.    '14年7月9日

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旅立ち

 羽化直後のヒオドシチョウが、さきほどまで入っていた蛹の殻にとまっています。写真は、縮んでいた翅に腹部の体液を送って広げ終わり、翅が固まるのを待っているところ。 この段階で正常に翅が広がらないまま死んでしまう個体もいるようです。さらには、極めて無防備な状況にあるため、野鳥の格好の餌になります。 今回、この蛹を見つけて以降、心配だったことがありました。蛹が下がっているヤナギに大量のマイマイガがいたからです。 多くの葉が食害され、蛹のある枝近くまでマイマイガが迫っていました。蛹に直接の害は無いにしても、それが付いている葉が無くなったら どうなるのだろうと、一時はハラハラしたのですが、なぜか この近くだけは食害されませんでした。蛹があったことと関係があるのでしょうか? 成虫で越冬するヒオドシチョウ。この個体も春を迎えられますように。 過去の話題   アサギマダラの羽化





   2週間余りのおつきあい。 旅立ちを見送る


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赤い実

 園内のあちこちに生えていて、今頃真っ赤な実をたわわにつけるため、来園者からお尋ねの多いニワトコです。  この樹に馴染みのない方も、『宝塚歌劇団の‘すみれの花咲く頃’と関係があるんですよ』 とお伝えすると、がぜん多くの方が興味を持たれます。 ‘すみれの花咲く頃’の元歌はシャンソンの ‘白いリラの花の咲く頃’。 さらにその元歌は、90年ほど前オーストリアで流行った ‘白いニワトコの花が咲く時’です。 ニワトコリラ(ライラック)スミレと面白い変遷です。ところでこの樹は植物分類ではスイカズラ科に属するのですが、今はレンプクソウ科とすることもあります。 その違いは、花の形や性質から分類する「新エングラー体系」とDNAから分類する「APG体系」の違いによります。 花の形からおおよその仲間(科)の見当をつける当WEB管理人としては、この樹がレンプクソウ と同じ仲間とされると戸惑ってしまいます。





接骨木の別名は民間薬として骨折治療に使ったことから


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森太郎 と鬼ブナ (旬情報 番外編)

 長野県と新潟県の県境にある鍋倉山 の‘巨木の谷’と称されるブナの純林。林野庁 『森の巨人たち100選』 に選定されている森太郎(左)は、そこで数百年を生き続けています。 毎年同じ時期に、その樹を診断するようになってから今年は節目の 10年目となりました。 数年前からは、新たに見つかった鬼ぶな(右)と名付けられた巨木の樹勢推移も見守っています。 いずれの樹も、人が近づくことを回避するために広範囲を立ち入り規制しています。 これは 3年前に枯れたブナ(森姫と命名)の衰退要因のひとつに、根元への立ち入りによる土壌踏み固め(踏圧)が考えられるからです。  おそらく当WEB管理人よりもはるかに長生きするであろう 2本の樹の心配をすることはお門違いかもしれません。 しかし今は、『たとえ明日世界が終わりになろうとも、私は今日リンゴの木を植える』… マルティン・ルターの言葉が胸にしみます。





     根系調査のために立入った際に撮影