膏薬(こうやく)?
園内に自生する桜:カスミザクラ の幹に黒い膏薬のようなものが… 一見(無害な)地衣類に似ていますが、残念ながら病気です。 病名は『サクラ類黒色こうやく病』。
菌類に属する糸状菌(しじょうきん)の一種の菌糸膜が、あたかも 膏薬を貼ったかのように広がっています。 ところで、この菌類はサクラアカカイガラムシというカイガラムシと‘共生’しています。
『えぇっ!? 共生?』… そう、この二者は、助け合って生存しているのでした。菌類はカイガラムシの排泄物や分泌物を栄養源としています。一方、カイガラムシは菌糸膜に覆われて、
外敵から身を守ってもらいます。 こうして両者は良好な関係を築いています。ところが、吸汁性の昆虫であるカイガラムシは樹にとっては ‘寄生’であり、好ましくない関係にあります。
『共生』と『寄生』。一本の樹を観察するだけで 自然界の様々な現象を垣間見ることができます。
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