.    '12年7月8日

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蟻牧(ありまき)… 驚異と感動の生物

 からすの学校 ・第52回は、アブラムシ観察会
アブラムシは、草木の液を吸汁し、葉や実を縮れさせ、新梢の奇形化を促し、ウィルス病を伝搬するなど、植物にとっては不倶戴天の敵です。 植物の側に立つ(?)当WEB管理人としては、アブラムシはまさに宿敵。その憎っくき相手を知る機会となりました。
 アブラムシが爆発的に増えることが可能な理由、その生理や生態、(効果のある)天敵について など。 当園地で新種のアブラムシ (オニグルミクチナガオオアブラムシ) を発見された研究者ならではの、興味深い話題が目白押しでした。 ところで、当WEB管理人の当初の心配は『参加者が集まるだろうか?』というもの。 メジャーとはいえない領域だけに、一抹の不安がありました。 しかし、いざ蓋を開けてみると、満員御礼の参加者数となり、当日は講義も観察会も、思わぬ(!?)盛り上がりをみせたのでした。







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生きた化石

写真はムカシヤンマ(ムカシヤンマ科ムカシヤンマ属)。 国内では他に仲間のいない種(一科一属一種)であり、日本固有種(日本にしかいない)トンボです。
多くの地域(都府県)において絶滅危惧種になっています。(ただし、長野県では指定されていません)
 幼虫(ヤゴ)は、水温が低く、水質がきれいな水がしたたり落ちるコケに包まれて過ごし、成虫になるのに 3〜4年かかるといわれています。 この個体も数年の穴蔵暮らしの後、ようやく空を飛ぶことができたのでしょう。 それにしても、長野県では絶滅危惧種でないとはいえ、やはり見る機会は少ないようです。 当WEB管理人自身、開園当初(2002年)に観ました(⇒ これ)が、 それ以来今日まで、園内で確認したことはありませんでした。 しかしこうして 10年目にして再び出会えました。この10年の間、命のつながりが途切れなかったことを知り、安堵したのでした。







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命絶え (園地外情報)

 一方こちらは、命が途絶えて伐採されたユリノキ。 当園地から 40km余り離れた県内某所で 100年以上生きていた、国内のユリノキとしては最高齢の一本です。 胸高直径 1m、樹高 24mと、ユリノキとしては巨木です。 一昨年、樹勢が衰えてきたことを心配した行政から要請があり、樹木診断をしました。 その時にはすでに腐朽が進行し、根元全周の 4分の3が【辺材腐朽菌】により侵されていました。
当樹の寿命は、北米の自生地では 200〜250年ほどとのこと。 しかし、日本では、数十年で材腐朽が原因で倒れた事例が多くあります。 これは気候の違いに加え、北米の自生地では群生するのに対して日本国内では単独で植えられ、かつ多くの場合、植栽状況が劣悪であり、厳しい生育環境におかれることが主因と考えられます。  今や、県内でこれに匹敵するのは、当園地近くの一本だけとなりました。





   手当の手段がないまま、診断後 1年で枯れた