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「ヨハネス・フェルメール」



           今何故、フェルメールなのか?

 今、何故、数え切れないほどの古典技法の画家たちの中で、フェルメールが注目されているのだろうか?

 完璧な技法の巨匠ルーベンスもいる。天才のタッチを持ったベラスケス。
 さらに、精神の深みまで表わしたレンブラントもいる。
 
 それなのに何故、フェルメールなのか?
 フェルメールとその他の巨匠の違いは何だろうか?

 そのひとつは、現代にも通じるセンスであろう。
 現代人の美意識に何故かぴったりくるセンス。
 350年も前に描かれているのに、古い感じがしない。

 それはあらゆる制作者にとって、驚きと脅威である。
 今私達がやっている事は、未来の2360年にどんな評価を受けるだろうか。

 時間と空間を越えて、350年後の未来の人達に受け入れられる美を創造する事は、あまりに遠くて、あまりに大きくて、想像することさえ難しい。
           

             宝石のごとく輝く 光のつぶ

 現在、フェルメールの作品は、世界に三十数点しかないが、その中でベスト3を挙げるとしたら
 「絵画芸術」 「牛乳を注ぐ女」 「真珠の耳飾りの少女」
 この3点だ。
 どれも作品の完成度が高く、現代人の美意識にも合致している点がすばらしい。
 特にウィーン美術史美術館にある120cm×100cmの「絵画芸術」は、フェルメールが死ぬまで手放さなかった最高傑作だ。

 作品の構成や描写力も抜群なのだが、最も注目したいのは、光の表現である。
 
画面の左にある、どっしりとしたカーテンに、0号のセーブルの筆で描かれたのではないかと思われる、光のつぶがある。
 ひとつひとつ丁寧に描かれていて、それは宝石のように輝いている。

 
その技法は「牛乳を注ぐ女」でもさらに多用されている。
 パンの籠も、パンも、黄色の服や女の顔にも、宝石箱をひっくり返したように、光のつぶの渦、光の嵐である。

 フェルメールは、常人なら全く見落としてしまう何でもない日常の生活の、ただの窓からの光の中に、驚くべき感性で、光の宝石、光のつぶ、光の渦を感じていたのだ。

 その集中力と感性こそが、2008年に生きる私達を感動させるのである。


    
    
    フェルメール展
    2008年8月2日(土)〜12月14日(日)月曜休   
    東京都美術館