観普賢菩薩行法経 (17)
  世尊
 「さて
 眼根の罪耳根の罪触の罪舌根の罪の懺悔を終えた衆生は 次に
 
心と身体の罪の両方を 懺悔しなければなりません。
  心の罪とは
いろいろな悪事を考える罪です。

  身体が犯す主な罪は 殺生せっしょう の罪  楡盗ちゅうとう の罪  邪淫じゃいん の罪などがあります。
  心と身体の
両方の罪が重なると 十悪業や 「無間地獄」へ落ちる五大悪逆ごだいあくぎゃく 犯すのです。
  つまり 父
阿羅漢を殺す 仏身を傷つける 仏弟子の和合を破るなどの大罪だいざい 犯すことになります。

 
心身の罪がつくる悪業は 猿が枝から枝へ飛び移るように 麹菌こうじきん が発酵増殖するが如く
 次々と
六根のすべてが その毒気に犯されていき ひとつの罪が次の罪を生みつづけていくのです。
 そして
その毒気は 六根の枝葉の先である心のちいさな作用や三界」までへも 移行していくので
 遂には
三界さんがい のありとあらゆるものへ 悪影響を与えることになります。
 そして
その悪影響は 一切の生処しょうしょ 何回生まれ変わったとしても ついてまわるのです。
 その結果
八つの間違った心と八邪はちじゃ の行いが重なり 仏の教えと無縁となったことで生じる
 八難が次々と起こってきて 「
12因縁の法門」の教えにある 12の苦しみが生じるのです。

  またまた 空中からの声が こういう
心身の悪業を懺悔しなさい衆生の心の奥に響きます。
  この声を聞いた衆生が
 ーどういう心の持ち方で懺悔の法 行じたらよいのでしょうか…と 真剣に問うと
  久遠実成法身ほっしん/毗盧遮那仏
びるしゃなぶつ 応身おうじん 釈迦牟尼仏の声で 応えてきます。
  ”
常に一切の所に あまね  おいでになることを 衆生が深く自覚しなければならない”と。
  大衆の皆さん この自覚が 懺悔の行の最終の段階なのであります。
 
 
仏の世界仏界 常に平和な光に満ちている世界で 無常むじょう への執着をスッカリ離れ
  
常住じょうじゅう のものを捉える 常波羅密じょうはらみつ の修行の完成により 出来上がった世界なのです。
 その世界は ものごとがどんなに変化しても 久遠実成くおんじつじょう の仏を真の心で信じる
 つまり 不変の存在の仏を信じる我波羅密 がはらみつ の修行の完成により安立あんりゅう された世界なのです。

  清浄な心で 有相うそう 自他の差別を捨てきった世界である 無相むそう 差別がなく平等の世界を観じる
 
浄波羅密じょうはらみつ の修行の完成により おのれ の心に実現する世界なのです。
 同時に
真の心の平和を得る修行 楽波羅密 らくはらみつ の修行の完成により 創りあげられた世界なのです。
                                                        「般若心経解説」:「六波羅密」:
 大衆たちよ 仏の世界だけが 差別無差別超越ちょうえつ した世界であります。
 仏の世界を会得した衆生は
現在の心身しんしん の相姿のままで 平和な心境を得ることができるのです。
 一切の迷いや苦しみから
解脱げだつ した悟りの世界とは この仏の世界のことなのです。
 仏
の世界は 諸法実相しょほうじっそう の智慧である 般若波羅密 はんみゃはらみつ が成就している世界です。
 仏の世界は 常住の法 じょうじゅうのほう つまり 変化することのない絶対の存在の世界ですので
  衆生の最大の懺悔とは
常住の世界(仏の世界)に 自分も早く到達したいと 一心で願うことなのです」。
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