.    '14年1月20日

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今日の食事は…

 一心不乱に樹の冬芽を食べるニホンザル。日本では、時に農作物被害を与えることから、厄介者扱いされています。 しかし、地球規模でみれば、ヒトを除く霊長類のなかで、最も北に生息する希少種です。雪の下から食物を確保する能力を持ち、寒さに耐える体に進化し、これから春までの冬を生き抜きます。  野生動物の生涯はエサ探しの一生とはいえ、雪におおわれるこれからは、一層苦難の日々となります。 時に、口いっぱい頬張ってしばらく噛んだ後、飲込まずに吐き出すことがあります [写真にマウスオン]。  それはまるで、ヒトがチューインガムを噛むかのようです。 ひょっとしてこれは、食料ではなくて嗜好品? かつて、掘り採ったキクイモを雪の上で転がして泥を落としてから食べるのを目にしました。 海水でイモを洗って食べることが ‘サルの文化’であるならば、園内の サルも独自の文化を有していると言えます。





 200種以上のサルのうち、最も北に分布するニホンザル


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大寒の日

 最低気温が零下10℃に近い日々が続き、真冬日 (一日の最高気温が摂氏0℃未満の日) も珍しくなくなった園内。 氷のオブジェが、あちらこちらで見られます。写真は、園内を流れる烏川での一場面。 冷気に冷やされた水飛沫が、またたく間に氷となり、その大きさを日々増しています。 ‘大寒’となったこの日以降、ここ安曇野の冬はこれからが本番。  ‘立春’を過ぎ‘雨水’(2月18日)をむかえるころまでは厳しい寒さが続きます。 そんな寒さの中でも動物(… ヒトは除く?)は活発に活動しています。
 普段ならば、存在を忘れてしまう野生動物。しかし、積雪期の今は雪上に残された足痕(跡)や食痕・糞などを手がかりに動物の生態を垣間見ることができます。 そこで、毎年好評を博している恒例の 『アニマルトラッキング』を開催します。 この機会に、野性動物たちに思いをめぐらせてみませんか。





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お帰りなさい

 カヤクグリが戻って来ました。昨年の春から初夏にかけて、多くのカヤクグリが園内で観察できました。 繁殖期の夏は高山の針葉樹林やハイマツ帯にいて、ちょっとミソサザイに似た、軽やかで複雑な囀(さえず)り で、登山者の耳を楽しませてくれる日本特産種(=世界中で日本にしか棲んでいない鳥)です。 ひょっとすると写真の個体は、春の一時期を園内で過ごしてから高山に移り住み、秋になって越冬地としてこの地に戻ってきたのかもしれません。
 ところで昨年は、カヤクグリだけでなく、例年見られないほど多くのルリビタキや、いつもなら またたく間に通過してしまうコマドリが長い期間滞在するなど、野鳥ファンにとって楽しみの多い年でした。[→ こちら] 一方、今年の冬鳥の訪れが例年になく遅く感じられます。カシラダカミヤマホオジロを見たのは最近のこと。そのカシラダカを死なせてしまった悔みがあります。





 夏の高山では見るが、冬の低地で出会うことは少ない