.    '12年5月27日

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樹木観察

 からすの学校 ・第50回は葉・花・実でわかる樹木観察。 平成17年6月から始まった『からすの学校』。今回はその記念すべき50回目(うち、中止が3回)となりました。 この 7年間に多彩な講師を招聘させていただきました。 その講師陣のなかでもっとも回数の多い馬場多久男先生に、今回の記念すべき講座をお願いいたしました。 今回は、葉による樹木分類(同定)のほかに、講師が携わったアカマツ林のフィールド研究の成果を解説していただきました。 群落の特徴的な植生と、土壌・土質・斜面の方角・標高などとの相関関係を垣間見ることができました。
 林床の植生(自然に生えている植物の種類)が判れば、たとえ雨の日であっても、その土地の日常的な乾燥具合が知れることに感心したり、一方で、点的な間伐では‘山づくり’はおぼつかないと聞き、 戸惑い顔の受講者もおられたことが印象的でした。





    名前を知ることが、自然を理解する第一歩


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学校対応

 今シーズンの学校対応が始まりました。5〜6月にかけて、安曇野市内の小学校10校あまりの 5年生1000人ほどの子供たちが、楽しみながら遊びながら学びます。  レクチャールームにある標本や剥製(いずれも園内や安曇野周辺にいた昆虫や野鳥、野生動物) を観たり、自然散策をしたり、川に入って水生生物を採集&観察したり、 などを体験してもらいます。   常念岳や蝶ヶ岳の雪解け水が流れる烏川。 時期的には、川に入るには寒い日もありますが、今シーズン初めてとなったこの学校の日には、汗ばむような好天気となりました。 川遊びを兼ねた水生生物観察にはうってつけの陽気となり、子供たちの歓声が烏川渓谷に響き渡りました。 これからしばらく、このような学校のご利用が続きますが、気になるのは、まもなく梅雨になること。 天気予報を聞き、空を見上げ、一喜一憂する日々が続きます。





 ただ遊ばせておくだけでなく、言葉で伝えることが必要


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雄花と雌花

 オニグルミの花です。左写真は‘雌花’。この樹の雄花はすでに落花しています。  右写真は別の樹。こちらは‘雄花’が今や盛りですが、雌花は散りかけています。同じ樹の雄花と雌花が咲く時期をずらすのは、自家受粉 (自らの花粉によって受粉 ・受精する)を避けるためです。 雌花が先に咲くのは雌性先熟、雄花が先に咲くのは雄性先熟といいます。 例えば ホオノキは雌性先熟のため、咲いた初日は雌花になり、翌日は雄花になります。それによって、自家受粉が回避されます。 一方、オニグルミは雄性先熟する個体と雌性先熟する個体があります。
ちなみに、写真の 2本は管理事務所わきに生えていて、両者の間隔は 10m余りと近距離です。 左の樹のすでに散った雄花の花粉で、右の樹の雌花は受粉が完了した可能性があります。あるいは、その逆が、今まさにおこなわれているのかもしれません。





  見慣れた樹を観察して、改めて自然の巧妙さを知る