.    '10年11月23日

   .

まもなく命を終え

 コガタスズメバチの巣を、ふたつに割った写真です。  巣を採取した時は、まだ2,30匹の成虫がいたのですが、すでに飛翔力は弱く、一晩おいた翌朝には、巣の下に多くの死骸がありました。 残った何匹かが 大顎(あご)をカチカチと噛みあわせて、威嚇しています。〔← 写真にマウス・オン〕 本来ならば、一触即発! 危険な状況です。 しかし、あまり恐怖は感じません。  以前のような迫力は、いまはすでになく、死にゆくものの哀れ感が ただよっているのでした。
 春先、女王蜂が一匹で作りはじめた巣 (当初は とっくり型)は、やがて増改築を重ねてここまで大きくなりました。中の巣材をはがして空間を広げ、削った材は再利用するという無駄のないリフォーム術です。 整然と並んだ六角形の孔(巣板)、このハニカム構造のハニカムとは、〔Honeycomb : 蜂の巣〕の意。 孔が効率よく配置され、丈夫な構造物になります。





数種類いるスズメバチのなかで、攻撃性が低くおとなしい


   .

無惨なり (園地外情報)

 通勤途上、目を疑う光景に、思わず急ブレーキ。無惨な姿は、桜のソメイヨシノです。  後日の新聞報道により判明した、こんな姿にされた理由は…
大きくなり今後の管理に不安があったり、落ち葉や枯れ枝の多さに困り、「苦渋の決断をした」とのこと。
 このような‘寸胴切り’をされても(腐朽菌により内部は腐りながらも)多くの枝葉を出す樹種はありますが、残念ながらサクラはそのようなことはなく、再び自然樹形をとりもどすことはありえません。 来春、わずかな枝葉が出たとしても、これだけの樹体や根を維持できるはずはなく、また(葉が少ないため)傷を治癒させるエネルギーもありません。 腐朽菌に弱い樹であるソメイヨシノ。 腐朽菌や微生物の攻撃に耐えられず、短期間に樹体はボロボロになることでしょう。
… もはやこれは、犯罪行為と言わざるをえません。
〔大きな樹をコンパクトにできる剪定方は、あります〕
              1年後の様子は ⇒ こちら





  樹木の生理生態が判っていれば、こんなことには…


   .

私の樹 (旬情報 番外編)

 近隣の市立小学校の社会科学習の一環として、当WEB管理者が授業を担当させていただきました。 今回は 3年生と5年生の二回目の授業。かれらは 3年生のときに、それぞれ『私の樹』を決めて観察しています。田舎の学校(!)ならではの、素敵な教育環境が整っています。   ところで、私見ながら… 『自然環境さえあれば、あとは自由に遊ばせておけば良い。理屈よりも体験を』 との考え方には疑問を感じています。高度経済成長期、開発に伴う環境破壊を推し進めたのは、 ほかならぬ、子どもの頃に野山を走り回って自然を享受した田舎生まれの先人でした。 黙っていても感じとるだろうという期待は、報われぬことが証明されています。やはり、子どもには言葉をもって教えることが必要です。 それは、センス・オブ・ワンダー(レイチェル・カーソン)とは別次元の話であり、上記の犯罪(?)をなくす一助になります。