.    '11年7月7日

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灰汁柴

 アクシバの花が咲き始めました。 樹高 1mにも満たないツツジ科のこの樹に人々の関心が集まる理由は、ひとえに、その花によるものでしょう。 先をピンクに染めた 1cmほどのつぼみは、やがて花弁を 4裂させて、それぞれをクルクルと巻き上げます。 形状の面白さだけでなく、ひときわ長く白いめしべと それを取り囲んでいる褐色のおしべ。配色と バランスの妙も捨てがたいものがあり、一度見たら忘れられない花のひとつです。  しかし、この花を見つけるには、ちょっと苦労します。葉の陰に隠れるように咲いているため、歩いて(立って)見つけることはできません。 腰をかがめて葉を裏返して、やっと姿を現します。 なお、アクシバの名の由来は… 燃やした灰を灰汁(あく)取りに使ったことからきたとか、‘枝の緑が目立つ’ → ‘青木柴’(あおきしば)が転訛した、などの説があります。







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宴の後

 ツキノワグマが、アリの巣を襲い捕食したようです。腐りかけていた丸太とはいえ、その破壊力の凄まじさに、ツキノワグマの足(というか手) の剛力さと爪の鋭さを実感できます。 研究者によると、この周辺に棲息するクマは、ヒトへの警戒心が希薄なのかもしれないとのこと。なお、ヒトを警戒しないということは必ずしも我々にとって危険ということではないようです。 クマがヒトを襲うのは、出合いがしらにクマがパニックになった場合ですが、 ヒトに対する警戒心が弱いということはパニックになりにくいことを意味します。現に管理人が遭遇した個体も、一定距離(70m位)離れていると こちらを気にしながらも、逃げもせず毛づくろいをしていました。ただし、言うまでもなく、他の動物同様クマにも個性があり、違う行動をとる個体もいるはず。 一般論化して動物を捉えることは、時に危険です。
【からすの学校・ツキノワグマを知ろう】は ⇒こちら





   十人(頭)十色。 十頭いれば十種の個性がある


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生者必滅 (旬情報 番外編)

 ここ 7年間、毎年 1,2回訪れて、その推移を見続けていたブナが枯れました。 左写真は 10年前に 右写真は今年の 5月にそれぞれ撮ったものです。 昨年 7月には、少ないながらも枝葉があったのですが、2ヵ月後の 9月に診た時には最後に残された枝も枯れていました。 そして今年 7月に診断して枯死と判断しました。実際には、昨年の 7月から 9月の間に枯れたと考えられます。 樹齢 300年以上とすれば、本来であれば 10年程度の時間経過では大きな変化は現れないはずです。しかし、衰退が進むと一年一年の時の流れは 人間のそれと同じなのかもしれません。 この数年間は、診るたびに急速に衰えていました。 そし今、右写真のようになった老樹を前にして、数百年を生きた生命体と数年間の付き合いのなかで、その最期に立ち会えたことに縁(えにし)を感ずるのでした。   『森姫』は、枯れました。