Musical
アルジャーノンに花束を
Flowers for Algernon


2014.9.18(木)〜9.28(日)   天王洲銀河劇場  
2014.10.16(木)   福岡市民会館 
2014.10.18(土)    サンケイホールブリーゼ 

原作  ダニエル・キイス 
 (「アルジャーノンに花束を」 ハヤカワ書房) 
 脚本・作詞・演出   荻田浩一
 音楽  斎藤恒芳 
協力コーディネイト    早川書房



Cast
チャーリー・ゴードン   浦井健治 
 ハロルド・ニーマー教授/ギンピ  良知真次
アルジャーノン/アーニー/ウェイター/チャーリー(子供)   森 新吾 
  ヒルダ/ファニイ/ローズ(回想)/ノーマ  桜乃彩音 
 バート・セルドン/フランク/リロイ  高木心平 
  フェイ・リルマン/ジョー  秋山エリサ 
  ルシル/エレン/ミニィ/ノーマ(回想)  吉田萌美 
  ジェイ・ストラウス博士/アーサー・ドナー/マット  宮川 浩
     ◇
 アリス・キニアン/ローズ(回想)  安寿ミラ 

Musician
Violin  吉岡篤志 
 Cello  灘尾 彩 


8年ぶりの再演

東京へは行かず大阪での2公演を楽しんできました

マチネは2階から、ソワレは1階前方から

初演とは舞台装置もガラリと変わり

パンフを見るとミュージカルナンバーのタイトルや構成も変わっているようでした

一番大きく変わったな〜と思ったのは

チャーリーがいて、そしてアリスがいる、というところ

初演ではチャーリーがいて

それからアリスがいてニーマー教授がいてストラウス博士がいて

って感じだったもの

ニーマー教授が若くなり、ストラウス博士がやや後ろに下がって

アリスの立ち位置がグっと前になったように感じました


ってことでミーハー観劇感激記いってみよお〜!

ヤンさ〜〜〜〜ん
久しぶりです〜〜〜


って6月にお茶会でお会いできたじゃないですか〜〜

でもやっぱり久しぶりなのです〜

きっちりした舞台は「ニジンスキー」ぶりですもん

ニジンスキーも荻田先生で再演、アルジャーノンも荻田先生で再演

2013年秋から2014年は荻田イヤー、再演イヤーなわけですね

荻田先生ワールド(親しげにオギーとはまだ呼べない私・笑)は大好きだから嬉しいです

2004年RHYTHM RHYTHM RHYTHM

2006年の初演アルジャーノンに花束を

2011年のTANGO Doki Doki

2012年のニジンスキー

2013年 DREAM、A DREAM 

2014年 ニジンスキー再演


そして「アルジャーノンに花束」を再演!!

荻田先生独特の世界でヤンさんはいろんな顔を見せてくださいます

ニジンスキー」ではシニカルでやや醒めた目線で
でも誰よりもニジンスキーに憧れ理解している妹ニジンスカ
明晰なセリフ、力強い歌、そしてダンスダンス!


「TANGO Doki Dokiでは」
夢かうつつか分からぬ世界を愛する人を求めてさまよう女


RHYTHM RHYTHM RHYTHM」でも
魂だけがさまよっているような女と
2幕ではプリンス(浦井健治さん)と赤いドレスで踊る可愛くて素敵な女性が印象に残ってる


そして「アルジャーノンに花束」を、ではアリス・キニアン
チャーリーの先生であり初恋の人であり、母でもある人


再演ではさらに深くチャーリーを愛するアリス

女性としてよりも母なるものとしての愛情が勝っているように感じました


さて舞台は
とっぱしからアリス・
安寿ミラさんがドアから登場して始まります

そして舞台にはまだ姿が見えない声だけのチャーリー・
浦井健治さんとと話すんですね

そしてチャーリーの差し出した手をとった時から

チャーリーとアリスの物語が始まるわけです
(思い切りアリス中心・笑)

ヤンさんにあんなに優しく手をさしのべられたら・・・・
あ・・・・
そういうことは夢だけで十分

そしてチャーリーが歌う「ぼくわかしこくなりたい」

これだけで涙ぼろぼろ・・
なんて素直なかわいらしい歌なんでしょう!

歌も素晴らしいけど、これだけ無垢に歌える浦井さんも素晴らしい〜!

最初から泣いてどうすんだ!?と自分であきれつつも
流れるもんはしかたない
泣く!

手術を受けることになり

ニーマー教授との言い争いや検査

ネズミのアルジャーノンとの出会いが

歌やダンスでつづられていきます

以下ストーリーは省略です(すみません!)



ニーマー教授の
良知真次さんの歌声が聞きたかったんだわ〜〜
欲を言えばダンスも見たかったんだけど
若者っぽくないミュージカルの人って感じの歌声でした
声を聴いただけで「この人!」って分かる感じじゃないので
良知さんのソロをキャッチするのはちょっと難しかったですけど
ギンピイもハロルドもどちらも癖のある憎まれ役
ちょっとしたふるまいにもそれがにじみ出ていて面白かったです!



ネズミのアルジャーノン初演からの
森新吾さん
チャーリーとの一体感がはしばしに感じられて良かったわ〜
チャーリーの実験同志というよりは
いつもチャーリーのそばに居てくれてありがとうって感じのアルジャーノンでしたね
リンクしてゆっくりした店員役や子供のころのチャーリーも演じてらっしゃいましたが
とても自然でその象徴するものもよく分かって好きでした



ロールシャッハテストではバート・
高木心平さんの歌で仲良し三人女子さんたちがパネルを持って
チャーリーを翻弄していくんですが高木さん一生懸命で素直な感じが良かったです
パン屋ではギンピイにあごで使われてる人の好い店員
フェイのチャラい男友達リロイもはまってました
リロイのキメキメのつもりのチャラいダンス男は、
一瞬ですがこのダンス、ヤンさんだったらもっとカッコイイのになどと思っちゃいましたぜ



対照的な二人の看護師さん

ヒルダ・
桜乃彩音さんは原作を読んだ時、いい人だなあ〜って思ったんだけど
それがよく出てて好きだなって思いました

ヒルダに代わってチャーリーの担当になったルシル・
吉田萌美さん
明るいんだけどちょっとデリカシーに欠ける感じが面白かった

桜乃さんは子育てで苦悩しそれこそ迷路から抜け出せない母親も演じてらっしゃいましたが
ほんとに必死で切なくてたまりませんでした
歌声もとてもきれいなソプラノでうっとりしてしまいました

吉田さんは元気で明るくて、今のってる日テレアナウンサーの水卜ちゃんみたいで(笑)
ミニイ役もノーマの子供のころも可愛かったな〜



さて白手袋による手術は終わったけれど、
すぐにはかしこくならないのが不安でしかたないチャーリー

チャーリーは不安になるたびアリスのもとを訪れるのね

♪その日彼はここに来た〜

そしてアリス目線でチャーリーの様子が語られていくのです

♪見て!彼を!チャーリー・ゴードン!

人々の視線がチャーリーに集まり
しかしチャーリーはますます孤独になっていく

友達が欲しかっただけなのにね
かしこくなったら友達になれると思っただけなのにね

ネズミのアルジャーノンよりも少しづつ迷路を早く解けるようになり
少しずつ、かしこくなっていくのですが
不安はますます大きくなりドナーズベーカリーにもどることになります

ここで出演者はパン屋さんに変身!

病院での設定もパン屋(ドナーズ・ベーカリー)での設定も
子供のころの設定などもすべてリンクしているので
とても面白いです!

と、書きながらっていうか書いていて気付いたのですが

ほんとにチャーリーとアリスの物語なんだ・・ってことです
チャーリーとアリスと、それを取り巻く人たちって感じがとても強い

パンフレットで荻田先生がおっしゃったとおりです

唯一、チャーリーとアリスに邪心なく入り込んでくるのが
フェイ・
秋山エリサさん



フェイ・
秋山エリサさん、とても素敵な女性でしたよね
彼女は非常階段と言わせるだけの
ある意味観音さまみたいな女性ですが
刹那的でもあるちょっと寂しい感じもしてほんとに良かった!
衣装もね、おもしろいつなぎみたいなお衣装で・・・



そうそう、再演は衣装も素敵になっていました
初演は衣装がちょっと・・・って感じでしたが
SFっぽい病院の衣装もそれぞれにポイントカラーがはめこんであったり
何と言いましてもヤンさん、アリスの赤い衣装のバリエーションがステキでしたもん!
衣装は木鋪ミヤコさん!

そうそう話が衣装に飛んでしまいましたが
チャーリーとアリスと、フェイに話、戻します!

知能が高くなるにつれ、アリスを女性として意識するようになるチャーリー

でもアリスはそれを受け入れない・・・

受け入れられない・・・

なぜ??

なにがしかのブレーキが働いているのでしょうね

人として愛しているけれどチャーリーを男性としては受け入れない
そうかたくなに自分を律しているアリスが印象的でした

その抑えた愛情が、母性という方向へあふれ出していく
懸命に生きようとしているチャーリーを支え励まし人としての愛を貫こうとしているにも関わらず

フェイの登場に心乱れるアリス

これがね、今回の一番のマイツボ!!


いいわあ〜〜〜

本当は女性としても彼を受け入れたかったんじゃないか?って

そしてこのなりゆきを肖像画の後ろからずっと見ているネズミのアルジャーノン
フェイが連れてきた女の子のネズミ・ミニイをかみ殺しちゃうんですよね

何がどうなっちゃったのか自分でもよく分からないのだけど
これにもドキっとさせられ

アリスの悲しげな失望したような表情にもドキっとさせられ

強く心に残っています

あ〜〜これって2幕ですよね

もう1幕も2幕もないわ

私はこの場面がすっごく印象に残ってるんです!はい!



それにしても浦井健治さん演じるチャーリーは素晴らしかった

一瞬で小さかった頃に戻ったり、知能が高くなっていくにつれて
見えてなかったことに気づき仲間の裏側を知ってしまい

自分が小さかった頃、母に何度も叱られたこと
それが妹に関わることだったことを思い出してしまい

そういう怒りや苦しみの世界に落ちていきながらも
そこから微笑の世界へ戻っていく

こまやかな表現

またアリスを女性として見るようになり
ドキドキしながらデートに誘い
その可愛さにはキュン!

知能が限りなく高くなり彼はラハジャマティーを知らないと
上から目線100%で歌う高慢さも
クールで素敵
でもそれがいずれはくずれさってしまうのだと分かっている切なさ儚さも

浦井さんのチャーリーに会えてほんとに良かったって思いましたもん!

原作者のダニエル・キイスさんもきっと拍手なさっているでしょうね




そして母ローズ、妹ノーマ
チャーリーの心に大きな影響を与えてきたふたり・・・

私はローズさんが可哀そうでなりません
どんなに辛かったことでしょう

息子チャーリーの知能の遅れを受け入れることが出来ない
受け入れないままもがいている

私は誰を一番抱きしめたいかというと間違いなくローズさんです

ローズさんが救われてありのままを受け入れることが出来たらと・・・・

妹ノーマもしんどかったでしょうね

手のかかる兄のそばでいっぱい我慢してきたと思うもの
だから最後にノーマがしっかりと生きている姿が見れたのはほんとに良かった

父さん・マットは逃げ出しちゃったけどね

床屋さんになってた

チャーリーは会いに行ったけれどね

この場面なども初演の方がもっとグっときたな〜

宮川浩さん
がかなり抑えてらしたのか、お芝居での印象の薄いのが不思議です

が、しかし!!

宮川さんのソロ

「見えるのは世界」

これはもう名曲ではないでしょうか!!

心の琴線ビシバシかき鳴らしてくれちゃいます

どんどん退行していくチャーリーと優しく寄り添うアリス
ふたりのシーンでの宮川さんのソロが素晴らしいのです!


泣いちゃいます!

そして終幕

アルジャーノンに花束を

無邪気に微笑んでいるチャーリーはまるで天使です

チャーリーの人生はチャーリーのもので

まわりの人が涙しようが、後悔しようが

彼はニコニコしているのです

可哀そうなアルジャーノンに花束をそなえてあげるのです

それだけ




8年ぶりの再演ですがほんとに良かった!

初演にあったわだかまりが綺麗さっぱり消えたもの!

いい作品に出てくださって良かったなって思うし

感動しましたもん!


荻田先生から全幅の信頼を託された

ヤンさんのアリス・キニアン

スラリと美しい立ち姿、チャーリーを見つめ続けたまなざし
差し伸べた手、抱き寄せる手、背を撫でる手

すべてに愛があふれていて素晴らしかったです!


ヤンさんの愛は直接にはチャーリーに向けられていたけれど
お芝居を舞台を愛する気持ちに胸が熱くなりました

そして客席への愛も・・・
勝手に思ってるだけかもしれませんが
それもとても嬉しかったです!

素敵な舞台にまた出演してくださり、大きな感動を残してくださり
ありがとうございました!

ヤンさんのファンでいられて本当に幸せです!


次はクリスマスのトーク&ライブを終えたら
ミュージカル「タイタニック」

今度は熟年の奥様役です

楽しみだな〜〜〜〜

今年もあと二か月

来年の舞台を楽しみにがんばるぞ〜!



読んでくださってありがとうございました


背景スターダストさんからお借りしました
ありがとうございました


もどる