世尊
 
 「では衆生が共存して生きる三つの社会三世間さんせけん を説きます。
   
 五陰世間 ごおんせけん   一般的な生活環境のことで、個人の心と心が互いに影響しあう社会。
   
 衆生世間 しゅじょうせけん  現実の社会や国家のことで、衆生がたくさん集まって暮らす社会。
   
 国土世間こくどせけん    地球規模の世界観のことで、衆生世間がたくさん集まっている社会。
 
 上記の三世間を理解した上で説法をつづけます。
  
大通智勝如来 だいつうちしょうにょらい  示転/勧転/証転三通りの方法で四諦の法門 したいのほうもん 説き
  それから12因縁の法分かりやすく説きました。
  すると
大通智勝如来の説法を聞いた無数の人々は真理の法の力を得ることができました。
  真理の法の力を得た衆生たちは
変化する周囲の出来事の影響を一切受けることがなくなりました。
  つまり
衆生たちは周囲のどんな変化にも動揺しない自由な心を得たのです。
  衆生の心が
 ーいつでもどこにいても 自分と宇宙の真理が一体となっている自覚の心に好転したのです。
 大通智勝如来
第二第三第四の説法でも四諦の法門と12因縁の法を繰りかえし説きました。
  そこで
無数の人々が真理の法の力を得て心が同様しない境地に達したのでした。
  しかし
この境地はまだ小乗の悟りの境地で大乗の境地までは到達していないのです。
  小乗の
境地ではあるが大通智勝如来は無数の人びとを迷いを遠離おんり させることができたのです。
  その後16人の王子たちも小乗の境地まで達したので大通智勝如来から出家を許されました。
  こうして
16人の王子や多くの衆生たちは皆沙弥 しゃみ つまり仏の新弟子と成ったのです。
 大通智勝如来はまづ衆生たちに、
  
大乗だいじょう の教えに至る過程つまり通過点である四諦の法門や12因縁の教えを説いて、
  それから
仏の悟りに達する大乗の教えの真の中心である ー菩薩道の実践を 説きました。
  小乗の悟りを得た新弟子の沙弥 しゃみ たちは
仏の教えを学び自得する能力が優秀でしたので、
  まもなく
仏の説く大乗の教えを徹底的に理解するところまで 成長していきました。
                                                   
      
  大通智勝如来の父/転輪聖王
 てんりんじょうおう その家来たちは如来(大通智勝如来)
  
阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだい に到る最上の教えを説いてくださいと熱く懇願しました。
  転輪聖王とその家来たちの熱い心を見極めた大通智勝如来は
彼らにも出家を認めました。
  こうして
転輪聖王と家来たちも沙弥 しゃみ 仏の新弟子に成りました。
  実はこの時
一番嬉しく思ったのは大通智勝如来自身でありました。
  仏の悟りを求める父の転輪聖王が眷属
けんぞく を引き連れ元は息子であった如来の許へきたときから、
  大通智勝如来は
彼らの出家を心から待ち望んでいたのでした。
  転輪聖王と家来たちが出家することができたので
大通智勝如来の大歓喜こそ大きいものでした。
 大通智勝如来大勢の出家在家の弟子たちに向かい 二万劫こう もの長い間
  
妙法蓮崋 みょうほうれんげ 教菩薩法 きょうぼさつほう 仏所護念 ぶっしょごねん という大事な教えを説きました。
  教菩薩法とは、菩薩道を教える法は、妙法蓮崋経の教えに有るという意味。  
       仏所護念とは、妙法蓮崋経は、諸仏が大事に護っているという意味。
       1劫は、人間時間の約10万年だから、二万劫は2万×10万年ですよね ‥‥どひゃ〜めっちゃ長い、ボサツマン
 16人の王子と転輪聖王とその家来の沙弥しゃみたちは、如来の説法を聞き終えた直後
  自分も必ず
阿耨多羅三藐三菩提の悟りを得たいという強い願いが心に湧き起きてきました。
  そこで
沙弥たちは妙法蓮崋の教えを心に固く信じ実行し深く学び他の人に解説げせつ しました。
  しかし
沙弥以外のほとんどの衆生は、
  所詮
 自分は仏ほとけ に成れるはずがないという疑惑の念で凝り固まっていていましたので、
  妙法蓮崋の教えを
心から信解 しんげ することはありませんでした。
   
  その後
大通智勝如来はさらに八千劫という長い間休みなく妙法蓮崋の教えを説きつづけました。
  そして
八千劫が過ぎた頃如来は端座たんざ したまま静かに瞑想 めいそう にはいられました。
  如来はその瞑想三昧
 めいそうさんまい 八万四千劫もの間つづけておられました。
  仏の長い瞑想中には
菩薩沙弥弟子たちが集まり協議した結果、これからは、
  
自分たちが如来の代理として如来の教えを引き継ぎを説いていこうと決意を固めました。
  その後
彼らは皆法座にあがり妙法蓮華経の教えを 聞く人の程度に応じて 法を説き始めました。
  この説法を聞いた衆生の多くは
求道心最高の悟りを得たい急にムクムクと起きてきたのでした。
 
 この節にある示教利喜 じきょうりき という言葉を説明しましょう。
  
 示教利喜とは 仏法を広めていく上で必要な 合理的で最も正しい順序のこと。
   
  とは  仏は、はじめに、お経のだいたいの意味を説く、ということ。
     
とは  その教えを 衆生が多少理解した時 次には深い意味を説く、ということ。
     
とは  その教えも理解したのち 教えを実行して利益 りやく を得るように導く、ということ。
     
とは  その教えを持ちつづけることが 人生の喜びになるように 導いていく、ということ。
 
やがて八千劫の長い瞑想三昧から覚めた大通智勝如来法座に端坐して、
 
如来の瞑想中に菩薩沙弥たちは法座に上がり妙法蓮華の法を説くという善行を行いました。
  実は
この人たちは前世から 多くの仏を供養してきた人たちなのです。
  前世では
多くの仏のもとで厳しい修行を重ね仏の智慧を受持し教えを衆生に解説説法し、
  善行の菩薩行を数多く実行して
多くの衆生を仏の教えに導き入れた人たちなのです。
  衆生の皆さんも
この人たちに近づいて学び必ず仏の教えを実行してください。
  そうすれば
現在はまだ 声聞しょうもん 辟支仏びゃくしぶつ 縁覚の境地に とどまっている人たちも、
  また
菩薩の境地まで到達した人もやがて最高の仏の悟りを得るでしょうと、説きました。
 このように妙法蓮華の教えを自ら進み説いたこの菩薩沙弥たちは無数の人々を教化したのです。
  
ビックリするでしょうが‥‥
  この時
妙法蓮華の教えを説いた人も教えを受けた人も過去世で共に生まれた人々だったのです。
  衆生の教化に励んだ
この菩薩沙弥たちとその教化を受けた無数の人々との関係は、
  過去世から続いていたということです。 これを、
宿世の縁 すくせのえん というのです。
  又
その人たちがすんなりと妙法蓮華の教えを信解 しんげ できたのは、
  無始の過去から何度も生まれ変わるなかで
常に仏の教えを何度も聞いていたからなのです。
  その衆生たちは
その宿世の縁によってまた四万億ものたくさんの仏と巡り会うことができました。
  そして
このことはこれからも永遠に続いていくのです」。           「本仏/迹仏」:「阿弥陀仏の話
  世尊の重大発表
  
私はこれから重大なことを発表します
  大通智勝如来
だいつうちしょうにょらい 仏に成る前は、子供が16人いる某ある国の王子でした。
  16人の子供たちは
如来と成った父の許で修行して菩薩となって衆生の教化を行いました。
  16人の菩薩たちは
成仏 じょうぶつ した後は十方の16の仏国土でそれぞれ説法をつづけています。
  このことは
現在でもそうですしそしてこれからも永遠につづいていくのです。
  そしてそれぞれ16の仏国土のうちのその九番目の仏は、
  
”西方に二仏あり一を阿弥陀仏という‥‥そう皆さんがよくご存じの阿弥陀如来 あみだにょらい なのです。
  そしてその一番最後の16番目の仏は、
  
この娑婆国土にて阿耨多羅三藐三菩提を成じたこの私釈迦牟尼如来 しゃかむににょらい なのです。
 
 ええ!お〜! これを聞いた衆生の全員が讃歎と喜びの歓声をあげました。
  世尊の重大な話しとは九番目の仏が阿弥陀如来で16番目の仏が釈迦牟尼仏世尊という事実でした。
  そして釈迦牟尼仏は娑婆国土で悟りを開かれた仏という重大な発表でした。

 ☆
 そして なによりも ビックリしたのは 釈迦牟尼仏世尊阿弥陀仏が過去世で兄弟 だったということです。
    う〜ん 大通智勝如来が世尊の過去世の父師匠だった ということは 世尊にも厳しい修行の時代があったのです。
    それにしても 世尊が16人目の王子だったとは
‥‥ そして 阿弥陀如来と兄弟だったとは‥‥
    
この話は、お釈迦さまでも知らないでしょう ‥‥ んなワケないか。
    「
智積ちしゃく」という名の16人目の王子が お釈迦さまになったのですね 感無量の話です合掌‥‥ボサツマン

  世尊の重大発表のまとめ  世尊は 二つの重大な事実を発表しました、
   驚きの事実 
  大通智勝如来の瞑想中に 法座にあがり 無数の衆生に法を説いた16人の菩薩のうちの一人が
              釈迦牟尼仏と成られて 娑婆世界で衆生を教化しているということ。
  
 嬉しい事実    釈迦牟尼仏世尊こそが 娑婆世界に住む人間の大導師 だいどうし であるということ。
    つづく