.    '10年6月11日

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今年の夏は早い?

 毎年今頃になると来園者から…、『もうセミが鳴いている。今年の夏は早いのでしょうか?』 とのお尋ねがあります。 しかし実は、今年に限らず毎年、園内の松林では 5月中下旬には写真の ハルゼミが鳴き出し、それからしばらくして、 落葉樹林内では エゾハルゼミが大合唱をはじめるのでした。 いずれも、鳴くのは雄(オス)だけ。 雄が音を出して雌(メス)を呼び寄せるという生態の違いからくるものです。  ちなみに写真のハルゼミは雌。ですから鳴きません。鳴きもせず、リョウブの葉の上に、じぃっとたたずんでいました。
 カメラを彼女の鼻先まで近づけても、わずかに動くだけ。 外敵に対する防衛反応はありません。 すでにアカマツに産卵を済ませて、 従容と死を迎えようとしているのでしょうか。 それとも、『まだまだこれから』と、体を休めて英気を養っているのでしょうか。







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上前をはねる

 写真は、ギンリョウソウ。別名はユウレイタケだけに薄暗い森の中でこの群生を見かけると、気味悪さを感じる方が少なからずおられるようです。 これまで‘腐生植物’と呼ばれていたため、生物死体や腐ったものを栄養としているように思われがちですが、実際には有機物を直接摂取しているのではなく、菌類(=キノコ) への【寄生】であるため、最近では‘菌従属栄養植物’と呼ばれています。 多くの場合、それぞれ寄生する相手は決まっています。 ちなみに、このギンリョウソウは、ベニタケ属のキノコに寄生して養分(糖あるいはデンプン)を得ています。   園内に多いベニタケ類は… ドクベニタケ、シュイロハツ、チシオハツ、カワリハツ 等々。 ところで、これらのキノコは‘菌根菌’であり、樹木と【共生】(助け合って生きる)しています。結果として ギンリョウソウは、樹木が生産した養分を、キノコを介して頂戴しているのでした。





     花の中は… (・_・?) ⇒ 写真にマウス・オン


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森林整備

 地元のとある小学校の 5年生が、昨年に引き続いて、園内の森林整備をしてくれました。去年は一クラスだけだったのですが、 今回は 5年生全員が参加しての 一大イベント(?)となりました。 〔前回の様子は ⇒ こちら 〕   体験した作業は、‘笹刈り’。
これが 普通の小学 5年生ならば、刃物を使っての集団作業は心配になるのですが、この学校は違います。 稲刈りをやった経験を活かして(同じイネ科の)ササを、稲刈り鎌を使って刈り取ったのでした。
 作業上の留意点としてお願いしたのは、〔ササ以外は伐らぬこと〕。植生の保護と同時に、ヤマウルシツタウルシ、あるいはトゲのある植物による事故防止が目的です。 … それにしても、作業した場所がこれからどうなるのか楽しみです。一般的には、ササ刈りにより、数年後には林床植物の種類が増えます。子どもたちに、変化を見てもらいたいものです。