妙音菩薩品第24 みょうおんぼさつぼん (1) 「2」 「3」 「4」
妙音菩薩 みょうおんぼさつ は 宇宙の遙か彼方(理想の世界)に住む菩薩です。
薬王菩薩品の終了後、世尊の「眉間白毫」 みけんびゃくごう から、眩まばゆ い閃光せんこう が放たれました。
眩まばゆ い閃光は、東方の無数の仏国土を、宇宙の果ての無限の世界を 明るく照らし出しています。
世尊の眉間が放つ閃光は、遠く宇宙の果ての果ての世界の国までも、照らすことが可能なのです。
その閃光は、人類の理想の世界である浄光荘厳じょうこうしょうごん という国を 特に明るく照らし出しています。
浄光荘厳という国では 浄華宿王智如来 じょうけしゅくおうちにょらい という仏が、衆生に法を説いております。
釈迦牟尼世尊しゃかむにせそん 放つ白毫の光明は、必ず、仏(如来)が衆生に方を説く国を照らします。
世尊は閃光を放って 宇宙の果ての隅々の世界にも、仏が存在する事実を衆生に見せて教えたのでした。
つまり 世尊の白毫相びゃくごうそう の閃光は 十方世界を明るく照らす真理の光なのです。
その浄光荘厳の国には、高い徳を具えた妙音菩薩みょうおんぼさつ がおりました。
妙音菩薩は、多くの三昧神通力さんまいじんつうりき を具え、その心・精神は完成されておりました。
※ 15の三昧神通力とは 「六つの三昧」
1 妙幢相三昧 みょうどうそうさんまい 法華経がすべての教えの中心であると 確信できている境地。
2 法華三昧 ほっけさんまい 法華経の教えを深く信じ 身に行い 心は散乱しない境地。
3 浄徳三昧 じょうとくさんまい 増上慢や我の心が無く 浄らかな徳を具えた境地。
4 宿王戯三昧 しゅくおうけさんまい 優れた徳を具え 自在に人を導く仏や大菩薩に成りたいという願を 常に念じる心境。
5 智印三昧 ちいんさんまい 深い智慧を具え その智慧が周囲の衆生の心に 強く感化することを 常に念じる心境。
6 解一切衆生語言三昧 げいっさいしゅじょうごごん 一切衆生の望みを見通し それにあった教えを説くことに精神を統一した境地。
7 集一切功徳三昧 しゅういっさいくどく 教えの功徳は自他共に仏に成る という一つの教えに 心が集中している境地。
8 清浄三昧 しょうじょうさんまい 煩悩ぼんのう をすべて打ち払い 清浄の身を保つことに 精神統一している境地。
9 神通遊戯三昧 じんつうゆげさんまい どんな境遇にも執着しない 自由自在な心境を保つことに、一心に努力する境地。
10 慧炬三昧 えこさんまい 明るく照らす炬たいまつ の火の如く 智慧の光で世の中を明るくしようと 常に努力する境地。
11 荘厳王三昧 しょうごんおう 優れた仏の徳を身につけ 人々を感化する人間になりたいと 常に念じ努力する境地。
12 浄光明三昧 じょうこうみょう 浄らかな光明の光で自分の身を輝かせ 周囲を浄化したいと 強く念願し努力する境地。
13 浄藏三昧 じょうぞうさんまい 心を浄きよ らかさで、満杯(藏)にしたいと、強く念願し努力する境地。
14 不求三昧 ぶぐさんまい 仏の境界に達する理想を固く心に念じて ひたすらに修行に励む境地。
15 日栴三昧 にっせんさんまい 万物を育成する太陽の如く すべてを生かす教えの境地を得ることを 常に努力する境地。
妙音菩薩は このすべての三昧 さんまい を具えた、非常にすぐれた菩薩でしたので
白毫相びゃくごうそう から真理の光明を発せられた 娑婆世界の釈迦牟尼世尊は
非常に徳の高いお方であることを 即 妙音菩薩は感じとりました。
そこで 妙音菩薩は 国土の仏である浄華宿王智如来 じょうけしゅくおうちにょらい に
『私は今 非常に徳の高い娑婆世界の如来の光明をこの身に受けました。
その光を放った仏は 釈迦牟尼如来という、娑婆世界の最高の徳を具えた如来でございます。
私は是非 その如来やその弟子たちや 多くの菩薩たちに、お会いに娑婆世界に参ろうと思います。
そして 釈迦牟尼如来を拝したいと考えております』と、伝えました。
浄華宿王智如来は
『それはまことに良い考えです。是非とも行っておいでなさい。しかし、注意しておくことがあります。
娑婆世界は、あまり美しい所ではありませんし、如来や菩薩たちのお身体も たいへんに小さいのです。
私たちのような大きく光輝く身体と比較して 軽蔑けいべつ の心で見てはいけません。
決して 考え違いを起こしてはなりません。くれぐれも、気をつけることです』と、応えました。
妙音菩薩
『はい 良くわかりました。浄華宿王智如来さまのお力添えで 私は娑婆世界に参ることができるのです』。
(2)へつづく