第3章 天照大御神 あまてらすおおみかみ
伊邪那岐の神、妻に会いに黄泉の国 よみのくに へ
高天の原たかあまのはら の伊邪那岐の神と伊邪那美の神は、地上に降り立ち夫婦の愛の契りを結び、
共に力を合わせ 多くの国々とたくさんの神々を お生みになった。
その後 伊邪那美の神は ー火の神ー火の迦具土の神ひのかぐつちのかみ を 生んだ時に、
致命的な火傷やけど を負い死亡、死者の国・黄泉の国 よみのくに へ 旅立った。 「黄泉の国で対面」
夫神(伊邪那岐の神)は たいそう悲しんで、妻に帰ってきてもらいたい一心で 黄泉の国へ向かいます。
伊邪那美の神(妻)に、また娑婆世界に戻って 自分と一緒に暮らして欲しいと 懇願しました。
だが 伊邪那岐の神は 元妻(イザナミ)の変わり果てた姿に仰天し 黄泉の国から一目散で逃げ出した。
激怒したイザナミは 黄泉比良坂よもつひらさか ーあの世とこの世の境ー まで追いかけてきたが
千引ちびき の巨大岩石で道を塞ぎ イザナギは無事に黄泉の国から 逃げ帰ることができた。
☆ 日本書記のこの場面
イザナギ・イザナミが 黄泉比良坂よもつひらさか で、千引の岩ちびきのいわ を挟はさ んで対峙して
最後の話し合い(激しい口喧嘩)となり、もめにもめて責任のなすり合いで、罵倒ばとう し合っていました。
ええ〜あんなに愛し合っていた夫婦なのに、信じられない
ま、男と女の関係は くっつく時より別れの時が 難かしいものです‥‥‥‥ボサツマン
そのとき、一人の神が仲裁に現れて、二神の仲をとりもって 締めくくりました。
この神の名は 菊理媛神 くくりひめのかみ という。
そりゃそうだわ この世とあの世とに 分かれて言い争っても 意味ないでしょ。
いや! ほんとに ありがとう 菊理媛神 くくりひめ ‥‥‥‥‥ボサツマン
○ 伊邪那岐の神イザナギノカミ 小戸おど の阿波岐原あわぎはら で禊みそぎ 行う
黄泉の国から戻った伊邪那岐の神は、筑紫つくし の日向ひむか の橘たちばな の小戸おど の阿波岐原あわぎはら で
阿波岐原は 現在の九州の宮崎あたりで、神漏岐・神漏美かむろぎ・かむろみ の神の命により
黄泉よも の国の穢れを祓うため 禊みそぎ をして身を清めた。
その禊の最中に 陸路の神・海路の神など 「多くの神々」神が生まれた。
とくに注目の神は 凶を吉に変える霊力の神の神直毘の神・大直毘の神かむなおびのかみ・おおなおびのかみ
○ 天照大御神ー誕生 「他の書の三神誕生」
天照大御神 アマテラスオホミカミ は 伊邪那岐の神が左目を洗った時に誕生しました。
月読の命 ツキヨミノミコト は右目を洗った時に誕生。
建速須佐之男の命 タケハヤスサノオノミコト は 最後に御鼻を洗ったとき誕生。
伊邪那岐の神は この三神の誕生を大いに喜び
『天照大御神は 高天の原たかあまのはら を治めよ 月読の命は 夜の食国おすくに (夜の世界)を治めよ
建速須佐之男の命は 海原うなはら (海の国)を治めよ』と それぞれの統治する国を神告した。
※ 天照大御神は 天を照らす神ゆえに 太陽神 たいようしん と考えられる。
月読の命は 夜の食国を治める月神 つきしん と考えられる。 太陽・月・とくれば次は星。
故に 建速須佐之男の命は星神 せいしん と考えられる。
‥‥‥‥西洋の星占いも 日本・中国の占星術も 元になるのは 生年月日です‥‥‥‥
星の字は 漢文読みで 生まれた日 と読みます。
この星神ー建速須佐之男の神ーは 地上の国へ降りて大活躍し 地上神話の先駆けの神となるのです。
地の国・大和民族の先祖第1号は 須佐之男の神であろう と思われるのだが、
大豪族/物部 もののべ 族の始祖・邇芸速日の命にぎはやひのみこと は、もうすでに、地上の国に来ていたらしい。
だが、この神は、あまりにも登場が無いので、よくわからない神です。 「十種神宝加持秘文/邇芸速日の命」
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第4章 建速須佐之男の命 追放
伊邪那岐の神は 三柱の神に それぞれ 統治する世界を神告した。
天照大御神は高天の原を 月読の命は夜の食国おすくに を 須佐之男の命は海原うなはら を治めよと。
こうして 天照大御神・月読の命・建速須佐之男の命の治める世界が 決められたのです。
しかし、建速須佐之男の命(星神)だけは 父の命令に従わなかったのです。
建速須佐之男の命 タケハヤスサノオノミコト の 速という字は 勢いが速くてすさまじいという意味です。
さらに、須佐之男 スサノオ の名は、行動が荒くて激しい男を 意味していて
タケハヤスサノオノミコトは 荒ぶる魂をもつ男の神 という意味となる。
その後、スサノオノミコトは 海原 うなはら を治めよという父の命令を守らず 思いのままをふるまい
顎髭アゴヒゲ が 胸まで伸びて成人を過ぎても、暴れ回り・泣き叫ぶ・始末におえない状態でした。
その荒れ狂う勢いは 青く繁った山があっという間に、枯山になってしまう程で、
その凄さは、台風やハリケーンが同時に襲来した如くで、高天原の神々でさえ、全く手に負えません。
人間には想像もつかない大きな 強い表現で書かれていますが 人間を超越した神の世界のことです。
腹が立って ハラワタが 煮えくりかえるとか 全身の血が逆流するほど くやしいとか
おかしろくて 笑いころがったなどの表現は、日常でよく使われます。
しかし、実際は はらわたが煮えくりかえる事は無いし 血液が逆流したら、即死の状態です。
笑いころがる とはいっても お腹をかかえ 身体はくの字になって 頭を床にこすりつける程度です。
オーバーな言い回しは その状況を適格に伝える手法と言えるのです。
とにかく スサノオノミコトが暴れ泣き喚わめ くと、高天原では悪い弊害が 湧き起きてきました。
悪しき神の声が うるさい蝿ハエ のように どこからともなく 湧き出し 満ちあふれてきて
万よろず の物怪もののけ が動き廻り 災いが満ち溢れ 高天原の国中が 大騒ぎになってしまいました。
父ー伊邪那岐の大神ーは、この様子を憂うれ い
ーどうして お前は 自分が統治する国を 治めないで 暴れ泣わめいてばかりいるのだ?ーと息子に聞きました。
息子は ー自分は 海原より 根の堅州国ねのかたすくに へ 行きたくて 泣いているのですーと答えた。
これを聞いた伊邪那岐の大神は 激怒しーお前は この国に 住むことはならぬーと
息子・スサノオノミコト・を、神の国から追放することを決断した。
建速須佐之男の命が 治めたい国は 海の国ではなく 根の堅州国ねのかたすくに でした。
根の堅州国とは、海の中に浮かぶ、さまざまな生き物が生まれ育つ地上の陸地(国)である
中州の国 なかすのくに のことです。
中州ー 四方を海に囲まれた しっかりと根づいている 堅い陸地を 意味する言葉。
‥‥‥ここまでの話では 須佐之男の命は暴れん坊で泣き虫で 父の言うことを聞かないバカ息子で
親不孝息子のイメージを抱きますが ーところが・どっこいですー
本当は 優しい心もつ・頭の良い・勇敢な・強い男の中の男の神なのです。
その理由は 須佐之男の命の地上の国・中州の国での武勇伝が 証明している。
神は、荒魂 あらたま 和魂 にぎたま の両方の魂をもっています。
人間も同じく 荒魂と和魂 つまり 荒々しい気持ちや・情け深い優しい気持ちをもっているのです。
さて
中州の国なかすのくに に降りたスサノオノミコトには 大活躍・武勇伝の舞台が 用意されていました。
八つの頭と八つの尾をもち 身は八つの山々・八つの谷・八つの峰に渡る大蛇だいじゃ である
ヤマタノオロチを 成敗した神が建速須佐之男の命なのです。
このとき ヤマタノオロチの尾から 出てきた刀が 草薙の剣くさなぎのつるぎ です
スサノオノミコトは、この草薙の剣を天照大御神に献上しました。
のちに 天孫降臨の主役・邇邇芸の命 ににぎのみこと が、天つ神から授かりもって、地上へ降りてきました。
現在は 熱田神宮のご神体として鎮座されている‥‥。
さらに、天照大神は、籾もみも邇邇芸の命に持たせた。ここから、日本が稲(米)を主食することになった。
☆ 疑問?天照大御神が降臨しないで なぜ 孫のニニギの命が降臨したのか?
天孫降臨神話 お楽しみに! 「天孫降臨神話」 15章
スサノオノミコトは 高天原を追放される前に 姉の天照大御神に 自分の気持ちと事の全てを伝えて
根の堅州国ねのかたすくに へ旅立とうと思い、天照大御神に会うために 姉の許へ向かいました。
その勢いは とてもすさまじく 山は轟き 河はどよめき・さわぎ 神の国土全体が 震えるさまでした。
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第5章 姉・弟 天の安原で ”うけい”行う
天照大御神と 建速須佐之男の命が、”うけい”ー心の潔癖を証明する行為ーを行いました。
弟・スサノオノミコトが すさまじい形相の勢いで 高天の原に向かってくる様子を聞いた 姉・天照大御神は
父が云い付けた 海原を治めるのが 気にいらない弟は きっと 私の治める この高天の原を狙っているのかも知れない
ならば 絶対に阻止せねばならないと 武装してかまえておりました。
ところが それは 思い込み過ぎでした。
弟・スサノオノミコトは 心のうちを正直に、伝えました。
自分は 堅州国に行きたい と泣いていたら 父の言いつけを守れないお前は高天原から勘当すると 父に言われました
私は追放される身となったのです。 そこで 神の国を去る前に 姉に合って申し伝えようと思って来ました。
自分に嘘や邪心じゃしん はありません。正直な気持ちを 姉に聞いて欲しいだけなのです。
姉・天照大御神 何をもって そなたの心が清いことを 信じたらよいか?と問いました。
スサノオノミコトは うけい をして子を生みましょう と提案しました。
姉・天照大御神は この提案を承諾し、二人の神は ”うけい”を はじめた。
まづ初めに 姉・天照大御神が 弟の持つ十拳の剣とつかのつるぎ を受け取り、三柱の女神を誕生させた。
多紀理毘売の命たきりびめのみこと 市寸島比売の命いちきしまひめのみこと 多岐都比売の命たきつひめのみこと です。
次に 須佐之男の命は、天照大御神の左のみずら(結ってある髪)に巻いた みすまるの珠の
八尺の勾玉やさかのまがたま を 天の真名井の水ですすぎ息吹を吹きかけ 五柱の男神を誕生させた。
最初に
1 正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命 まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと が誕生した。
この神の名前には二つの意味がある。
吾われ は正しく勝利したという偉大な神力と、豊かに稔った稲穂耳おしほみみ (忍穂は豊かな穂)という意味を
兼ね備えた尊い名前の神なのです。 この尊い名前の命名主は 勿論 母・天照大御神です。
実は この神が誕生した時に 母・天照大御神は
将来 この長男・正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命に 地の国を統治させようと 決めたのでした。
だが その主役は息子からー孫ーへ変更になるのです。
つまり 正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命が 天孫降臨てんそんこうりん した邇邇芸の命ににぎのみこと の父親なのです。
☆ 疑問?
天照大御神が決めたことを 疑問をもつのは 愚かなことですが 親は 子は勿論可愛いが 孫は もっと可愛いと
世間では良く言われるが 天照大御神も そういう感情で 息子から 孫に変えたのかな! ☆必見「女帝の戦略説」
実は違います 「古事記」が編纂された時代の 政治的な戦略が 関係しているらしいです ……ボサツマン
次に
2 天の菩卑の命 あめのほひのみこと が誕生した。
第15章(2)に登場するこの神は 天孫降臨の前段の役目として 地上平定役の第1号に抜擢されたが 失敗した。
3 天津日子根の命 あまつひこねのみこと
4 活津日子根の命 いくつひこねのみこと
5 熊野久須毘の命 くまのくすびのみこと の五柱の神。
天照大御神は ”うけい” で生まれた子神のうち
「五柱の男神は、私の身にまとう珠からうまれたので 私・天照大御神の子供である。
弟の持つ剣から生まれた、三柱の女神は、須佐之男の命の子供である」と、神告しんこく しました。
その後 五柱の男神は、母・天照大御神と共に、高天の原に住むことになった。 第6章へ 須佐之男の命暴走