摩訶迦葉授記を目の前で見た目犍連須菩提迦旃延の三人の声聞は感激のあまり感情が高ぶり
 仏を仰ぎ見て一心に合掌し
身を震わせて
 「申しあげます。仏さま世尊大きな勇気をもって、1切の衆生を教え導かれます。
  
世尊、どうぞ、私たちを憐れむ心で、授記を与えくださいませ。
  
世尊、どうぞ、私たちがこれからも益々修行に精進できますように 励ましのお言葉をおかけください。
  私たちも、心の奥深く
決定 けつじょう ーしておりますことを お察しくださいませ。
  どうぞ、
お前たちも仏ほとけ になれるぞ授記のお声をかけてください。
  そうすれば、私たちの身にも
甘露の法雨 かんろのほううー が降りそそぎ身の煩悩熱ぼんのうねつ が消え去り、
  心からすがすがしい気持ちになり
心からありがたい持ちになれるのです。
  私たちは、たとえて申せば、食べ物のない国から腹ペコペコでやってきて、イキナリ、
  王さまの食事の席で たいへんな御馳走の膳に坐ったような気持ちでございます。
  立派過ぎる豪華な御馳走を目の前にして、オドオドして何から食べていいのか 戸惑っているのです。
  王さまが、一言、食べて良いと仰ってくださるだけで、私たちは安心して食べることができます。
  うまい譬えを言えませんでしたが、
  私たちは
自分だけが迷いや悩みから離れればいい、という考えが間違っていたことに気がつきました
  そして、この上もない
無上の仏の智慧というものを だんだんと解かってきたのですが、どうしたら、
  その
無上の智慧を得ることができるのかここがまだハッキリつか むことができません。
  私たちもいつかは仏に成れるという 仏の教えを伺いながらも、果たして自分は仏になれるのか?
  心底
仏になりたい自分を意識しながらも なんとなくビクビクしている気持ちが まだありました。
  それはちょうど
王さまの御馳走が目の前にたくさんありながら 食べられないのと同じ気持ちなのです。
  世尊からお前も仏になれるぞの一声をいただけたら私たちの心はどんなに安らぐことでしょう。
  世尊はいつも
世の中の人々を安らかにしてやろうと お考えになっておられます。
  どうぞ
私たちにも成仏の保証授記お授けくださいませ。
  そうすれば
大王のお許しを得て ごちそうを食べるのと同じように一心不乱に菩薩道を励んでいきます。
  そして
やがて世のため人のために尽くすことができる自分に私たちは成りたいのです。 
  どうぞ
私たちにも成仏の保証をお与えくださいませ」と授記をお願いしました。
  
 
世尊三人の声聞に、授記を与える、                        授記された弟子の順番
 「私は前から、目犍連もくけんれん 須菩提しゅぼだい 迦旃延かせんねん 
の決定けつじょう を 見極めておりました。
  今
あなたたち三人にも成仏の保証授記を与えましょう。
  目犍連仏号は多摩羅跋栴壇香如来 たまらばつせんだんこうにょらい 時代は喜満 きまん 国の名は意楽 いらく 
  須菩提の仏号は名相如来 みょうそうにょらい時代は有宝 うほう  国の名は宝生 ほうしょう 
  迦旃延の仏号は閻浮那提金光如来 えんぶなだいこんこうにょらい と名づけます」。
           ※ うわあ~、いっぺんに3人の弟子たちが 授記されました、ボサツマンもうれしいです。
 世尊三人に向かい
 「私の弟子たちの中には
高い徳を具え人々に対する感化力も優れた人が、500人ほどいますが、
  皆
修行を積み重ねて仏になれる人ばかりなのです。この人たちにもきっと私は、授記するでしょう。
  これには
私とあなたがたとの 過去からの因縁があるからなのです。
  つづけて宿世の因縁の話をします、しっかり聞くのですよ。
          「宿世の因縁授学無学人記品
   宿世の因縁を説く
  過去からつづいた因縁のことを
宿世の因縁すくせのいんねん といいます。
  これは
世尊とその弟子たちの因縁のことで無限の過去から永遠の未来までつづいています。
  仏の教えを本当に解かった人は
必ずその教えを人に伝え人を救わずにはおられません。
  このように
仏の教えを他人に長く説きつづけることで自分も仏に成れるのです。
  さらに
救われたその人がこんどは他の人々に仏の教えを伝えて人を救っていきます。
  この救いの行為が連鎖して循環して 永遠に続いていくのです。
  だから
無限の過去から現在までに無数の仏が生まれその仏が無数の仏を生んでいるのです。
  このようにして
仏を生むリレーは絶えることなく永遠につづいていきます。 
  これが
宿世の因縁すくせのいんねん なのです。尚修行とは心を込めて繰り返して行う善行をいいます。
  では次の
化城諭品
けじょうゆぼん にて宿世の因縁すくせのいんねん を詳しくときましょう」。
  化城諭品第7」へ