.    '12年1月12日

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アニマル・トラッキング

 朝の気温が零下 9℃となったこの日。前夜から明け方にかけて、写真の木立の中で、キツネリステンが活動していたようです。 いま園内は、アニマル・トラッキングにうってつけの状況です。適量のほどよくしまった雪が足跡を明瞭に残してくれます。 ところで、アニマル・トラッキングでありがちなのは、足跡を見つけて、形や大きさ・歩幅などから動物の種類を特定して、それで終わりにしてしまうこと。 しかし、それはアニマル・トラッキングではなく『アニマル・トラック・ウォッチング』とでも言えるもの。 アニマル・トラッキングの醍醐味はそれから後です。ひたすら足跡を追ってみましょう。 「ほほぉ〜 こんな所を歩くのか!」「なぜここで立ち止まったのだろう?」「急に走り出したわけは?」「おやおや、こんなところに糞が…」 などなど。野生動物が『生きている』ことを実感できます。ただし問題はそれを面白いと感じる感性や価値観があるかです。
〔以前の類似話題は ⇒ こちら





   人気(ひとけ)は無くても、動物気はあるのです


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膏薬(こうやく)?

 園内に自生する桜:カスミザクラ の幹に黒い膏薬のようなものが…  一見(無害な)地衣類に似ていますが、残念ながら病気です。 病名は『サクラ類黒色こうやく病』。 菌類に属する糸状菌(しじょうきん)の一種の菌糸膜が、あたかも 膏薬を貼ったかのように広がっています。 ところで、この菌類はサクラアカカイガラムシというカイガラムシと‘共生’しています。 『えぇっ!? 共生?』… そう、この二者は、助け合って生存しているのでした。菌類はカイガラムシの排泄物や分泌物を栄養源としています。一方、カイガラムシは菌糸膜に覆われて、 外敵から身を守ってもらいます。 こうして両者は良好な関係を築いています。ところが、吸汁性の昆虫であるカイガラムシは樹にとっては ‘寄生’であり、好ましくない関係にあります。 『共生』と『寄生』。一本の樹を観察するだけで 自然界の様々な現象を垣間見ることができます。







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虫こぶ

 写真はハイイヌツゲにできた虫こぶ(虫えい)で、イヌツゲメタマフシの名があります。 イヌツゲタマバエというタマバエ科の昆虫によってできました。7月ごろ羽化したイヌツゲタマバエの成虫は、イヌツゲやハイイヌツゲの新芽に産卵します。 秋までに虫こぶが成熟し、その中で幼虫は越冬します。そして 5月頃、虫こぶ内で蛹化・羽化して成虫となり脱出します。 虫こぶは幼虫のエサであり、羽化するまで外敵から身を守るシェルターです。 まるで、お菓子(食べ物)で出来た城砦のようです。  ちょっと気がかりなのは、果実と間違えて鳥などが食べることはないのでしょうか? …などという心配はおそらく的外れ。鳥の遺伝子はそれが食べ物ではないことを伝えているのでしょう。  〔これまで園内で観られた虫こぶ 及び、それが形成されるメカニズムについては ⇒ こちら