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消灯時間もすぎた夜11時頃、暗い病室のカーテンごしに何やらうめき声が聞こえる。「う〜ん。」ギシギシ。「う〜ん」ギシギシ。(ギシギシはベッドのきしむ音)首の骨が神経にさわって体が麻痺するという症状で入院し手術したSさん(50才位)の方からである。Sさんは一人では動けないはずだから、何かあったのかと思い声を掛けてみた。「Sさん大丈夫?看護婦さん呼びますか?」すると「いや、大丈夫です。」という返事。大丈夫ならいいや。でもなんか気になるんだよなぁ。しばらく「う〜ん」ギシギシが続いたとおもったら今度はドタン!!とすごい音。 「やったな」と思った。たぶんベッドから落ちたのだ。でもさっきは大丈夫といわれたので、こんどは声かけようかどうか迷ったのだが、なにしろすごい音だったので「Sさんほんとに大丈夫?看護婦さん呼びますか?」と聞いてみた。するとこんどは「うん。お願いします。」との答え。ナースコールを押すとすぐ看護婦さんが私のところへやってきた。 「とくちゃんどうしたの?」 「いや、俺じゃないんです。Sさんがベッドからおっこっちゃったみたいなんです。」 と言うと看護婦さんはあわててSさんの方へ行った。 「どうしたのSさん、なにやってんのよぉ!」 「いや、その、あの・・・」 実はこのSさん、お菓子でも果物でも食べたくて食べたくてしょうがない人だったのです。“食べすぎ”ということで昼間看護婦さんに食べ物を戸棚にしまわれてしまっていたのでした。少し食べて、残りは明日にということができないような人だったので、手の届かないところに置くしか方法がなかったのです。 でもSさんの食欲は普通ではなかったのです。人目を盗み、自由のきかない体でベッドから落ちてでも食べたいというその食い気には「あっぱれ」という他ありませんでした。 心配した私が馬鹿みたいな出来事でしたが、翌日から私のニックネームが『レスキューとくちゃん』に変わりました。 |
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