仏説訶般若波羅密多心経 まかはんにゃはらみたしんぎょう

  
訶般若波羅密多心経釈尊が説く 悟りの境地へ至る 偉大な真理の智慧の教え。
  
摩訶 まか 偉大な。 般若 はんにゃ 宇宙の真理法則で (仏 ほとけ 智慧
  
波羅密多
はらみた 悟りの境地へ至る。                  「迹仏/本仏とは お釈迦さまは迹仏

 
○ 三法印 さんぽういん ー お釈迦さまが説いた三つの真理          「仏の智慧=諸法無我
  
 諸行無常 しょぎょうむじょう  この世の万物は 常に変化している
  
 諸法無我 しょほうむが   ー この世の万物は すべて関連した存在  (ひとつで成り立つものは何も無い)
  
 涅槃寂靜  ねはんじゃくじょう  真実悟りの世界は 心安らぐ真の幸せの世界 (悟りの世界)
  
大意 現象世界は常に変化世の移り変わりしているので 衆生は自分の利害に執着し心が乱れるが
    
  実相世界
涅槃寂靜の境地)では 安楽な心で
自由自在な生き方ができる。
 平家物語 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の‥‥とある 無情情けが無いのではなく 常ならず/変化する意味
       
お釈迦さまの説く諸行無常とは 無情ではなく無常 常ではないの意味です ‥‥‥‥ 「平家物語/諸行無常
   
    お経とは 約2500年前に お釈迦さまが 衆生を憐み心安らぐ悟りの世界に到達できる道を説いた教え。

  ○ 
六煩悩 ぼんのう                                三類の強敵108の煩悩
  
貪欲 とんよく むさぼる心   じん 怒り瞋恚 しんい の心    愚痴無知の心  (貪瞋癡 とんじんち という三毒
  
  まん (驕 おご りの心 七つ)
     憍慢 きょうまん  自分より劣る者より 自分は優秀だと思う心。 過慢 かまん 自分と同等の者より 自分は優秀だと思う心。
    
慢過慢 まんかまん 優秀な者より 自分の方が 優秀であると思う心。   我慢 がまん 自分だけは 永久である と思う心。
    
増上慢 ぞうじょうまん 自分は もう 悟りを得たと思う心。       卑慢 ひまん 自分は他の何者より 優秀であると思う心。
      邪慢
じゃまん 自分は 徳を具えていると 思う心。
 
    ほとけ の教えに疑いをもつこと。    けん 自分の身勝手を起因とした 真理と真逆の誤った見解。

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  経文: かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみたじ しょうけんごうんかいくう どいっさいくやく
    
  観自在菩薩  行深般若波羅密多時   照見五蘊皆空   度一切苦厄
      
  訳: 観自在菩薩は 悟りの世界に至る真理の智慧である般若波羅密多の修行を 深く行じた結果
     人間の身も心も
この世のすべてが くう であると ハッキリと悟られた。
    
そして 衆生が一切の災厄から救われる道を 示された。

  観音菩薩の二つの呼び名
   衆生の声が主体の観世音菩薩
かんぜおんぼさつ 、観音さまの智慧が主体の観自在菩薩
かんじざいぼさつ 


  
 般若波羅密多  はんにゃはらみた   悟りの境地に至る真理の智慧
   五蘊皆空
 ごうんかいくう   この世の万物は 実体が無く空  永久ではなく有限である
   
五蘊 ごおん  ー 心と肉体のことで 識の五つ。
   
しき 肉体のこと ただし色即是空しき 世のすべてのものをいう   受 じゅ 感受する心の作用
   
そう 感受した思いが強まる心の作用     行 ぎょう 感情や意思が加わり 益々深く思う心の作用
   
しき 深く思う心に 善悪の判断や理由付けの要素が加わり 思いが認識になる心の作用

  
上求菩提/下化衆生 じょうぐぼだい/げけしゅじょう とは
    自分自身の悟りの修行を続けながら 衆生を救済する
観音菩薩の慈悲行 じひぎょう をいう。
     観音菩薩は 仏上求を目指しつつ 衆生下化の声を聞き救い給う。
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  経文: しゃりし  しきふいくう  くうふいしき  しきそくぜくう  くうそくぜしき  じゅそうぎょうしき  やくぶにょぜ
       舎利子 色不異空  空不異色  色即是空  空即是色  受想行識   亦復如是
                             ー色即是空空即是色は有名な経文
 
訳: 観自在菩薩は 舎利子 しゃりし の名を呼び 心の作用も同じですと説いた。
    舎利子よ
しき (形のあるもの くう であり が形となっているのです。
  
 舎利子 しゃりし 智慧第一と称賛された釈迦さまの弟子。  別名:舎利弗 しゃりほつ      「仏の十大弟子
   
しき   この しき この世の形のあるものすべてのこと。   (五蘊の色 しき 肉体のこと)
   
色不異空空不異色 しきふいくう・くうふいしき  しき くう は同じである も同じである。
   
色即是空空即是色 しきそくぜくう・くうそくぜしき  しき くう は等しい も等しい。
   
即是 そくぜ  等しいという意味。  受想行識 じゅそうぎょうしき  五蘊を構成している心の作用
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 経文: しゃりし  ぜしょほうくうそう ふしょうふめつ  ふくふじょう  ふぞうふげん  ぜこくうちゅう
        舎利子  是諸法空相  不生不滅  不垢不浄  不増不減  是故空中
     むしきむじゅそうぎょうしき むげんにびぜつしんい  むしきしょうこうみそくほう むげんかいないし むいしきかい
     
  無色無受想行識  無眼耳鼻舌身意  無色声香味触法  無眼界乃至  無意識界

  訳: 観自在菩薩が 舎利子に説いた
    
舎利子よ この世の全てのものの真実の すがた くう であるので 実体は無いのです。
    
真実の世界は 不生不滅不垢不浄不増不減つまり汚れ もありません。
    
空の世界(真実の世界)は 真の安らぎの世界です。 身体 すべて くう である。
    
味覚触覚心の作用これらも くう である。
    
眼で見る世界耳で聞く世界鼻で嗅ぐ世界舌で味わう世界身体で感じる世界心で思う世界
     これらの世界も すべて
くう である。

    不生不滅不垢不浄不増不減 六不ろっぷ という。
  十八界とは 六根 六境 六識 を合わせた世界
   
六根 ろっこん げん ぜつ しん の六つで 人間の五官(心)のこと
    六境 ろっきょう 形 声 香 味 触 法心の作用の六つ
   
六識
ろくしき  ー 眼 耳 鼻 舌 身 意で 認識できる六つの世界

 
 ○六道 ろくどう の世界は煩悩の世界 つまり 天界」「人間界修羅界畜生界餓鬼界」「地獄界の六つ
 
   輪廻転生 りんねてんしょう とは 六道の世界を廻り 生死をくりかえすこと。
  
  天上界に住む天人の寿命は 約990万と伝口され 人間より多くのを享受できるが
    天上界も煩悩の世界であるので 「天人の五衰
てんにんのごすい がある。
 
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  経文:
    むむみょうやく むむみょうじん ないしむろうし やくむろうしじん むくしゅうめつどう  むちやくむとく  いむしょとくこ
   
 無無明亦 
無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽  無苦集滅道 無知亦無得  以無所得故

  訳: 無明 むみょう からはじまり 最後の老死 ろうし に至るすべてがなのです。
    故に
釈尊が「初転法輪」しょてんぼうりん で説いた四諦したいの法悟りに至る真理の法を学び
    苦集滅道
苦諦集諦滅諦道諦の修行をすることで 無の心を得ることができる。
  
 無明 むみょう 煩悩迷い 人間本来の仏性 ぶっしょう を覆い隠して 真の智慧が欠乏した状態にこと。
        
釈尊は 無明罪であると説く。 罪は元々 包む包み隠れる意味をもつ。    「世尊罪について語る
    苦
集滅道 くしゅうめつどう苦諦集諦滅諦道諦の四諦の法をいう。
 
   以無所得故 いむしょとくこ とらわれの無い(執着の無い)心の境地を得る。

   四諦
したい 釈尊が 初転法輪 しょてんぼうりん 釈尊の最初の教えで説いた四つの教え。
   1 苦諦 くたい  四苦八苦 しくはっく のこと。
     ①        ⑤愛別離苦あいべつりく 愛する人と別れる苦  怨憎会苦おんぞうえく 憎しみの人に会う
    
求不得苦ぐふとくく  求めても得られない苦   五蘊盛苦ごおんじょうく 心そのものが
  2 集諦 じったい 煩悩が苦を生む。  3 滅諦 めったい 煩悩を断つとが消滅。  4 道諦 どうたい 八正道を行い煩悩を断つ。
   
経文にある 苦集滅道とは 四諦苦諦集諦滅諦道諦のこと。
      
  十二因縁
いんねん 人間が迷いを深め 苦に至る12の過程ので 外縁起」と「内縁起」がある
    最初の
無明
むみょう 煩悩を生む愚かさ/迷いから進んでいき 最後が老死 ろうし となる。
    老死とは
老いて死ぬ意味ではなく 自らの業に悩み苦しむ状態のこと。

  
  ○
八正道
はっしょうどう 煩悩を断つ正しい八つの修行で 宇宙の真理の法則のこと。
    
正見 しょうけん 法の心で 物事を正しく見ること。    2 正思 しょうし 正しく考えること。
    
3 正語 しょうご 嘘のない正しい言葉で話すこと。   4 正業 しょうごう 正しい行為をすること。
    
5 正命 しょうみょう 人間の正しい生活を営むこと。   6 正念 しょうねん 心にいつも 正しい目標をもっていること。
     
7 正精進 しょうしょうじん 正しい努力をすること。     8 正定 しょうじょう グラグラと動くことない 正しい心をもつこと。

  
六波羅密 ろくはらみつ 心の安らぎを得て 人のため世のために尽くす 六つの菩薩修行
   
布施波羅密 ふせはらみつ ほかの人に施して 心の安らぎを得る。
   
2 持戒波羅密 じかいはらみつ 戒を守り、煩悩を断ち 心の安らぎを得る。
   
3 忍辱波羅密 にんにくはらみつ 忍耐して気持ちを静め 心の安らぎを得る。
   
4 精進波羅密 しょうじんはらみつ 懸命に努力を続けて 心の安らぎを得る。
   
5 禅定波羅密 ぜんじょうはらみつ 瞑想精神統一の修行で 心の安定を保ち 安らぎを求める。
   
6 智慧波羅密  ちえはらみつ   諸法の実相を見通す仏の智慧を得て 心の安らぎを得る。
  
  世尊は、四諦を理解しなさい。そして八正道六波羅密在家五戒を実行しなさい…と説いている…… ボサツマン
 在家五戒 ざいけごかい 在家出家していない人の五つの
    
不殺生戒 ふせっしょうかい 殺生はするな。  不偸盗戒 ふちゅうとうかい 盗みはするな。  不妄語戒 ふもうごかい 嘘はつくな。
     
不邪淫戒 ふじゃいんかい  淫らな愛欲行為は禁止。  不飲酒戒 ふおんじゅかい 酒は飲みすぎるな …… ボサツマンの解釈

 
十悪業 じゅうあくごう けが れの悪行 あくぎょう を重ね 苦がどんどん増していく罪。
   
殺生 2 盗み  3 邪淫  4 妄語 もうご 嘘をつく   5 両舌 りょうぜつ 二枚舌   6 悪口 あっく 悪口を言う
     7 綺語 きご 巧みに飾りたてた言葉  8 貪欲 とんよく 欲のむさぼり  9 瞋恚 しんに 怒り  10 邪見 じゃけん よこしまな見方
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  経文:  ぼだいさつた  えはんにゃはらみたこ   しんむけいげ  むけいげこ
    
    菩提薩埵  依般若波羅密多故  心無罣礙   無罣礙故
                むう  くふ    おんりいっさい  てんどうむそう  くぎょうねはん
                
無有 恐怖  遠離一切   顚倒夢想   究竟涅槃
                                                        
  訳: 菩提薩埵すべての菩薩 般若波羅密多の智慧を 深く会得したので こだわりの心が消えました。
     その結果
恐れとか迷いなどは 一切遠くへ離して 悟りの境地涅槃へ至りました。

   
依般若波羅密多故 えはんにゃはらみた 真実の智慧を 深く会得したので
   
心無罣礙 しんむけいげ こだわりの心が消えた     無罣礙故 むけいげこ こだわりの無い心になったので
   
究竟涅槃 くぎょうねはん 悟りの境地へ到達しました   遠離一切 おんりいっさい 一切のものを遠くに放つ
   
顚倒 てんどう 人間の迷いから生じる間違った考えで 実相真理と逆の見方をすること。
 
 
 ○ 菩薩行 ぼさつぎょう 衆生を苦厄から救う 慈悲に満ちた菩薩の行為。
 
 ○ 発菩提心 ほつぼだいしん 人の幸せを願う心を持って 手を差し伸べること。
  
三つの布施とは 財施 ざいせ 法施 ほうせ 身施 しんせ
 

 
 ○ 菩薩行の無財の七施 むざいのななせ お釈迦さまは 誰にでも出来る布施を説きました。
   
眼施がんせ 優しいまなざし  和顔世わがんせ にこやかな顔で接する  言施ごんせ 思いやる言葉  身施しんせ 肉体的奉仕
    心施
しんせ 思いやりの心   床座施しょうざせ 席を譲る  房舎施ぼうしゃせ 休む場所を与える

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   愛語よく廻天の力あることを学すべし」 あいごよくかいてんのちから
  
意味:
愛の言葉は物事を好転させる力ある」という意味 道元禅師の言葉。
      慈愛の心で話す愛の言葉は 御仏の心なので 天子の言葉や考えを覆す力をもつ。
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  経文:  さんぜしょぶつ  えはんにゃはらみたこ   とくあのくたらさんみゃくさんぼだい
         
三世諸仏  依般若波羅密多故   得阿耨多羅三藐三菩提
       
こちはんにゃはらみた   ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ
       故知般若波羅密多  是大神咒   是大明咒   是無上呪  是無等等咒
          のうじょいっさいく  しんじつふこ   こせつはんにゃはらみたしゅ  そくせつしゅわっ
         能除一切苦   真実不虚   故説般若波羅密多咒  即説咒曰

  訳: 三世の諸仏(過去 現在 未来の仏 ほとけ 真実に目覚める智慧によって完全な悟りを成就された。
    
般若波羅密多の教えは 大きな霊力を持つ ほとけ の言葉。 曇りの無い大きな明るい言葉。
     
無上 むじょう の優れた言葉。 比較するものが無い尊い言葉。 一切の苦を取り除く言葉です。
     般若波羅密多の教えは
真実の教えだから 虚しさはありません。
     さあ 真理の世界へ到達する
般若波羅密多の咒文 しゅもんを唱えよう 唱えよう。
   
過去の七仏 かこの七ぶつ 
        毘婆尸仏
 びばしぶつ 尸棄仏 しきぶつ  毘舎浮仏 びしゃふぶつ  狗留孫仏 くるそんぶつ 
      
 那含牟尼仏 なごんむにぶつ  迦葉仏 かしょうぶつ   釈迦牟尼仏 しゃかむにぶつ
    
現在仏 げんざいぶつ   薬師如来 やくしにょらい   阿弥陀如来 あみだにょらい   地蔵菩薩 じぞうぼさつ ほか
    
未来仏 みらいぶつ 現在、兜卒天 とそつてん で修行していて 未来世に衆生済度する弥勒菩薩 みろくぼさつ
   阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだい完全なる悟り 
    即説咒曰
そくせつしゅわつさあ咒文しゅもんを唱えよう        釈迦如来真言観音真言地蔵真言

   
咒文 しゅもん とは サンスクリット語で 呪文 じゅもん や真言 しんごん のこと
    
三つの咒文があるひと文字を種字 しゅじ   短文を真言 しんごん   長文を陀羅尼 だらに 
     神咒
じんしゅ とは 衆生が 霊験領受 れいけんりょうじゅ を願い 如来に向かい誦じゅ する聖なる密語

  
経文: ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい  はらそうぎゃてい  ぼじそわか   はんにゃしんきょう
         羯帝  
羯帝  波羅羯帝  波羅僧羯帝  菩提薩婆訶  般若心経
  訳: 行こう 行こう 真実の世界へ行こう みんなで行こう みんなで 仏の悟りを成就しよう。
  羯帝 羯帝 波羅羯帝 波羅僧羯帝 菩提薩婆訶サンスクリット語の
   
ガティ ガティ パーラガティ パーラサムガティ ボゥディヒスブァーハそのまま漢字に音写していて
    正確な教えを伝えるための翻訳の規定の
五種不翻 ごしゅふほん のうちの 秘密不翻 ひみつふほん にあたる。
   薩婆訶 そわか とは 円満成就や成功を意味する祈願言葉で 婆訶 そもこ も同義語。

    五種不翻とは
    秘密不翻
ふみつふほん  此方無不翻 しほうむふほん  多含不翻 たごんふほん  尊重不翻 そんじゅうふほん  順古不翻 じゅんこふほん

   塙保己一 はなわ ほきのいち                                 「塙保己一財団響く言葉
  
 若くして失明し盲目の身ながら 毎日 般若心経を100遍読誦群書類從 ぐんしょるいじゅう などの書物を世に著した人物
    後に
ヘレンケラーは 保己一を師と仰いで頑張ったと 心のうちを発表している。