今月のひとこと バックナンバー【平成30年】

《12・1月》

 大臼歯(奥歯)に白い歯(被せる歯)が12月より使えるようになりました。ただしいくつかの条件がつけられていま
す。重要な点は第2大臼歯(親知らずを除いて最後の歯)が正常に機能している事が必要です。もちろん従来法では
なくCAD・CANによるのです。(CAD/CANについては昨年のこの欄バックナンバーをご覧ください)
 昨年の小臼歯に続いての決定とあって、突然の通知に開業医は戸惑っています。小臼歯ですら技工所の体制は
整っていないのですからどのように対応すべきか問題です。
 噂では、歯科治療から金属使用を減らす?なくす意図があるということでしょうか。歯科医院だけでなく、技工士さ
んたちの戸惑いは計り知れません。何しろ何百万円かの設備投資と、技術の研鑽がいきなり押しつけられることに
なるのです。
 患者さんにとって白い歯は魅力的ですが、耐久性や適合性はまだ未知数なのです。

《2・3・4月》

 2年に1度の保険診療報酬の改定の骨子が発表されました。初診料、再診料が僅かですがアップされるようです。
(僅か30円ですが)受診者の患者さんには負担が増える(多くて10円ですが)ので望ましくないのですが診療側には
僅かでも願わしいのです。
 ところが此所に落とし穴がありました。「院内感染対策の施設基準」なるものを満たし届け出をしない場合は逆に減
額となるのです。
 「院内感染対策の施設基準」とは?特に細かくは書きませんが、要するに患者さん毎に滅菌した機材を使い、感染
防止に努める、また必要な研修を毎年受け・・・という届け出をする。それらは届け出るまでもなく、今までもこれから
も各診療所で当然行われていることなのです。今更届けなければ認めないとは、医療従事者としての心構えは当た
り前のことをなぜわざわざと疑問だらけです。先日来新聞紙上を賑わせていたエアータービンの使い回しをはじめと
する汚染された器具機材を使用していると疑っているのでしょうか?
 我々が登院(臨床実習)した時最初に徹底的に教え込まれるのが、感染防止の心構えでした。三つ子の魂百まで
のたとえ通り、無意識のうちに日常感染防止には取り組んでいます。


《5・6・7月》
 最近診療中によくぶつかる症例に骨瘤があります。歯槽(歯の植わっているあごの骨)中程で特に下顎小臼歯舌

(犬歯の次の歯2本の裏側)に骨の高まり(瘤様)があります。大きさも色々ですが、学生時代の教科書にも記載さ
れていて、入れ歯の設計の時いかに避けるかが課題でした。
 ところが最近見られるのは肥大化した骨瘤です。場所も様々で歯槽骨の至る所に現れます。上顎・下顎・口蓋(上
顎の真ん中)前歯部から臼歯部・舌側頬唇側(表裏)を問わず至る所に見られるのです。大きさも高さ幅とも肥大化し
ていて、既成のトレイ(型を採る道具)などが引っかかり思うように入らないこともあります。
 原因はハッキリしていないのですが、咬合(噛み合わせ)の異常(力がかかりすぎる)による歯を支えようとする防
衛による増殖とも考えられています。歯を抜いて咬合が喪失した後には骨瘤が消退することから原因として考えられ
ます。
 患者さんご本人は自覚がない場合が多く、不便も感じていませんが、歯ブラシなどが十分届いていないこともあり
ます。部分入れ歯など必要になった時には、、骨瘤が邪魔をして設計が窮屈になりますが、除去手術をお話ししても
殆ど受け入れてはいただけません。ご本人が自覚していない上不便も感じていないのですから、手術と聞けば拒否
されるのは当然ですが・・・。

《8・9月》
 PC利用CAD・CANによるブロック削り出し歯牙治療補綴物(被せ者や詰め物=クラウンブリッジ)についで、立体
コピー機(3Dプリンター)による補綴物=こちらは義歯(入れ歯) の話題が出てきました。
 鋳造床義歯(入れ歯の骨格を金属=主にコバルトクロームや白金加金など精密鋳造で制作する)方法で、かなりの
技術と手間がかかるのですが、複雑な設計も自由に出来て違和感も少なく現時点では入れ歯として最良なのです。
 情報は「3Dプリンティング(三次元積層造形)装置を行いて3Dプリンティング用コバルトクロム合金粉末を積層造形す
る」とありましたが、通常高温で溶融し鋳物として製品とするのですから、プリンターでの硬化機序は理解しにくいの
ですが、粉末を3Dプリンターで築製後レーザーにより溶融硬化させ表面仕上げすると理解しています。
 現実となれば技術と手間が省け、現在より価格を下げることが出来るでしょう。レジン・ハイブリッドレジン(歯科で使
うプラスチック類)や陶材が同じように3D手法で築製硬化出来れば歯科技工が全てカバー出来ます。期待されて
た技術ですから詳細が知りたいのですが、資料を探索中です。

《12・1月》
 健康保険の妊婦加算が問題になっています。
 確かに、妊娠中の患者さんには配慮しなければならない点があります。歯科の分野でも、抜歯など外科処置や化
膿に対する抗生剤の投与、麻酔や薬の使用と痛みなどの刺激を与えることなど普段以上に慎重さが要求されます。
一般医科では更に考慮しなければならない問題点が多くあることでしょう。
 診療には通常以上に注意を払い、手間もかかります。診療報酬に加点(診療費の増額)があってしかるべきでしょ
う。しかしその費用を3割といえど妊婦さんに負担とは納得出来ないのも当然です。算定するとしても、公的費用での
補填を考えるべきだと思われます。
 歯科では算定出来ると思っていなかったのですが、レセコン((診療報酬算定のためのコンピューターソフト)に妊婦
加算の項目があるのに気がつきました。といっても当院では、算定するのを忘れていただけでなく、今後も算定の予
定はありません。今までも妊娠中の患者さんには必要な注意は払ってきましたし、今後も今まで通り診療に当たりま
す。
 なにより妊娠中であることをお知らせ頂くことが重要です。


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