.    '10年4月24日

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倒木処理

 季節はずれの雪で、幾本かの樹が倒れたり折れてしまいました。胸高直径 2、30cmの高木で被害に遭ったのは、すべてヤナギ(オノエヤナギ)でした。
 ここ 1、2ヶ月の間の雨氷(うひょう)害や雪害を耐え忍んだ樹が、なぜ ここにきて根返りや幹折れしてしまったのでしょうか? 原因は… 春を迎え、活動を開始して盛んに水を揚げるようになった昨今、地上部が重くなり、着雪に耐えられなかったため と考えられます。樹にすれば『やれやれ、やっと冬が終わった。さぁて、花を咲かせ葉を出すぞ』 と 意気込んだ矢先の出来事と言えます。  それにしても、これら倒木の処理は難儀しました。川に向かって倒れたため、(流されないように) ロープで牽引しながらの伐倒作業となりました。 倒した樹には流水圧もかかり、容易には引き上げられず…  その重さに、これまで幾星霜を経てきた樹の、時の重さを痛感したのでした。





     この範囲だけでも 5本ほどの被害木が


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臙脂(えんじ)色の樹

 この時期、ひときわ目立つ臙脂色の花は、カツラ。 カツラは、雄花が咲くオスの樹と雌花が咲くメスの樹があり 〔←雌雄異株という〕、写真はオスの樹です。
名前の由来は、【香りが出る=香出(かづ)】⇒【カツラ】とのこと。 秋、黄葉した葉が甘く香っているのに出会えれば、だれもが納得することでしょう。
 香りの主成分は ‘マルトール’。 ホットケーキや綿菓子でお馴染みのカラメルの匂いです。 麦芽糖(マルトース)が、百数十度で熱分解するとマルトールになるのですが、 当然ながら、樹がそのような高温になるわけもなく… 何らかの菌が関与しているとの説を聞いたことがあるのですが、はてさて?  なによりも、なぜそうする必要があるかは判っていないようです。
それにしても、春の花、夏の緑陰、秋の黄葉と香り、落葉後の冬の樹形などなど、一年を通して見所が多く、来園者からのお尋ねが絶えない樹木です。





           冬枯れの園内に咲く


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桜探訪 (旬情報 番外編)

 写真は、当WEB管理者が所属する樹木医ネットワーク ・松本が開催した【桜探訪】での一場面です。 一昨年・昨年に引き続き、3回目となりました。(昨年の様子は⇒こちら)   例年同様、募集開始から数日で定員となってしまい、ご要望にお応えできなかった方々には申し訳ない限りです。
 今回ご覧いただいたのは エドヒガン、シダレザクラ、ソメイヨシノ の名木です。 特に、ソメイヨシノは日清戦争の戦勝記念として植えられたとの記録があり、樹齢 120年余り。寿命 5,60年ともいわれるソメイヨシノとしては長寿といえます。 「いっぱいあるんだから長生きするのもあるんじゃない」と思われるかもしれませんが… これまで存在したすべてのソメイヨシノはクローンであり、同一の遺伝子を持つ以上、 『例外的な一本』 と単純には片付けられないのでした。





   松本市・アルプス公園 『泉小太郎のしだれ桜』