※太陽電池パネルの故障※ |
『太陽電池パネルの故障モードと原因の推測
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* バイパスダイオードの働き *
太陽電池パネルは多数の太陽電池のセルを直列につないで一つのパネルにします。このとき一般的なパネルではセルを幾つかのブロックに分け、各ブロック間にはバイパスダイオードが挿入されています。
バイパスダイオードは通常はオフとなっており、有っても無くてもパネルの動作には関係有りません。しかしパネルを構成するセルの一部に部分日陰が発生したときにはオンとなり、ダイオード動作をします。
たとえば図の用に、ブロック-1の中のあるセルが日陰になった場合、日陰になったセルは発電せず、電流を流すことも出来ません。日陰になったセルのところで電流経路が切れることになります。しかしバイパスダイオードがあるため、ブロック-1からは電流を取り出すことは出来ませんが、ブロック−2,3の電流はブロック-1のバイパスダイオードを経由して取り出すことが出来ます。
もしバイパスダイオードが無ければこのパネルが丸ごと動作不良となります。さらにはパネルを直列につないだストリング自体からも電流を取り出せなくなります。
従って部分日陰が全く生じない場合にはバイパスダイオードは無くてもかまいませんが、部分日陰が生じる可能性がある場合はバイパスダイオードは非常に重要な役目をします。
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* 故障モードの推測 *
太陽電池パネルは故障が起きないようなイメージがありますが、気になる現象もあります。
部分日陰が発生した場合はパネル電流がバイパスダイオードを通って流れます。このときバイパスダイオードがダイオードの順方向電圧とパネル電流で決まる電力消費が起きます。そしてこの消費電力は熱に変わり、ダイオードの温度が上昇します。
また特定のセルのみ日陰になった場合、日陰になっていないセルは発電しています。しかし日陰になったセルがあるブロックはパネルから切り離された状態になっているため、発電した電力はすべて発電したセルが自己消費します。そのためこれらのセルの温度も上昇します。
このように部分日陰が発生するとセルやバイパスダイオードの温度を引き起こします。また温度が上昇したダイオードとセルが近くにある場合、更に温度上昇を引き起こす可能性があります。
周囲温度が高く、空気の流れが無いような場所にてこのような温度上昇を起こすと、ダイオードやセルの特性劣化や損傷を引き起こす懸念があります。
現在パネルの動作不良や故障に関する報告はまだ少ないようですが、今後注意していく必要がありそうです。
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