突然私の部屋の前から歌が聞こえてきた。 「♪うえを むういてぇ あぁるぅこぉぉぉう」おいおい何が始まったんだ?看護婦さんに聞いてみると斜め前の部屋に新しい患者さんが入院してきたとのこと。「お年寄り?」と聞くと「うん。そう。ちょっとうるさいかもしれないけど、よろしくね。」との答え。私のいる病棟は整形外科だが、その患者さんは神経内科の患者さんで空ベッドが足りないためこちらにきたらしい。お年寄りで、夜になると泣いたり、騒いだりする患者さんはときどきいるが、昼間に歌をうたう患者さんは始めての経験だった。廊下で会ったりするとあいさつとかしてくれる普通のおじいさんという感じだったが、1時間に1回は「♪うえを むういてぇ あぁるぅこぉぉぉう」とやらないと気がすまないらしい。それも1番の歌詞だけを繰り返すので、聴いている(正確には聞きたくないけど聞こえてくる)方は飽きてくる。でも、夜間歌を歌うことはなかったのでよかったです。夜の病院って音や声が結構ひびくんですよね。その患者さんが別の病棟へ移ってからも、しばらくは耳から坂本九のこの曲が離れませんでした。実はこの「上を向いて歩こう」は私の大好きな長渕剛もアルバムでカバーしてるので結構好きだったんだよね。 でも「上を向いて歩こう」でよかった。これがさくらと一郎の「昭和かれすすき」あたりだったら耐えられなかったと思う。 |