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ペリオ倶楽部



* ペリオ倶楽部のペリオとは、ペリオドンティクス ( Periodontics 歯周治療学 ) の略です。
文 : 歯学博士 茂手木義男

 歯ブラシの起源 vol2

―― 日本では ――

日本への楊枝(歯ブラシ)の伝来は仏教の所作
として伝わった。仏教は中国から朝鮮の高句麗に
そして百済を経て552年に日本に伝えられたとさ
れている。楊枝の使用はもっぱら僧侶、公家らに
限られたものであったが、仏教思想の普及を推
し進めた聖徳太子以降、普及の兆しが見えてきた。
さらに普及に多大の影響を与えたのが空海が日
本に伝来させた真言密教である。
密教は儀式儀礼の教えであるが、入信者が仏縁を結ぶための儀式に歯木(楊枝)が重要な役割を
行う道具となった。平安時代には僧侶を中心として洗面所に楊枝を使う習慣が広まって来たこと
が、文献から推し測れる。

時代は下って鎌倉時代、結果的に歯木(楊枝)の普及に大きく貢献する禅僧が現れた。道元であ
る。1200年内大臣久我通親を父に関白基房の娘を母に生まれた彼は仏教界を代表する宗教家で
あると共に、類い希な思想家に成長する。24歳の時宋(中国)に渡り如浄の法を継いで四年後
に帰国する。如浄の「市中繁華なところに住むなかれ、国王大臣に近づくなかれ」という教えを
守り、時の権力者北条時頼の慰留の願いを蹴り、深山幽谷の越前に永平寺を建て曹洞宗を興し
た。彼の真理をとことんまで究めずにはおれない思想家としての性格は、95巻という日本仏教史
上空前の大著「正法眼蔵」を著わさせることになった。

この著書により我々は当時の歯木(楊枝)の使用法を
詳細に知ることができる。以下はその内容の一部である。

彼はその著書の中で、大小便の仕方、厠に入る動作、大小便後の洗い方、洗面の作法、手巾の使
い方等、事細かに釈尊以来の作法を頑に固持し、指示している。我々はその頑固さが不思議に思
えるが、道元にとっては極めて重要な意味を持っていたのである。つまり道元の言葉「空手にし
て郷に還る。所以に一亳の仏法無し。」「道元宋国からは手ぶらで帰った。土産に持ち帰ったよ
うな仏法はない。気のきいた仏法で悟りを得ようなどと考えるな。悟りを開いた釈尊が実践して
いた作法を行うことではじめて悟りへの入り口に立とうというものだ。」と考えていたと理解で
きる。

ここで驚かされるのは、この歯や歯肉の洗浄の記述は現在我々が病院で行っている歯ブラシ法
の指導そのままである。そしてそれは仏教的な儀式としてであれ、口腔の健康のための歯垢除去
法としてであれ、釈尊の時代から現在まで綿綿と同じ所作が行われて来たことである。

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