.    '07年12月11日

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テンとイタチ

 雪上に残る足跡から野生動物の営みに思いを馳せるアニマル・トラッキング。 その際、よく受ける質問が 「テンとイタチは 同じような足跡を残すから見分けられないのでは?」というもの。 確かに、図鑑などで見る限り、左右の足を揃えて(尺取虫のように)飛び跳ねて残された足跡は同じに見えます。 そのため、机上で両者を知った方には、「見分けが困難」との先入観があるようです。 しかし、実物を見ると… ごらんの通り、体長(歩幅)と足の大きさの違いから、(成獣であれば)足跡からだけでも判別は容易です。
写真の2頭は、園地外で落命していたものです。 同じイタチ科のこの2種は、時に混同されているため 両者を比較していただけるようにと、レクチャールームに収蔵しています。



     写真上 : ニホンイタチ  下 : ホンドテン


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命拾い

 一方こちらは、管理棟のガラスにぶつかりながらも 危うく一命をとりとめたミソサザイ。   ガラスや建物、飛行機などにぶつかる事故(バードストライクと称される)で多くの野鳥が命を落としています。 当園地では、バードストライクが死因 と思われる野鳥を保存しています(コマドリ、オオルリ、ルリビタキ、クロツグミ、フクロウ 他)。   この個体も、衝突した直後は、脳震盪をおこしたかのように全身が痙攣(けいれん)していました。このような場合、体へのダメージが無くとも体温低下から死亡する危険があります。そこで、急いでケースに入れて保温したところ… しばらくして 息を吹き返したのです|⌒O⌒| 閉じていた目が開き、数回羽ばたいた後、寒風吹く空に向かって飛び去りました。その飛翔は、「日本の小さい鳥ベスト3(*)」に入る野鳥とは思えない力強いものでした。
        (*) キクイタダキ、ヤブサメ、ミソサザイ



   脳震盪(?)から回復直後。 まだ ふらついている


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冬の観察会

 遠く浜松から【植物観察講座】として、2回に分けそれぞれ40名を超える皆様に来園いただきました。早朝に出発、一路 当園地へ。数時間過ごされた後、とんぼ返り というハードな日程。 それだけに、お迎えする側としては、有意義な一時を送っていただけることを願ってご案内させていただきました。しかし 冬枯れの今。自然観察としては「ネタ」の少ない時期だけに、はたして ご期待にそえましたかどうか…

 師走(旧暦ではいまだ霜月:11月)となり、グリーンシーズンとは比べ様もないほど、来園者数が少なくなりました。 しかしながら、自然の厳しさや素晴らしさを知るには、これからが格好の時期です。 ただし、陽が射さない時には震え上がるほど寒い園内です。 防寒対策を整えてから… さあ、寒気の中 この季節ならではの出逢いを求めてお出かけください。





            園内 うっすら雪化粧