■解離性健忘(Dissociative Amnesia) |
■解離性遁走(Dissociative Fugue) |
■離人症性障害(Depersonalization Disorder) |
■特定不能の解離性障害(Dissociative Disorder Not Otherwise Specified) |
◆解離性健忘◆ 時間喪失・失神などの症状は そこに薬物やアルコール乱用 又は器官の特質が無い場合 病的な解離症状を起こしている可能性が高いです。 患者が自分の「健忘」に気づくには 大きく分けて二つ ■自分がした証拠があるのに 「した」という記憶が無いのを 何度も思い出し 再確認する(もしくは自分の思い出せない時間を他者から知らされる など) もしくは ■患者は事態の最中に気がつくが どうやって現在に至っているのか 思い出そうとしても さっぱり(もしくは薄っすらとしか)分からない 全てが忘れ去られる。という場合で無くとも 自分の言動が自分で把握出来ないなど 生活に支障をきたすことはあります。 あの時思い出せたことが今は思い出せない。 あるいはその逆など。 障害と呼ぶべき健忘ならば それに自分が気がついたならば 早急に医師にかかってくださいね。 解離性健忘の定義 (アメリカ精神医学界『DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引き』1995年 医学書院)
以前は心因性健忘という名称。 解離を伴った健忘は 解離性同一性障害 にも重要な関わりがあります。 別の人格状態が存在する場合は 健忘の間に他人格が行動している ことが ほとんどなので。 普段 ちょっとした物忘れをすることは誰にでも経験があるかもしれません。 しかし解離性同一性障害の定義にもあるように 「重要な個人的情報の想起が不可能であり、ふつうの物忘れで説明できないほど強い」 という部分が解離症状を引き起こしていると言えます。 それは器質性健忘とは違い 一般知識や生活動作に現れず、自分の過去(生活史)など 自分の個人情報ばかりが思い出せないのです。 |
◆解離性遁走◆ 遁走=逃げ出すこと 今 ここにいる事を認識したまま、次の瞬きの瞬間 別の場所にいる。という感覚です。 解離している間の記憶は無く(解離性同一性障害の場合は別人格が)、 位置移動 をします。 重い例だと朝 仕事に行こうと家を出て 突然 解離状態のまま遁走し、それまでの自分史だけを健忘し、 別の街で自分として新しい生活を始めてしまう。など。 この場合は家族が捜索願いを出し 治療を進めると、ようやく本人にもそれが認識できるようです。 あるいは遁走中に解離状態から目を覚まし、意識が戻る場合もあります。 解離性とん走の定義 (アメリカ精神医学界『DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引き』1995年 医学書院)
以前は心因性とん走という名称。 遁走だけに関わらず、解離性障害の場合は、大抵自分から異変に気づき治療にかかる。というケースは少なく、 症状に気づかないまま、生活を続けてしまうことが、しばしばあります。 周りの人が先に症状に気づき、病院へと連れていく場合のほうが多いでしょう。 どちらにしても、症状が軽いからと言って、見過ごしてしまうと 症状が悪化してしまう危険性があります。 受診することを あまりにも重く考えすぎないように、自分も周りの人も早急に受診を。 |
◆離人症性障害◆ 私がよく日常生活で感じている症状(離人感)です。 現実から一歩後ろに下がった所から 自分や周りの出来事を見ているような。 地に足がついていないような、軽い浮遊感を伴ったり、と色々な症状で現れます。 離人症性障害というのは、そんなに稀なものではありません。 解離性同一性障害には、ほぼこの症状がついて回りますが、そこと区別するものは ■生活の中で特に重要視するような「健忘」症状が無いこと。 または ■はっきりとした、同一性障害が無いこと。 身体に関する訴えとして、自分がロボットのようだ・感覚がない・体が大きく(又は小さく)なったようだ。などがあります。 離人症性障害の定義 (アメリカ精神医学界『DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引き』1995年 医学書院)
一過性の 離人エピソードは外傷や生命脅威的体験に対する反応としてごく普通のことですので 「病」として治療するような心配はありません。 慢性的に離人感を感じる場合は別の障害が原因となっていることもありますので、 程度の重い・軽い 期間の長い・短い で自己診断せず、医師にかかることをオススメします。 |
◆特定不能の解離性障害◆ このカテゴリーは、 一番現れているのが(優勢症状が)解離症状 であるけれど、特定の解離性障害の基準を満たさない障害のために作られました。 ●解離性昏迷 ●解離性運動障害 ●解離性知覚麻痺 ●解離性幻覚 ●解離性幻聴 ●解離性転換性障害 以上の病名が含まれます。 特定不能の解離性障害の定義 (アメリカ精神医学界『DSM-W 精神疾患の分類と診断の手引き』1995年 医学書院)
各障害の簡易説明。 ●解離性昏迷 外からの刺激に反応せず、長時間ほとんど動かずに横たわっているか座っている。食事を取らない。眠らない。 ●解離性運動障害 手足などが動かせなくなる。 ●解離性知覚麻痺 皮膚などの感覚がなくなる。 ●解離性幻覚 現実と幻覚の境目がわからず、かつ臨場感のある幻覚が見える。幻聴も併せて現れる場合が多い。 ●解離性幻聴 解離性同一性障害の場合、幻聴は別人格の声と言う事になるが、その他の解離性障害の場合でも幻聴は見られます。 ●解離性転換性障害 欲求不満が身体化され、失立などの運動障害と知覚障害を主症状とする。 →以前「転換ヒステリー」と言われていたもの。 身体症状
として手足が麻痺したり、声が出ないなど運動系の症状や、目が見えないなど感覚系の症状が現れる。
心理的な葛藤を身体症状に転換する、という意味で転換症状と呼ばれている。 精神症状としては、解離反応といって、あたかも体と心が分離したかのような状態になり、 本人はある時間内に自分がとった行動についての記憶がなかったりする。 |