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〜掛軸の紐を結ぶ〜
掛軸の扱い方
ややこしいとされる掛軸の紐(巻緒といいます)の結び方をご紹介。
掛軸の傷めにくい巻き上げ方、保管法…これは表具店や扱う人により様々。
いち方法としてお役に立てれば幸いです。
掛軸の保管方法
現在主流の機械表具ではなく、昔ながらの糊と技法で裏打された掛軸は
次期修復の際和紙の剥離が容易である反面、気温・湿度の変化に対して非常に敏感です。
そうした環境下に置かれると見る間に狂っていきます。
真っ平らに掛かっていた一幅が大きく波打ったようになってしまいます。
どんな環境下にあっても、微動だにしない様な仕上りでなければいけないのですが
まだまだ私達には研鑽が必要です。
より永くお気に入りの作品をお愉しみ頂けますよう、いくつかポイントをご紹介いたします。
・「一度掛けたら掛けっ放し」はダメ。
一週間ほど掛け、2.3日しまい、また掛けて。繰り返すうち次第に狂いにくくなります。
・急激な乾燥大嫌い。
冷暖房を使う部屋に掛けたり、直射日光、直接風を当てる事などは避けましょう。
・虫干しは春秋の晴れた日に。
夜しまい、翌日天気をみて又、掛けましょう。反復三日位が目安。
・しまう時は晴れの日に。
雨の日にはしまわない。地袋より天袋・・湿気の少ない場所に保管しましょう。
(湿気が掛軸の中にこもって、カビの発生や裏打紙が浮く原因となります)
・掛軸用の防虫香も忘れずに一緒に入れてしまいましょう。
匂いが薄くなったら交換時期です。
・折れたシワや糊シミ(黄色や赤い斑点)、歪んでしまった掛軸は
裏打ちを新しくやり替えねば直りません。
・虫干し、扱いが困難な方はお手伝いに伺います。
掛軸の掛け方
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掛軸を桐箱から出し、Bの様に紐を手前に引き、Dの様に画面奥へと紐を解きます。
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紐を解いたら Gの様に、掛け緒(吊り金具に掛ける為の紐)の左右どちらでも良いので巻緒を寄せましょう。
H紐下を抜き、I掛け緒に矢筈を掛けましょう。
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金具に掛け緒を掛け、K矢筈を外し、脇に置いて、ゆっくり掛軸を下ろします。L必ず軸先を持って下ろしましょう。M一番下まで離さずに。
N心ゆくまで一幅を愉しみましょう。
掛軸のしまい方
× 好ましくありません | 1 | 2 | 3 | 4 |
いきなり下から巻いてはいけません。長く掛けた場合、乾燥して掛軸が折れやすくなっている場合があります。
@の様に、掛軸を胸の高さ程度まで持ち上げ、ゆっくり緩めに巻いていきます。
A胸くらいまで巻いてきたら、緩みを取るようにゆっくり締めて巻きましょう。片手で掛軸の中心あたりを持ちます。この際、強く握ってはいけません。
Bもう一方の手に矢筈を持ち(慌ててはいけません)C掛け緒に掛けます。
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D金具から掛け緒を外したら、E「矢筈は外さずに掛け緒に掛けたまま」 Fの様に掛軸を下に向け、矢筈を外します。
G巻き上げます。この際、掛軸の表面(絵側)が自分の方に向くように。裏側(裏打紙側)を自分に向けると、持っている所から折れるのでご注意を。
風帯を巻き込まないように致しましょう。この巻き方だと風帯の巻き込みもありませんね。
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I辺りまで巻いたら下に置き(周囲が濡れていないか確認しましょう)。紐下(紐の下に入れる紙の事)を用意しましょう。左右の風帯をたたみます。
Kの様に、はみ出てはいけません。ちゃんと折れる様に作ってあるので、Mの様にたたんで下さい。
紐の結び方
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紐下を風帯の下に入るように差し込みます。(紐下は巻緒を巻きつけた際に、掛軸を傷めないようにする為のものです)ABの様に一周させます。
C寄せておいた巻緒を中心より少し左側に持ってきます。
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E巻緒を手前に持ってきます。F左手で掛軸を持ちます。GH掛軸は奥にまわし、巻緒は手前に巻き付けます。(座り、太ももの辺りで行うと楽です)
I三周巻いたら(店によって4周分の長さがあったりします)
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J親指で巻緒を掛け緒にくぐらせます。K左手で、出てきた巻緒をつまみ引きます。巻緒が全て抜けない様、右手で紐を送りながら加減しましょう。
L巻緒を引きM掛け緒の下をくぐらせます。N両端をキュッと引っ張り
完成
箱へしまう
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@A掛軸を桐箱へしまう時は、薄い和紙などで包みましょう(除湿効果) B表具用の防虫香も忘れずに。(当店で取り扱っております。)
C桐箱の枕は上下があり、幅の厚い方に八双が来るようにします。
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D納め方が違う(枕の上下と掛軸の八双の位置が逆)と蓋が閉まりません。EF蓋はゆっくり閉めましょう。G更にタトウや二重箱に入れれば万全です。
掛軸備品
(当店で取り扱っております)
一番上…片又矢筈 普通の物より掛けやすい。
上から二番目…自在掛け 掛け軸の掛ける位置を調整します。
ワイヤー製の自在掛もございます。
防虫香…匂いが消えたら交換しましょう。
効果は桐箱を開ける頻度にもよりますが、三年くらいです。