマの後遺症というのは 長い時間をかけて芽を出すもの。
そのまま放っておけば 大切な人生の障害となってしまいます。

自分の傷を見逃さずにいてあげてください。
PTSDの治療を進めて行けば 傷の根源となった出来事の再体験(FB)も起きるでしょう。
だけど そこを乗り越えていくことこそが
生きていくということに繋がるのだと思います。
決して焦らず だけど歩いて行きましょう。



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