冬の鳥
写真の野鳥はマヒワ。「ああ、冬に集団で見かける黄色い鳥 ネ」 なぁんて軽く片付けてはいけません。
スズメより小さなこの鳥は、繁殖期をユーラシア大陸北部で過ごして、(誰の力も借りずに) いくつかの国と山と海を越え、はるばる渡って来たのです。
マヒワは‘真鶸’と書きます。‘真に弱い鳥’… なんとも弱々しい、儚ささえ感じさせるネーミングです。
さらに言うならば、あの色は単なる【黄色】ではありません。 染色において、【鶸色(ひわいろ)】という、鎌倉時代から伝わる立派な固有名詞があるのです。
染め方は、黄檗(オウバク ← キハダ)で黄色に染めてから、藍を淡く染め重ねてつくりあげるとのこと。
その鶸色と萌葱(もえぎ)色の中間色は【鶸萌葱(ひわもえぎ)】。 大寒を過ぎた今、春を予感する色であり、日本語の美しさが伝わる色彩名です。
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