.    '09年1月24日

   .

冬の鳥

 写真の野鳥はマヒワ。「ああ、冬に集団で見かける黄色い鳥 ネ」 なぁんて軽く片付けてはいけません。 スズメより小さなこの鳥は、繁殖期をユーラシア大陸北部で過ごして、(誰の力も借りずに) いくつかの国と山と海を越え、はるばる渡って来たのです。
 マヒワは‘真鶸’と書きます。‘真に弱い鳥’… なんとも弱々しい、儚ささえ感じさせるネーミングです。  さらに言うならば、あの色は単なる【黄色】ではありません。 染色において、【鶸色(ひわいろ)】という、鎌倉時代から伝わる立派な固有名詞があるのです。 染め方は、黄檗(オウバク ← キハダ)で黄色に染めてから、藍を淡く染め重ねてつくりあげるとのこと。
 その鶸色と萌葱(もえぎ)色の中間色は【鶸萌葱(ひわもえぎ)】。 大寒を過ぎた今、春を予感する色であり、日本語の美しさが伝わる色彩名です。






       事務所窓際のヤマハンノキにて


   .

天啓の光

 ぽつんと一本、まるで後光が射しているような この樹は…ドロノキ(別名:ドロヤナギ)。 園路からは川を隔てた対岸にあり、これまで気づきませんでした。 とある日、たまたま通りかかると、一瞬射した陽の光が、その存在を明らかにしてくれました。
 当公園に関わるようになってすでに長い時が経過しましたが、園路からわずか100mたらずの場所に、このような樹があったとは… (´⌒`;)  
あらためて、その奥深さ(多様性)を覚ったのでした。
 ドロノキは、ヤナギ科ポプラ(Populs)属に属します。‘民衆’ を意味する‘ポピュラー’は、ポプラが語源との説があります(…異論もあります)。 大木となったポプラを目指して人々が集まり、その木陰で集会をしたのが由来とのこと。 この樹も、いずれそのような シンボル ・ツリーになるのでしょうか。 〔以前から確認している もう一本のドロノキの話題は⇒こちら





   .

木地師の世界

 からすの学校次回(2月21日)は『木地師の世界』
日本木地師学会会長 楯 英雄先生をお招きして 木地師(*) について、お話していただきます。
 1000年以上に渡り連綿と続く“木地師”の歴史。その時代背景や逸話について、文学や(普段見られない)作品を通じて解説していただきます。
(*)右写真の説明及び木地師とは ⇒ こちら
 今年度のからすの学校も、次回と3月の2回を残すのみとなりました。3月は恒例となりました馬場多久男先生による『樹木観察』。冬芽による同定方法や、樹の実や花の見方をお話いただきます。
  なお、来年度(4月〜来年3月)のからすの学校は、4月のオオルリ観察を皮切りに、植物 ・動物 ・昆虫のことや歴史あるいは文学など、これまでの集大成となる講座を計画しています。 乞う ご期待!