.    '07年11月4日

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ここで生き続ける (旬情報 番外編)

 長野県天然記念物に指定されている『一の瀬のシナノキ』(下高井郡山ノ内町志賀高原)。 太さ(幹周)は8m、樹高は20m余り、樹齢は800年と推定されています。 最近、衰退が目立ち始めたために、土壌を改良して樹勢回復を図ることに。 そこで、長野県の樹木医の幾人かが集まり、研修を兼ねて作業をおこなうことになりました。 対処方法は、根の周囲を掘って土壌改良資材を埋設する『蛸壷方式』。 使用した資材は、消炭や腐葉土の他に 土壌細菌であるアゾスピリラム菌など(いずれも、農薬には該当しません)。 さて、効果や如何に。
 ところで、この樹をよぉ〜く見ると 顔が見えてきませんか? (写真にポイントすると… ほーら、見えた) まるで、両手を挙げて「ほぉ〜い、よく来たなぁ」と迎えてくれているように見えませんか? 
   … 巨樹 ・巨木には、いつも 物語があります。



    信濃〔科野:しなの〕と縁の深い樹、シナノキ


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珍しい昆虫

 レクチャールームに展示中の、とても珍しい昆虫。
幼虫が育つ場所は、なんと、オオタカ ・ハチクマなど 猛禽類の排泄物がしみこんで朽ちた巣材の中!
ですから…、この虫がいるということは周辺に猛禽類が生息しているということになります。
種名はコガネムシ科のアカマダラコガネ(別名:アカマダラハナムグリ)。 長野県絶滅危惧U類に指定されています。  猛禽類の生育環境が悪化するこの頃、この虫の絶滅が危惧されるのも頷けます。
【データ】
採集場所は当園地外
採集年月 2006年7月
状況 オオタカが営巣を放棄した巣にて幼虫を採集
羽化 飼育した結果2006年9月に成虫が誕生
死亡 2007年10月 
  



                 スナフキンさんからのご寄贈


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晩秋

 例年に較べて遅れていた紅葉(黄葉・褐葉)が一気に進み、園内は早くも晩秋から、時には 初冬を思わせる風情となりました。 常念岳や蝶ヶ岳に初冠雪があった今、信州に冬が到来するのは間もなくです。 ついこの前まで盛りだった紅葉は、ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、コミネカエデ、ヤマウルシ、オオヤマザクラ など。黄葉は、アブラチャン、ダンコウバイ、クロモジ、イタヤカエデ、ヒトツバカエデ、ウリハダカエデ、ウリカエデ、オニグルミ、アオハダ、カラマツ など。 褐葉は、ミズナラ、コナラ、カマツカ などなど。
 紅葉目当てに来園される方は、徐々に減ってきました。 しかし、楽しみは葉の色づきだけではなく、落葉にもあります。 晴れた日、 風も無いのにはらはらと落ちたり、寒風に吹かれて一斉落葉する様は、同じ現象でありながら、それぞれの趣があります。    
            〔紅葉のメカニズムは→こちら