.    '12年3月28日

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畏れ

 カラマツの根元部分です。おそらく 10年以上前の園路工事の際、根を傷つけたことが原因となり、根株心材腐朽菌に侵されたと考えられます。  そこで、公園管理上、安全を優先して伐採しました。外観や樹勢に異常は無かったのですが、腐朽菌により中は腐り、空洞率 (腐朽して脆弱になっている割合)が高く、根元近くでの折れ(座屈)の危険度が増していました。 なお、開口部を補強すべく発達した巻き込み (羊の角に見えることから ‘ラムズ・ホーン’と称される〔矢印〕)は、それなりに発達してはいましたが、 強度的には座屈を予見させる状況でした。
 人災により伐られることになったこの樹は、樹齢70年以上、胸高直径60p、樹高25mあまりの大木。自分よりも長く生き続けた生命体に引導を渡す時には、いつも畏れを感じます。 『お前に伐られる為に生きてきたのではない』 との声が聞こえるようです。





    地上から 50cm部分を 縦割りにしてみると…


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烏川流域の里山の歴史

 からすの学校 ・第48回は 烏川流域の里山の歴史 〜入会山を複眼で見る〜。 当園地のある烏川流域の里山(入会山)について講義していただきました。 入会山の利用のされ方のひとつに、田の肥料(刈敷)の採取があります。そこで、当時の水田面積と単位面積あたりの刈敷の必要量から、 烏川流域周辺の村全体でどれほどの量の刈敷がいるのか、あるいは、それを馬で運ぶ作業量はどれほどか、などを計算してみました。その計算結果は驚くほどの膨大な量となりました。そのため、江戸時代中期には(採り過ぎて)山が荒れ、山奥まで行かなければならなかったり、争いが起こったとのこと。 どうやら、山の荒廃は昨今のことではないようです。他にも、空中写真(国土地理院やランドサット)による、戦後の植生変化の読み取り方や、信州と飛騨を結ぶ間道について、あるいは野性動物の生息状況などを学びました。







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節分草 (旬情報 番外編)

 節分の頃咲くことからセツブンソウの名があります。本来、節分(せつぶん、せちぶん)とは、立春・立夏・立秋・立冬など ‘季節の始まりの日の前日’のこと。 しかし、江戸時代以降は、立春の前日(2月3日頃)として定着しています。 西日本ではまさにそのころに咲く花ですが、信州では 3月中頃にようやく咲き始めます。ここは当園地から 60km以上離れたとある場所。 地元の方々により大切に保護されている群生地です。  この日は、当WEB管理者が講師を務める講座で訪れたもの。 一部では満開となり、絶好の観察状況でした。 しかし、この翌日に降った雪で元の木阿弥。再び一面の雪原となって、一花も見えなくなりました。 セツブンソウに付けられた花言葉は『人嫌い』。 その‘嫌いな人’に見られることなく、そっと咲くのが、この花には似合っているのでしょうか。