.    '12年7月21日

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店仕舞い

  ヤマアジサイの花が終盤となりました。 これからはタマアジサイが開花時期を迎えます。 この他にも、ノリウツギ、ツルアジサイ などの花で、 一見花びらに見えるのは装飾花と呼ばれる萼(がく)です。[なお、ガクアジサイの‘ガク’は‘萼’でなく‘額’と書き、あたかも、額縁のように装飾花がつくことからの命名です]
 装飾花は、虫を呼ぶためのネオンサイン、あるいは営業中を知らせる‘のれん’のようなものです。ネオンサインに誘われて、のれんをくぐった虫たちにより、花粉が運ばれます。 やがて時が経ち受粉が終われば、虫たちに店仕舞いを知らせるかのように (まるで、のれんを下ろすように)装飾花は下向きになります。
 ガクアジサイ を基本種とする品種の多さ、青や赤に色が変わるメカニズム、学名にまつわるシーボルトの逸話など、知れば知るほど興味深い植物です。





 下を向いた装飾花。 虫への『もう来ないで』という合図


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野鳥のヒナを拾わないで

 多くの野鳥が巣立つこの時期、時にヒナが地上にいることがあります。『大変だっ! 巣から落ちている。保護しなければ』 との慈悲心から拾っても、それは[保護]ではなく、親と子を引き離す[拉致]になってしまいます。 巣立ちの時期には、時としてヒナが巣の近くの地上にいることがあります。 地上にいて生きているということは、その近くには親鳥がいて、ちょっと前までエサを与えていたことを意味します。 (親切な)ヒトがいるため、近づけないでいることが多いようです。 一方で、現実的には猛禽類や肉食動物の餌食になったり、体温低下で死ぬことも少なくないでしょう。 しかし、仮にその厳しい現実があるとしても、自然の摂理をヒトが恣意的に乱さない為、野生動物を一時的に保護するのは、怪我を負っていたり、(法的規制はともかく)巣から落ちることが死を意味する動物(たとえば ムササビ)に限られるべきと考えます。





  『日本野鳥の会』のポスター [写真クリックでリンク]


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大六のケヤキ (園地外情報)

 上田市塩田平の『大六のケヤキ』 と名付けられたケヤキです。 長野県内で知られている樹木の中で、大きさ(太さ)で 2番目を誇ります。【ちなみに、1番は 下伊那郡根羽村の『月瀬の大杉』と命名されたスギです (← 長野県にある 3本の国指定天然記念物のうちの 1本)】  トップの座こそ逃したものの、この樹は県内のケヤキでは最も巨木とされています。
 根の周りは、一部で人の立ち入りや車両の通行により固結が懸念されますが、一方で畑や果樹園などに根が伸びていると思われ、最悪の状況は免れているようです。 しかし、もっとも葉量を必要とする今の時期に、病虫害により葉の一部が侵されていたり、全体として葉の大きさが小さいなど、心配な点も見受けられます。 昨年は、県内各所でヤノナミガタチビタマムシの大発生による虫害や数年ぶりの大量結実の年だったこともあり、今年の衰退が気掛かりです。





     根元に大(第)六天魔王を祀(まつ)る