第1話 カメを飼いたい!

 私は幼い頃から生き物が大好きでした。当時まだ我が家に庭があった頃は、庭の石を引っくり返してダンゴ虫やハサミムシを探したり、池の鯉や金魚を見ては 一人悦に入っていたものです(あの時爆竹で爆死させたカエルさん本当にごめんなさい…、ここで謝っておきます)。

 しかも私の好きな「昆虫類」「爬虫類」「両生類」「魚類」「鳥類」は、犬と違ってシツケがまったくいりません。エサを与え住処を掃除してやるだけで、 ユーモラスな姿を毎日飼い主に見せてくれるのです。夜行性は夜でないと見られませんが。

 例えば私が大学生の頃に飼っていたグリーンイグアナの「ハリーちゃん」は、エサのコオロギやワームを俊敏な動きで捕らえ魅了してくれました。しかしある 日ハリーちゃんはケースの掃除中に脱走したまま、10年経った今も帰ってきていません。生きていれば2メートルくらいに成長していることでしょう。

 また、ラージマウスバス(ブラックバスの口の大きい種類です)の「バス子」は、毎日メダカや金魚を飽きるまで食いまくっていたおかげで大変大きくなった のですが、ある日水槽のフタを蹴散らして外で干物になっていました。カマボコ板に「バス子のお墓」と書いて庭に埋めたのを覚えています。

 さらにひとつがいの「チャボ」を飼った時の事です。たった2羽のチャボが最終的には30羽近くまで増えてしまい、一日に取れる卵の数も半端ではなくなり ました(確か飼っている間はスーパーで卵を買った事はなかったように記憶しています)。
 結局都会の真ん中で30羽を越すチャボは飼えなくなり、知り合いに引き取ってもらいました。まあ、養鶏場を経営する気はなかったので善い人がもらってく れて良かったです。
(今思えば悲惨な末路を辿ったペットが多いような…、みんな本当にスマン!)

 そういった愛してやまない生き物の中でも特に好きだったのが「カメ」。あの「動きのトロさ」「硬い甲羅」「エサにがっつく姿」、どれをとっても魅力的な 生き物です。

 という事で結婚してすぐに「カメ」を飼うべく工作しました(「クック」を飼うよりも10ヶ月ほど前の事です)。まず妻に「カメを飼いたい」と提案。もち ろんこれはあっさりと却下されました。しかる後「サカタのタネ」や「東急ハンズ」など、ペットショップに行く時にはすかさず「カメコーナー」に誘導し、カ メがいかに素晴らしい生き物かを力説してカメのイメージアップを図りました(選挙運動みたい)。

 私の地道な努力の甲斐あって、妻から「かわいいカメなら飼ってもいいじゃろう」とのお許しが出たのです!

 ここでまずかわいくないミドリガメは脱落。

 子供の頃に何匹も飼ってたので知っていますが(昔から安いので子供にも買いやすいからね)、ミドリガメはなんと言っても目つきが悪い(目の周りの模様の せいか「常に何かを企んでいる」ような感じ)。
 しかも大きくならないと思って油断していると、みるみるうちに30cmくらいに成長して、小さい頃のかわいさはカケラもなくなります。

 そこで考えた挙句「カブトニオイガメ」を妻に斡旋して、念願の カメを飼い始める事に成功した のでした!



第2話 カブトニオイガメはこんなカメ

 私達は1匹では寂しかろうと2匹購入して、それぞれ「モモ」(妻が命名)と「文太」(私が命名。理由:菅原文太のファンだから)と名づけました。

(本編とは関係のない話です。以前、仕事の関係で菅原文太さんを間近に見た事が一度だけありました。かっこいいですねぇ、任侠映画そのままの雰囲気でし た。それで隣に息子のかおるさんもいた事を覚えています。ここでご冥福をお祈りします…)。

 さて、それでは私達が飼育していく中で気づいたカブトニオイガメの特徴をご紹介します。

[カブトニオイガメについて個人的見解]

名前の「ニオイ」という部分が「このカメ臭いのか?」と来店客に思われがちなので、最近では学名の「レザーバックマスクタートル」という名称で販売されて いる事が多いです。


 大体ベビー(生まれて間もない子ガメ)は4,000円前後で、アダルト(繁殖させられるくらいの大人のカメ)は5,000円前後が相場でしょう。

 大きくなっても体長は20cm程度ですから、45cm水槽で十分飼う事ができます。特徴はギザギザとした形でテントを張ったように高さのある甲羅。ただ し大人になるにつれて低く滑らかになっていきます。
 「ドロガメ」と「ヌマガメ」のどちらに属しているのかは、なぜかショップによって違いますが(いい加減だな〜)、泳ぎが下手なのは確かです。
 以前は甲羅の4倍くらいの高さまで水を入れていましたが、水面まで息継ぎに来るのがツラそうだったので、今ではセオリーどおりに甲羅の2倍くらいの所に 水面を設定しています。
 エサは主にテトラベルケ社の「テトラレプトミン」を与えています(普通はこれだけで問題ないでしょう)。ちなみに姉妹品の「テトラガマルス」を与えてい た時期もありましたが、水の汚れが早くなるので今ではやめています。



 体長が10cmを超えたあたりで生餌(メダカやエビ)もあげ始めました。メダカを20匹くらい入れると翌日には綺麗にいなくなっているので、人口飼料な んかよりも全然おいしいんでしょうね、きっと。
 人に慣れやすい性格ですけどかなり臆病なので、隠れられる所を作ってあげた方がいいでしょう。うちでは水草(本物の水草は食べてしまうので、食べられる のがイヤだったら造花をお勧めします)や素焼きの小さな植木鉢を置いています。
 文太とモモのライフスタイルは「一日中水の中でダラダラ過ごす」です(私から見ればうらやましい限り…)。そのため甲羅にコケが付きやすいので、時々歯 ブラシで擦って取っています(口を開いてすごい怒るけど)。
 しかし年中水中にいるだけに水から頻繁に上がるようになったら危険信号(私だけの考えかもしれませんが)、もしものときのために爬虫類を診察できる獣医 を探しておきましょう。



3話 子供の時はかわいいミドリガメ

 お祭りの「カメすくい」の景品やペットショップでも300円くらいで売られている甲羅が緑色の小さいカメは、子供たちから「ミドリガメ」と親しまれて飼 われていますが、正式には「ミシシッピアカミミガメ」という種類のカメです。


 名前の通り、ミシシッピ川流域に棲息していて耳の部分が赤いのでついた名称なのでしょう。
 外来種ながら日本の気候に順応して以前から国内の川沼に棲息しているクサガメやイシガメなどを追い出すパワー、そして価格の安さと何でも食べる雑食性で あっという間にペットとして広まったカメです。

 下の写真のように裏の模様は個体によって色々あるので、中には「人の顔に見える」なんていう変わったものがいるかもしれませんね。

 ところでこのカメ、誰でも子供の頃には飼育していたことがあるのではないでしょうか?

 私の場合はまだ庭をつぶす前で池があった頃なのでみんなノビノビと暮らしていたせいかよく食べて、子ガメの頃からは想像できないほどに大きくなりまし た。そうですねぇ、大体30cmくらいだったと思います。

 ただでさえ目つきが悪いうえにすぐに大きくなってしまうので、さらに見た目はカワイクなくなります。でもバクバク食べる姿がかっこよかったので川や池に 捨てることはせず、子供だった私はひたすらエサ(カメのエサをどんどん買えるほどお小遣いはなかったのでもっぱら煮干でした)をやっていました。

 ただ食い意地がはっているうえに悪食なカメなので、池を泳いでいた鯉の尾びれに噛み付いてボロボロにしてしまい、父や叔父に「バカもーん、この鯉はいく らすると思ってるんだぁーーー!」と度々怒られていたような記憶があります(^^;

 そのうち年月が経って寿命か、病気か、はたまた冬眠の失敗のせいで次々とお亡くなりになり、ある年の春、ついに1匹もいなくなりました。それで私のカメ 熱も冷めて飼わなくなったわけですが、まさかあれから20年以上も経った今、再びミドリガメを飼い始めることになろうとは思いもしませんでした…。

 きっかけは「縁日」です。


 りこぴょんが何を思ったか、「『カメすくい』をやりたい!」と言い出したのです。それで私もつい懐かしく、「別にいいんじゃない、おれも生き物好きだ し」ということでやってしまったのです。それにしてもあの頃とは物価が違って、1回300円もするんですね。ぶっちゃけた話、「300円出せばペット ショップで買えるなぁ」と思いましたが、すくうという行為にお金を出すわけなのでまあ仕方がないかなと思いました。

 で、1回目のチャレンジは失敗。

 これだと1匹ももらえないんですよ。

 2回挑戦すれば2度ともすくえなくても無条件でくれるのでここで止めるわけにはいきません。りこぴょんはこうして600円払って2回目に1匹すくい、よ うやくゲットすることができたのです。
 りこぴょんはカメの名前を「リク」にしました。どうやら水の中に潜ってばかりいるカブトニオイガメのモモと文太と違って、このカメは「陸に上がるから」 ということから来た名前のようです(^^)

 さて、我が家の場合カメを飼う器具には事欠きません。ベランダに出れば様々なサイズの水槽がゴロゴロしてますし、ヒーターもあればカメのエサもありま す。普通の家ではこうはいかないでしょう。って言うか、うちが特殊なのかも?

 こうして「リク」は我が家で一番新しい住人になったのですが、ここで私とりこぴょんは一層衛生面に注意を払おうと誓いました。皆さんは「サルモネラ 菌」って聞いたことありませんか? これは「サルモネラ食中毒」を引き起こす細菌で、
 
 ●下痢
 ●激しい腹痛
 ●発熱(40度までは上がらない)
 
 など風邪のような症状が出ます。死ぬことはありませんが、トイレから出られないのでかなりつらいようです。そして大人は体力があるので簡単に感染しませ んが、子供や高齢者にとっては要注意なのです!

 私の子供の頃に「サルモネラ菌はミドリガメが媒介する」という話が広まって、学校でも「ミドリガメを飼うのはやめましょう」なんていう運動が起こったり しました。
 ただミドリガメは確かに高確率でサルモネラ菌を持っていますが、ペットの「犬」や「猫」、食品の「肉」や「卵」からも感染するのでミドリガメだけが悪者 ではありません。もしかしたら私たちが目を離したすきにクックがモモちんの口をペロッと舐めてしまったことが原因で、モモちんが「サルモネラ食中毒」に なってしまうかもしれないのですからね。

 というわけでリクが来た事で「ペットを触ったら必ず手を洗う」を我が家では徹底することにしたのです。最近クックを触った後に手を洗わずにモモちんを 抱っこしたりしていたので、私も気を引き締める良い機会になりました。ちなみに低温と乾燥には耐性がありますが熱には脆さを見せるので、煮沸消毒をすれば ほぼ完全に防げるようです。

 でも私がミドリガメを飼っていたときは、よくアイスを食べながらミドリガメをいじくりまわしたりしていたものですが、サルモネラ食中毒にかかった憶えは まったくありません。身体が丈夫だったのか、それとも風邪だと思っていたのがサルモネラ食中毒だったのか、今では謎です。

 ま、小さいお子さんを持つご家庭ではペットからの病原菌感染に気をつけましょう(^^;)



第4話 新たに家族に加わったリクガメさん

 突然ですが2006年夏、「ヨツユビリクガメ」の「ニケルちゃん(♀)」が我が家にやってきました。

 別名「ホルスフィールド」や「ロシアリクガメ」とも呼ばれるリクガメの中では人気のある種類で相当数が飼育されています。
 8月5日現在でニケルちゃんの甲羅の長さは17cm、体重は883g、最大で23cm程度と言われているので個体としては大きな部類でしょう。

 それでご飯を与えていて気になったのは、クチバシと爪が長いこと。少々食べにくそうにしていますし、爪も曲がってしまっていました。最初はニッパーで切 ろうと思いましたが私が持っているのは安物でクチバシを折ってしまう恐れがあったためルーターに替えました。ルーターで削り始めたのですが時間が相当かか りそうでニケルちゃんの負担が大きいと思われたため断念。
 そこでクックが動物病院に予防接種に行くので、ニケルちゃんも一緒に連れて行くことに(犬猫専門のためちょっと不安)。

  獣医師にニケルちゃんを見せたところ「削るくらいなら大丈夫ですよ」と快諾していただきました。
 ものの7分で下の写真の白い矢印が指しているラインのところでクチバシをカット。あまり長くなると噛み合わせが悪くなって元に戻らなくなるそうなので要 注意ですね。すべての爪も右の写真のように3mm〜5mmくらい切ってもらいました。

 





 さて、病院から帰ってきたニケルちゃん、ベランダに放したらあっちこっち歩き回って楽しそうにしています。リクガメは意外と力があって邪魔なものはなぎ 倒しながら進んでいました(苦笑

 そして観葉植物の鉢へ一目散に駆けつけ、パクパクとおいしそうに食べ始めました。目もいいのね(苦笑
 お食事後は日陰に入って寝ているようでした。温度と湿度を見るとちょうど良いくらいなので適温かな?!



 さて、こうして我が家にやってきたニケルちゃんですが、今後の課題は住環境を整えること。温度と湿度の管理はしていますが、いつまでも仮住まいというわ けにはいきません。
 ベランダか屋上に家を造ってあげたいと思いますが、諸事情により8月中は造れないのでしばらくは仮設住宅で我慢してちょうだいね。