珠玉のことば・(3)・
LINK:「ユダヤ人の言葉」
○ 胎教・たいきょう・の心もちは慈悲正直を本とし、かりそめにも邪・よこしま・なる念を発すべからず。
食物をよくつつしみ、居ずまい身のはたらきも正しくつつしみ、
目にむざとしたる色を見ず、耳に邪・よこしま・なる声を聞かず、古・いにしえ・の賢人君子の行迹・こうせき・、
孝悌忠信・こうていちゅうしん・の故事を記する草子・そうし・を読み、或いは物語を聞くべし。
これ胎教・たいきょう・の大概・たいがい・なり。
○ 孟母・もうぼ・(孟子の母)の いのこをかい給える心、誠に有がたく、たえなる教えなり。
子を育てる人誰もがこの心を師として その子の我満の根、争いそねむ根、貪欲の根、狠戻・こんれい・の根、
人をあなどりかろしむ根などを 引きうごかし、ならわざるように用心第一なり。
○ 才芸・さいげい・を緒余・しょよ・として、道徳を第一義と尊ぶは、まことに君子・くんし・の教えなり。
世のつねの人は、男にてもこの見識あるは少なし。
たまたまその子の芸に長ずることあれば、親世になきことと喜び高ぶりて
却・かえって・、子の満心を焚きつくるのみなり。
○ 福善禍淫・ふくぜんかいん・の報応・ほうおう・は 山びこの如くなれば、まま子をつれなく扱い害・そこな・えば、
かならず我が産むところの子に報いて あさましき禍・わざわい・あり。
○ 衣食もて遊び者は、多きも実はその子に益なし。 少なきも実は損なし。 あるにまかする世の中なり。
千金の譲りを受けてはほどなく貧窮・ひんきゅう・にせまる者あり、
一銭の譲りなき孤・みなしご・も 富み栄えぬるためしあり、
古・いにしえ・も今も 家毎にあることなれば、わが子に福分・ふくぶん・あらば、
親のあとしきをとらずとも、栄なん事疑いなし。
○ みどり子を愛せざる母は人にあらず、みどり子を愛する心は無欲の慈悲なり。
無欲の慈悲心を仁・じん・と名づく、 この仁は人人・にんにん・ 固有のものなれば、
求むる志しだにあれば、得がたき道にあらず。
○ 生きとし生きる人たれかその子を愛せざらん。 奴・やっこ・といえども皆人の子なり。
我が子そのくらいにあらば、わが心忍ぶべからず。
奴の親たるもの同じくこの心あれば、よく思いたくらべ、かならずあなどり悲しむ事なかれ。
万物一体の心、人人具足のものなれば、奴なり他人なりとあなどり隔・へだ・つる意念・いねん・なくば、
たれも仁ならざるはあるまじ。
○ 万物一体の仁心・じんしん・を 明らかにし、人はいかようにもあれ、吾は何の心もなく、
ひたすら、親しみ和なれば、人も又岩木ならざれば 感動ありて仁愛をもて我を親しむものなり。
○ 夫・それ・財宝は 天下の生民・せいみん・を養うために、天地の生じたまうものなれば、
かりそめにも 貪・むさぼ・り私・わたくし・すべきもののあらず。
廉・れん・なる時は きたなき貪心・どんしん・なし。
貪心・どんしん・なし時は、財宝を己・おのれ・一人の私用にせんとの欲心なし。
欲心なければ、貯えるも施すも皆 道理・どうり・に従い、己をも利し人をも救う公用・こうよう・となって
万物一体の心 昧・くら・からず。 珠玉のことば・(完)
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