陀羅尼品第26 だらにぼん (1)
この品では 薬王菩薩やくおうぼさつ 勇施菩薩ゆうぜぼさつ 毘沙門天びしゃもんてん 持国天じこくてん 羅刹女らせつにょ 鬼子母きしも たち
霊界人たちが 法華経の教えに感激して 自分たちもこの教えを守護します と誓い宣言しました。 「四天王」:「
羅刹女らせつにょ は 暴悪な鬼女きじょ だったが 改心して仏法に帰依し 仏の弟子になった。
鬼子母きしも は 他人の子供をつかまえては 食べていた暴悪な鬼女だが 自分の子供は 大変愛していました。
そこで 世尊が 鬼子母の心を入れ替える為 鬼子母の子供を1人お隠しになっったところ
鬼子母は半狂乱になって探しました。 そのとき世尊は 他人の子の母も同じ気持ちだよ と諭しました。
世尊の諭しを聞いた鬼子母は 自分の非を認め改心して 仏法に帰依し 仏の弟子になった。
この品では 梵語ぼんご の発音そのままの 咒文しゅもん が 多く出てきます。 「三つの咒文」:「鳩摩羅什」
この理由は 五種不翻ごしゅふほん の中の 秘密不翻ひみつふほん の手法で訳した品だからです。
五種不翻 ごしゅふほん とは 釈尊(仏)の説く教えを 正確に伝える翻訳のルール。
1 秘密不翻 ふみつふほん 秘密に属する咒文・真言・陀羅尼など その意義を明らかにすべきでないものは訳さない。
2 此方無不翻 しほうむふほん インドにしか無い動植物や魔物の名前など 翻訳できないものは訳さない。
例 迦楼羅かるら (金鳷鳥こんじちょう 美しい鳥の王)や 緊那羅きんなら (歌神・音楽天)や
摩睺羅伽まごらが (蛇神)や 菩提樹など。
3 多含不翻 たごんふほん その文字や言葉が多義を含む場合 1義のみを顕わせば、他義を失うので訳さない。
4 尊重不翻 そんじゅうふほん 仏陀ぶっだ 菩提ぼだい など 翻訳すれば本来の意味を失うので 訳さない。
5 順古不翻 じゅんこふほん 「阿耨多羅三藐三菩提」など 仏の教えの古来の原語の義が知られている故 訳さない。
古代インドの神秘的な言葉である咒文しゅもん や真言しんごん は 偉大な霊験れいけん 有る言葉ですが
なぜ 偉大な霊験をもっているかについては もはや現代人には 分かり得ません。
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観世音菩薩普門品第25の説法が終了後 薬王菩薩は座から立ち上がり、世尊を礼拝して質問しました。
「世尊、お尋ねします、この法華経を信受し、実行する功徳について、教えてください」。
世尊
「薬王よ 八百万億那由他恒河沙 なゆたごうがしゃ の諸仏に奉仕することは 勿論 尊いことだが
法華経の短い偈のひとつを読誦し・意義を理解し・実行する方が ずっと功徳が多いのです」。
薬王菩薩やくおうぼさつ は感激し、次の言葉を申しあげた。
「世尊 私は今 法華経の説法者を守護する目的で 陀羅尼神呪だらにじんしゅ を贈ります。
不思議よ 思う所よ 心よ 無心よ 永遠よ 修行よ 寂静よ 淡泊よ 変化からの離脱りだつ よ 解脱げだつ よ
済度さいど よ 平等よ 無邪心よ 平和よ 平等よ 迷いの滅尽めつじん よ 無尽むじん の善よ 解脱の徹底よ
奥深く動揺せぬ心よ 淡泊よ 総持そうじ よ 観察よ 光輝よ 自信よ 究竟清浄くぎょうしょうじょう よ
凹凸おうとつ なき平坦よ 高下なき平坦よ 転回なき心よ 旋めぐ りて処ところ を得る心よ 清浄の目よ
等ひとし くして等ひとし からざるものよ 悟りの絶対境よ 学ぶ真理の道よ 教団の和合よ 明快なる説法よ
万徳の具足よ 万徳具足に安住する心よ 無限のはたらきよ 響きわたる声よ 大衆の声への明察よ
大衆に与える教えの全き選択よ 無尽な教えよ 思わざるに法に従う自在の境地よ
この陀羅尼神呪だらにじんしゅ は 無数の諸仏が唱えられたものです。
若し この神呪を唱える法師に害する者あれば それは 諸仏に害するものでございます」。
世尊
「薬王よ そのとおりです。善哉・善哉 あなたは今 法師を守護する神呪を説いてくれました。
この神呪は 未来世の諸々の衆生を おおいに仕合わせにすることでしょう」と お褒めになりました。
(2)へつづく