.    '14年5月23日

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間道を歩く

 からすの学校 ・第67回は、間道を歩く〜春〜。  昨年の秋に開催した同講座の春バージョンです。 写真は、この道が古道であったことの証である【南無大悲観世音菩薩】 の石碑文を講師が読み解いているところ。 秋と同じ道でありながら、新緑の中の古道歩きは心躍るものがあります。 紅葉の季節に、はらはらと落ちる木の葉の中を歩くのも捨てがたいのですが、旅人にはちょっと寂しい道。 この先、蝶ケ岳を越え、上高地を過ぎ、飛騨までの旅を思えば、さぞや心細くなったことでしょう。 それに引き換え、この時期の旅は、生命観あふれる樹々やさえずる鳥の声を聞きながらのウキウキした道中です。…などとお気楽なことが言えるのは、身の安全を保障された現代人のこと。昔の旅人は相当な緊張感を持って旅を続けていたはずです。 一方で、自然に対しては、はるかに優れた感覚や価値観を持っていたことでしょう。





   古の旅人も、こんな日なら楽しかったことでしょう


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学校対応始まる

 今年もまた、地元の小学校の環境学習の対応が始まりました。 毎年 5〜6月頃、10校あまりの 5年生の子どもたちが、近くのキャンプ施設で宿泊学習をおこないます。  その一環として園内を訪れての自然観察(学校によって ‘自然教室’あるいは‘自然観察学習’と呼称) の対応をさせていただいています。 写真は水生生物観察を前に、川に入る注意点を伝えているところ。この日の気温は13℃、水温は9℃と、おとなではとても水の流れに踏み込む気にはなりません。 しかし、そこは体温の高い(!)子どものこと、川に入って盛んに水生生物の採集&観察をしていました。そのほかに、レクチャールームで動物の剥製や昆虫の標本を見たり、園内を散策しながらの自然観察を体験してもらいました。 素人の解説だけに、どれだけ理解してもらえたかは、はなはだ心許無いにしても、お役に立てばよいのですが。





          若手スタッフ、頑張る!


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淡緑(たんりょく) (旬情報 番外編)

 写真は当WEB管理人が講師を務める講座で白馬村の猿倉を訪れた際の一本のブナ。 当WEB管理人の‘マイ・ツリー’です。 ここは白馬岳への登山口の広大なブナ林。 偶然見つけたこの樹が気になってから、すでに 20年あまりが経ちます。 数百年を生きる樹にとっては瞬く間なのでしょうが、ヒトたる我が身にとっては、気が遠くなるほどの長い時の流れです。 それだけに、この樹はもはや古い友人のような存在。 近くに行く機会があるたびに、顔出ししてはご機嫌うかがいをしています。 それにしても、今どきのブナ林の素敵なこと! 芽吹き始めは褐色の縁取りに産毛(うぶげ)が朝日に光り、樹全体に後光がさすようです。 あるいは、いまだ雪が残るブナ林に雨が降れば、発生する霧のために、あたりは幽玄の世界へと変わります。そして、淡緑(薄緑)とのコントラストのなんとも見事なこと。一見の価値ありです。





   日本人ならではの色彩感覚 薄緑(うすみどり)