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10.01..

EVMが必要とされる理由 :  従来の進捗管理に問題があったからに他ならない。

大きな問題は2つ

1つは、進捗報告のやり 方

    例えば、 進捗状況についてメンバーに尋ねたところ、次のような返事が返ってきたらどう思うだろうか。

    「今週末までに終えるつもりです」、
    「少し遅れ気味 になってきました」、 「予 定していた作業量を超過しそうです」。

  こういった” メンバーの主観に左右される報告 ”では、実際の進捗状況がブラックボックス化されてしてしまう。

    最悪なのは、”現場から全く 報告が上がってこなくなる ケース
    このような事態を招く原 因は色々考えられるが、
    その根底にあるのは 進捗を 測る客観的なデータが存在 しない 、ということである。

もう1つの問題は「 WBS Work Breakdown Structure)」の使い方 にある。

    ・ WBS を計画作成にしか使っていないケースが多い。
    ・ 計画作成に加えて実績管 理に WBS を使っている場合でも、
     開始日と終了日を記入するだけの 「日程管理」に終わっているケース もある。

   これでは 予定した作業量やコストを超過したのか下回ったのかを判断できない

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「全工程で同じ指標を使う」        EVM                      上記の問題を解決する為に、EVM


こうした問題を解決するのに役立つのが EVMである。
EVM による進捗管理が従来 の手法と最も異なるのは、
プロジェクトの全工程にわたって統一された指標で、 「出来高」を見ていく 点。

従来は、工程毎に進捗管 理の指標が異なっているケ ースが殆どだった。
例えば、
設計工程では仕様書の枚数、 開発工程ではプログラムの本数、 テスト工程ではテストケースの数、
という具合である。

これらの指標は特定の工程内での 進捗を見るには有益だが、
プロジェクト全体の 進捗を把握しよう とすると支障が出てくる。

これに対して
EVMでは、 プロジェクトのどの工程でも 同じ指標を使って出来高を測定 し、
     その値によって作業の進捗状況を把握する。
指標は、スケジュールとコストの両面を把握できる メリットを生かすには、
工 数(人日・人月など)や金額 Íを用いると良い。

EVM はプロジェクト・チーム内部での管理に使うだけでなく、
     ユーザー企業や協力会 社との進捗に関するコミュ ニケーションにも使える。

ただし、
どちらの用途で使うかによって、 管理対象とする作業内容などが異なるので注意が必要。

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「EVM」                           チ ーム内部での管理に使う                        EVM


EVM: 作業の成果を予定コストに 換算
出来高とは、具体的に、どうやっ て測るのか、! (ex. 50-50法)
出来高は現時点までに完 了した作業の 成果を表 すもの。

「計画作成時の WBS 定義で、各作業に充てた工数や金額
(予定コストと呼ぶ)」を、 その作業が完了した時の 成果と考える。

指標に工数を用 いる場合は、
完了した作業(ドキュメントやプログラムといった成果物の作成) の予定工数を累積したもの が、
その時点での出来高となる。 ※.実際にかかった工数では ないことに注意
コストの指標として金額を用いる場合は、 工数に要員の人件費単価を掛けて換算すればよい
(成果物の価 値によって重み付けする場 合もある)。

「 1 人のプログラマが、毎日 1 本ずつ、 5 日で 5 本のプログラムを作成する」という計画があるとした場合、
あるプログラマが実際に作業を始めたところ、 3 日目終了時点で 2 本のプログラムしか完成しなかった。

この、 指標として工数を用いる場合、 この時点での出来高は「何人日」と考えればよいだろうか。?
この例では、 計画段階でプログラム本の作成作業にかかる工数を 1 人日と見ていた。
したがって 3 日目終了時点での出来高は、
完成したプログラム 2 本の作成作業を予定工数に換算した「 2 人日」となる。

当初の計画では、
3 日目終了時点で 3 本のプログラムが完成しているはずだった。
つまり「計画上の出来高」 は 3 人日であり、 実際の出来高はこれを 1 人日だけ下回ったことになる。

これがEVM出来高による進捗管理の基本的な考え方だ。
こんなことは直感的に分かると思うかもしれない。
しかし、
大規模なプロジェクトの全工程を対象に、 あるいはすべての開発チームを対象に、
このような管理を厳密に行うことは至難の業である。

そのための基本的な枠組みと手段を提供することに EVM の意義がある。

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「EVM」                            「進捗管理の 4 つの基本指標」                                EVMでよく使う 4 つの基本的な指標


 (1) EV       出来高実績値( Earned Value)
 (2) PV       出来高計画値( Planned Value)
 (3) AC       投入実績値  ( Actual Cost)
 (4) BAC      完了時総予算( Budget at Completion)

  このうち、
  EVACは、 プロジェクトの途中で進捗 状況を把握するためのもの。

  PVBACは 計画作成時に定めた進捗 の目標を示すもの。
  EVMには、 このほかにも様々な指標があるが、 いずれも つの基本指標の四則演算だけで算出できる。

  4つの基本指標のうち、
  EV は前述した出来高(上の例では 人日)を、
  PV は計画上の出来高(同 人日)を表す。
  WBS で定義した各作業の予定コスト(工数または金額)に基づいて、

  現時点での成果の実績値を示すのが EV、 計画値を示すのが PV
  一方、現時点までに実際にかかったコスト(工数または金額)を示すのが AC 

  上の例では、 日目終了時点までに、 人日かかっているから、 ACは、 PVと同じ 人日となる、
  最終的に EVは、当初計画したプロジェクト完了時点での PVに一致するが、
  ACPVを超えることも下回ること もあり得る。

  つめの BACは、 プロジェクトが完了するまでに必要となる “総予算”を表す。
  指標が工数の場合は、 すべての作業の予定工数を累積して算出する  ※.注 2 )。
  上の例では、 BAC 人日である。

  EVM では、これらの指標をグラフ化することで、
  計画と比べた作業の遅れやコストの超過などを視覚的に把握しやすくする。

  EVPVACの 各指標は、コストを縦軸、経過期間を横軸とするグ ラフで、
  本の曲線として表すことができる。

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「EVM図」                                                                 「例」

EVM
は、あるプロジェクト(期間は月30日~1213日)の11日時点における進捗状況を示したもの。
出来高(EV)は500人日であり、計画上の出来高( PV)を100人日下回っていることが分かる(作業の遅れ)。
一方、実際にかかったコスト(AC)は650人日であり、出来高より150人日多い(コストの超過)。
BAC1,000人日なので、
プロジェクト完了までに達成すべき出来高があと500人日分残されていることが分かる。


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