.    '13年12月15日

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仕方なく

 仕方なく、2本のカエデを移植しました。 『動植物を持ち出さず ・持ち込まず』が原則の園内では、あわせて、樹木の自然樹形を維持するために、恣意的な移植や整姿剪定を極力控えています。 剪定することにより、ほぼ確実に 自然樹形が失われるからです。 しかし、工事の都合から移植せざるをえなくなりました。日程上‘根回し’もせず、それまで生えていた場所に比べると 明らかに悪い土壌に植えることになり、なんとも樹に申し訳ない所業となりました。  とりあえずは、根系域のごく狭い範囲は土壌改良したものの、将来的な根の成長域まで改善することはできませんでした。もっとも、多くの細根を失った根の状況を考えると、遠い将来を心配するよりも来春以降の短期間が不安です。 『早寝 ・早起き』のカエデですから、2月ごろには目覚めて活動を開始します。さて、無事に開葉 ・開花してくれるでしょうか。





       幹が白いのは養生(幹巻き)のため


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フィールドサイン

 写真はニホンリス(とヒト)の足痕。 泥の上と違い、雪に残された動物の足痕は、多くの場合は指の跡が明瞭ではありません。 しかし、写真は、前後の指の様子がよく判ります。 うっすらと雪が積もる今ごろならではの出来事です。ちなみに、進行方向は下から上。前についた大きな跡が後ろ足、後ろについた小さな跡が前足です。 なお、一個(一組)の『足あと』は【足痕】、歩行ないし走行でできた連続を【足跡】と表記します。 足痕・足跡とも野生動物を特定できるもっとも有効なフィールドサインです。しかし、ニホンジカカモシカあるいはイノシシは足痕(跡)だけからの判断は難しく、 糞や時には枝にからんだ体毛、あるいは集団性などから判ることがあります。間もなく、それら足痕(跡)や糞、草木を食べた痕跡(食痕 :しょっこん)などを追跡して、野生動物の生態に思いをはせる『アニマル ・トラッキング』の季節到来です。





 残された足痕の指の数は、前足は4本、後ろ足は5本


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 枝もたわわに実ったソヨゴ。神事に使うサカキ(榊)が安曇野には自生しないため代用されます。 樹の名の由来は、葉が風に‘そよそよとそよぐ’ ことからですが、さて、『そよぐ』の漢字をご存じですか? 答えは『戦ぐ』です。 『そよ風』から連想するイメージとは、かけ離れた字面です。ちなみに、この『戦』という字は、送り仮名ひとつで読み方が あれこれと変わります。 送り仮名がなければ『いくさ』ですが、【ぐ】がつけば『そよぐ』、【う】がつけば『たたかう』、【く】がつけば『おののく』になります。  なお 『おののく』は『戦く』とも『慄く』とも書き、この両者をならべた『戦慄』は、送り仮名がなければ『せんりつ』ですが、【く】がつけば『わななく』 になります。  他にも『辛い』を『つらい』と読むのか『からい』と読むのか。 これらが書かれた文章を読む際、前後の脈略から瞬時にその読み方を変える日本語の難しさを実感するのでした。





    雌雄異株なので、実がなるのはメスの樹