.    '08年11月8日

   .

晩秋

  消えつつある朝霧の向こうに見えるのは蝶ヶ岳。吊り橋からの眺望です。もう間もなく、この蝶ヶ岳やそれに連なる常念岳が雪化粧することでしょう。
 手前の山で紅葉(黄葉)しているのは、コナラ・ミズナラ・カスミザクラ・カラマツ など。 今や紅葉はピークを過ぎて、見ごろはわずかとなりました。  風が吹くと落葉する樹が多くなったこの頃、いまだ色づいているのは(上記の他)… エゾエノキ、ヒトツバカエデ、コミネカエデ、コハウチワカエデ、ヒナウチワカエデ、チドリ ノキ、アオハダ、ミズキ、ダンコウバイ、クロモジ 等々。
  ところで、落葉といえば… カラマツの一斉落葉をご覧になったことがありますか?一陣の風とともに舞い散るさまは、黄金色の雪が降るようです。信州人にはあまりにも見慣れたカラマツ、その芽吹きの優しさ、雌花の可憐さ、落葉の見事さは感動ものです。



  右側の山が終わるところまで 当園地 ・水辺エリア


   .

まつぼっくり

 「この大きな‘まつぼっくり’は、なんでしょうか?」とのお尋ねがありました。(←園外で拾われたとのこと) 全長10cm余、種子(まつぼっくりとメジャーの間にある)の大きさは1cm以上あります。 この樹の正体は チョウセンゴヨウ。 日本に自生する五葉松(葉が5本に分かれるマツ) のひとつです。 中華料理で「松の実」として使われ、また いにしえより 『霊薬』とされ 仙人が不老長寿の仙薬にしたとの説話があります。
  レクチャールームでは、この他にいくつかの大きな‘
まつぼっくり’を展示しています。 たとえば、ダイオウショウ(15cm)、ドイツトウヒ(17cm)、そして極めつけは シュガーパイン、その長さは なんと26cm!
 ところで… 【まつぼっくり】は、【まつふぐり】が語源ということご存知でした? ちなみに‘ふぐり’は陰嚢(=睾丸)のことです。  「形、似てるかなぁ?」 (*¨*)



      鱗片に付いている白いものは 松ヤニ


   .

樹木治療 (旬情報 番外編)

  県指定天然記念物のオオヤマザクラの樹勢が弱ってきたため、日本樹木医会長野県支部の研修を兼ねて回復処置をしました。 実施したのは〔土壌改良〕〔不定根(ふていこん)誘導〕。 土壌改良は踏み固められた土を柔らかくして 根の呼吸環境を改善したり、微生物や菌根菌の発生を促進させることが目的です(⇒右写真をご覧ください。 根はその多くが地表から30cm程度までの間にあります)。 そこで、根元から放射状に深さ50cmの溝を掘り、混合資材(微生物土壌改良材・炭・腐葉土・バーク堆肥・赤玉土など)を埋設しました。 併せて実施した不定根誘導とは、根量を増やすために、幹の途中から分化した根を地中に誘引すること〔右写真にマウス・オン〕。 資材を詰めた筒を使い、2mの高さに発生した数cmの根を地面に誘導しました。


  
    根は、枝張りより はるか遠くまで伸びている