観普賢菩薩行法経 (6)
  世尊
  これまでの説法で懺悔とは罪の告白では無い ことを 衆生の皆さんは理解できたでしょう。
  懺悔とは 仏性を洗いだし
磨きあげること
なのです。
  では
懺悔さんげ の具体的な行い方
説く前に まづ 重要な言葉を理解しましょう。
 
それは 目を閉じれば則すなわ ち見え 目を開けば則すなわ ち失うの言葉です。
  高い境地を得て
増上慢の心をスッカリ離しきった衆生でも 謙虚な心で自問自答しなければなりません。
  衆生たちよ
自分の心に
 
自分は 大乗の教えによって 菩薩ぼさつ は 非常に尊い人であると 知り得ることができた
   自分も 菩薩の行を学び
実行したので 仏と共にいる自分を 自覚することができた
   だが この自分の自覚は
まだ おぼろげなもので 不安定なもので 完成していない。
   目を閉じて
静かに精神を集中すれば 即 仏と共にいることを実感できるが 目を開いて 現実の世界を見たとき
   もう 仏のお姿は
 かす んだように遠くの存在と思ってしまう。 自分の信仰心はまだまだ足りないのです
 と念じ 一心に合掌全身全霊をもってほとけ を拝み
 
諸仏諸尊は 最上の尊い相すがた をもって 常に世間にいらっしゃいます
  
仏は 十力じゅうりき 無畏むい 十八不共法ぶぐほう 大慈だいじ 大悲だいひ 三念処さんねんじょ 具えておられます
 
諸仏諸尊は 世間に常住しておられて 衆生を温かく見守っていられるのに それなのに あ〜それなのに
  どうして 自分は 仏さまと共にあるという自覚を 本当に得ることができないのだろう。
 
自分には どんな宿業があるのでしょうと心の中の声で 真剣に仏を念じるのです。
  
  では その
言葉の意味を説明しましょう。
  仏の十力じゅうりき  仏が具えもつ10の力。
 
 物事を行うのに 適切な時と場合を見分ける力。   2 物事の原因と結果を過去現在未来の三世に渡り知る力。
 
 周囲に左右されずに 常に心が落ち着いている境地を知る力。    教えを聞く人の機根
きこん を見分ける力。
 
 教えを聞く人の理解の度合を見分ける力。    相手の身の上を見抜く力。   7 相手の今後を察知する力。
 
 ものごとの奥の奥に隠れた真実を見抜く力。    9
相手が どんな運命をもって生まれてきたかを見抜く力。
 
10 衆生の習気
じっけ 心の底の底に残っている迷いの習性)を 除く力。                 深心の所箸/習気

  十八不共法十八ぶぐほう
  仏の具える18の徳。
 
 仏は 身体に過失は無い。   2 仏は 口に過失は無い。     仏は 念に過失は無い。
  仏は 相手によって異なる姿形を見せることは無い。 5 仏には不安定の心は無い。 仏には見捨てる心は無い
 7 仏の善の欲は 減ることは無い。 8 仏の精進は 減ることは無い。  仏の念は 減ることは無い。
 10 仏の智慧は 減ることは無い。 11 仏の解脱は 減ることは無い。 12 仏の解脱知見は 減ることは無い。
  13 仏は 一切の身体による行いを智慧に従って行じる。   14 仏は 一切の口による行いを智慧に従って行じる。
  15 仏は 一切の意による行いを智慧に従って行じる。     16 仏の智慧は過去世を知見し 妨げられることは無い。
  17 仏の智慧は 未来世を知見し 妨げられることは無い。   18 仏の智慧は 現在世を知見し 妨げられることは無い。

  三念処さんねんじょ  仏が衆生に示す三つの心で 仏の教えを広宣流布こうせんるふ する衆生が目指す理想の境地。
  
初念処 しょねんじょ   仏は 衆生が仏を讃える心を 喜ぶ。
   二念処 にねんじょ   仏は 仏を罵ったり呪ったりする人の心を 深く憐れみ悲しむ。
   三念処 さんねんじょ  仏は すべての衆生に対して 平等な慈悲心一視同仁心いっしどうじんしん をもつ。     (7)へ