医療法人社団深敬会 吉野デンタルクリニック

03-3894-0678
月~金   9:00~13:00(最終受付12:30)
     14:30~18:00(最終受付17:30)
土曜日   9:00~13:00(最終受付12:30)
     14:30~17:00(最終受付16:30)
電話で予約 webで予約

インプラントと歯科治療ー私の考えー

1昨年ぐらいからでしょうか、インプラント治療に対する世の中の評価が厳しくなりました。欠損補綴の手段として、私はインプラントが大変優れた方法の一つだと考えておりますが、多くの歯科医院がインプラント治療に携わることでトラブルの数も増加し、経済的負担の多いインプラント治療に対する歯科医師の姿勢、倫理観が問われているのだと思います。
私が大学院時代から今なお継続している研究がインプラント治療に関わる構造力学、そしてそれに伴う生体側とくに骨の反応です。話せば長くなってしまうので内容はまた今度の機会に致しますが、結論からいえば研究レベルにおいてもインプラント治療は科学的根拠を得ており、これから数十年、歯科治療の柱であることは間違いのない事実です。
しかし、巷に溢れる広告は、1日で咬めるようになる、経験・年間数千本、特別価格○万円から、などとても医療とは思えないものが多い。数万年からなる人類の進化から考えれば、インプラントのような人工材料が生体に取り込まれればその安定には時間が必要であり、かみ合わせの変化や周囲組織の治癒を観察する時間、患者さんの生活と真剣に向き合えば一人の歯科医師が年間携われるインプラント手術数は限られて当然だと思うのです。
今こそ、我々歯科医は正しい情報を発信していかなければなりません。

治療指針

1.天然歯をできるだけ残す
2.継続できる噛み合わせを構築する
3.それをサポートできるように、的確に最低限のインプラントを使用する

以上が私がいつも目標とする、インプラント治療・歯周治療の方針です。
なんでもかんでもインプラント・・・・これではいけません。自分自身の歯で噛みたい、これはすべての患者さんの願いです。ですからできるだけ残存する歯の保存に努めること、歯周病治療が大切なのです。そして、上下の歯のかみ合わせはどうか、他に不良な被せものなどないか、咬合の診断と設計をします。全体をみていくことが大切です。インプラントの最大の良さは、両サイドの歯を巻き込まないことです。天然の歯を守り、良い状態のかみ合わせを維持していくサポートに重要な役割を果たしてもらう、義歯にはできない最大の利点です。

治療の流れ

  1. 模型やレントゲン写真など資料採取
  2. まず資料採取、型どりは大変ですが大切な資料です。

  3. 歯周病の検査と歯周病の初期治療
  4. 歯周病の進行度を知って頂きます。お口の中をお掃除できれいに。
    そして、何よりも大切なのがホームケア。いくら歯医者に通っていても歯ブラシして頂かなければダメなんですよ。

  5. 咬合の診查亡構築の準備
  6. 私は分析に阿部晴彦先生のシンラシステムを用いてます。理想的な噛みあわせを模型上で模索します。

  7. 設計に基づいたインプラント手術や再生療法
  8. ゴールがみえたら、手術計画を。CT撮影でより安全に。インプラントだけではなく歯周病に罹患した歯や骨の再生療法なども必要に応じて行います。最近は、麻酔科立ち合いのもとより安心に鎮静下での手術も増えました。

  9. かり歯によるリハビリテーション
  10. 最終に近い形のかり歯でリハビリテーションを。見た目、食事、発音などチェックが大切です。

  11. 再評価
  12. ここでよければいよいよ・・・

  13. 最終補綴
  14. 完成です。そしてこの後も定期健診をお忘れなく。

症例1:初診時 歯科は10年ぶり。根が破折していました。

実際の症例を通して実際の治療の流れを見ていきます。(症例は患者様の許可を得て掲載しています。)

歯周病にも罹患しています。総合的なアプローチが必要です。

歯周外科処置後。なんとか残せそうです。

シンラシステムによる咬合の分析と、それをもとにつくった仮歯です。 審美と機能を併せ持つことが大切です。

最終補綴です。噛みあわせは安定し、歯ブラシもしやすい形態です。 インプラントの使用は3本。必要最小限で最大の結果が得られていると思います。

インプラントの成功は?

インプラント治療の成功は、2つの鍵があります。一つは、担当する医師がゴールを頭の中に描き、それを実際に具現化できる総合力をもつこと。もう一つは、長い工程を2人3脚で互いに協力しながら歩いて行ける患者さんとの信頼関係です。インプラントの成功は手術の成功ではなく長く良い状態が維持していけることにあることをかかりつけ医として常に肝に銘じています。