※狂歌とは… 俳句や川柳が《 5・7・5 》の文字数であるのに対し、狂歌は《 5・7・5・7・7 》の短歌型が用いられる。俳句が主に季節や風景を描くのに対し、狂歌は人間同士の交流を描いたものや小さいエピソードを風刺的に描いたものが主流である。
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| まどあけて見れバ雨さヘ晴れもせずとづれバむねのくるしかりける | ⑨439 |
| 人ハ皆桜のころになりにけりうかれあつまる人の花山 | ⑩28 |
| さとりけれバ今はた同じ人も鳥りも皆身のほどのほとゝぎすかな | ⑩42 |
| 物あれバ己のが眼にうつるなり己のが仕業も人の目にあり | ⑩44 |
| 各々が我田に引ける水ほどのすめる心を持つ人ぞなき | ⑩96 |
| 真心の人の教を用いぬハ世間しらずの巨燵弁慶 | ⑩350 |
| よの人のあわれをおもふ真心の尚つれなきぞ秋の夕ぐれ | ⑩414 |
| まことある人ハ神なり仏なりむすべバ同じ露の玉かな | ⑩425 |
| 天が下見れバ社会は面白し山田かかしも雪のだるまも | ⑩466 |
| 酒呑ミて来遣になる気遣ハ世の気遣と違ふ気遣 | ⑩504 |
| 少しだも人のいのちに害ありて少しくらいハよいと云ふなよ | ⑩538 |
| 心なき身にもまことハしられけり赤き紅葉を見るに付けても | ⑩558 |
| 花もなく鳥もなかずにういニ泣く谷中の民に春の来ぬとハ | ⑩620 |
| 愚鈍めが気遣水を呑んだくれバあとさき見ずのあとさきしらず | ⑪99 |
| 田舎路ハまだ春ならであさましきみやこハ花のさかりなりけり | ⑪591 |
| 天災とおもふ野心のなかりせバ世に災の来る事もなし | ⑫606 |
| へんてこにまがりくねりて鉢植の松もみどりに花の咲くらん | ⑬238 |
| 春雪ハわしがこゝろにそわぬなり矢張堅き氷こそよし | ⑭371 |
| 神となり仏ともなる道すがら忘れまじきハ人のふむ道 | ⑮337 |
| 寝言とてうたわぬよりハうたへかしうたへバうたふ人の訪ふなり | ⑮369 |
| 議員どの鬼のちょうちんもちをして足尾の山にやみの夜あるき | ⑯123 |
| よの中は学士博士の破るなり造るハ下男織るハ織姫 | ⑯294 |
| 千代や千代人の教へとなるべきは君が心の年にありけん | ⑱396 |
| 今日ハ今日今日をかぎりのほとゝぎす汝が声のあすハ用なし | ⑲255 |
| 夏ながら夢ハ枯野をかけ廻るあわず文庫ニ仮り枕して | ⑲255 |
| 正月は餅を食ふので御目出度し | |
| 元日や鶴のあたまは真赤なり わがひげしろしみよのはつはる | |
| 御袋を賜る人は母袋 なかニハ何か入れて頂戴 | |
| たのしまバふとんも蚊帳もあるものか のみにまでも身をバさゝげて | |
| 大雨にうたれたゝかれ重荷挽く うしのあゆみのあとかたもなし | |
| 教をバ おさな心に おさむべし 老いて我が身の 罪に悔るな | |
| 新玉の日の出でそめを みそめては 千代をちぎりて早起きをせん | |
| 犬猿ると嘲けられてももと夫婦いぬのさるのと人にかたりて | |