.    '07年3月14日

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カラスと賢く付き合う方法

 長野県およびNPO野生生物資料情報室主催によるシンポジウムを拝聴しました。 カラスの研究者として日本を代表するお二人の基調講演は、生態学や解剖学の見地から興味深く語られ、知っているつもりで知らなかったカラスへの理解が深まりました。
 一方、塒(ねぐら)周辺の住民や電力会社の被害の深刻さを痛感しました。カラスは繁殖期以外、昼間は広範囲に散っていても、夜は決まった塒に集まる習性があります(長野県内では20数箇所)。
数q・数十qを飛んで、限られた場所に集まるのですから、その脅威は推して知るべし。騒音や糞害あるいは送電線保守の深刻な問題が生じています。 「単なる脅しだけでは追い払えない。カラスも必死に生きている。 彼らに『ここは危険で棲めない場所』と思わせるしか撃退方法はない」 とのパネリストの提言を聞き、その対策の困難さを思い知りました。




      後方のカラスは、当園地から提供の剥製


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外来生物問題(3月10日開催)

 からすの学校 ・第16回は、前河正昭さん〔長野県環境保全研究所〕による『外来生物について』。
前半は、外来生物の現状や問題点を解説していただきました。アライグマやミンク、ブラックバスといった大型のものから、ザリガニ、セイヨウオオマルハナバチ など、普段は見落としがちな小さな生き物まで。人間の恣意的行為に起因する生態系の混乱や、その奥深い問題を再認識された方が多かったのでは ないでしょうか。
後半は、ニセアカシア林の林相転換の研究として、その管理方法や管理体制などを講義していただきました。 実験によって、巻き枯らし(※)による駆除が、伐採に比べて萌芽(ぼうが:芽が出て再生する)の発生を 低く抑える結果が確認されたとのこと。 今後の管理において指針となる貴重なデータです。




     .(※) 形成層を含む樹皮を、ぐるっと一周剥ぐと、篩部組織が断たれ養分不足になったが根が衰退して枯れる。
         なお、人工林(⇒ 針葉樹)における作業方法〔⇒ 剥皮の仕方〕とは、ちょっと異なるようですので、ご注意を。


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からすの学校

 上記(外来生物問題)をもって、今年度のからすの学校が修了しました。 第1回【’05年6月12日:橋本郁三先生を囲む会】を皮切りに、16講座を開催しました。 〔これまでの様子は → こちら
 『からすの学校』を立上げた直後、当企画創設の推進者だった良き理解者が亡くなられるという 辛い門出でしたが、いまでは当園の利活用のひとつとして着実に根付いてきた感があります。 参加者や関係者の皆様のお陰と、なによりも講師の方々のご協力があって、 ここまで継続実施できました。  これからも 『からすの学校の講師ならば 喜んで協力してあげよう』 と思っていただける公園づくりをスタッフ一同目指します。  なお、来年度(4月以降)は、隔月開催の予定です。 詳細については、近々、広報やマスメディア、及び当ホームページでお知 らせします。




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