田中正造及び足尾銅山に関する著作
題 名 | 著 者 | 出版社等 | 解 説 |
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亡国の抗論-田中正造未発表書簡集 | 由井正臣 小松 裕 編 | 岩波書店 2000.3.23刊 | 「下野の百姓」田中正造は、廃村谷中で没するまで、まさに農民のために闘い続けた。そしてそこには「亡国」に抗する厳しい思念が貫かれていた。 全集完結から20年、新たに発見された書簡2百余通と論稿類が、その生涯の未解明部分に光を当てるとともに、この希有の人物の思想・行動がもつ現代的意味をあらためて掘り起こす。 |
谷中村滅亡史 | 荒畑寒村 | 岩波文庫 1999刊 | なぜこれほど公害が激化したか。根元は明治以来の近代日本の政治的体質と、日本資本主義、そのものの生い立ちにあることを本書は、今日に至ってはっきり教えている。 1999年5月、岩波文庫版が発売された。値段も525円(税込み)と手ごろである。 |
田中正造をめぐる言論思想 | 田村紀雄 | 社会評論社 1998刊 | 田中正造に代表される近代日本における最大の社会問題となった足尾鉱毒事件。鉱毒停止運動の過程では、農民は言論と表現を武器にした。知識人の関わりを軸に検証している一冊。 |
毒-風聞田中正造伝 | 立松和平 | 東京書籍 1997刊 | 著者立松和平のルーツにかかわる、日本最初で最大の公害事件、足尾鉱毒事件と田中正造についての長編小説。 新潮社(7月)、ベネッセが後に続く、足尾鉱毒三部作第一弾。 |
田中正造 | 田中正造 | 日本図書センター 1997刊 | 全集第1巻の「田中正造昔話」を収録したもの。この本は、明治時代の読売新聞に連載された彼の自叙伝である。民権運動家としての正造、つまり鉱毒事件以前の彼を知るいい手がかりの本である。 |
田中正造 たたかいの臨終 | 布川 了 | 随想舎 1996刊 | 館林で中学校教師をしながら、地道に正造研究を続け、近隣の研究者らと共に「渡良瀬川研究会」を起こした著者が、正造の死の直前直後を描いた作品。 |
田中正造 21世紀への思想人 | 小松 裕 | 筑摩書房 1995刊 | 膨大な資料を元に著者が独自の人文科学的分析を加えた田中正造の思想に迫る一遍。 |
田中正造と足尾鉱毒事件を歩く | 文・布川了 写真・神山勝三 | 随想舎 1994刊 | 足尾から渡良瀬川流域、旧谷中村など田中正造と鉱毒事件にかかわる75か所を徹底ガイド。写真、地図、交通などフィールドワークに必要な情報を満載。併せて正造の日記、書簡、短歌を掲載。正造の声に直接ふれるガイドブックである。 |
田中正造 | 佐江衆一 | 岩波ジュニア文庫 1993刊 | 日本の公害問題の原点といわれる足尾鉱毒事件、常に被害農民の立場に立って明治政府を追及し、強制破壊に瀕した谷中村で身を賭して抵抗運動を貫いた田中正造は、その中で地球環境問題の先駆的思想をも育んで行った。農民と共に闘った彼の壮絶な足跡をたどり、その思想を現代にいきいきと蘇らせる。 |
田中正造伝 | ケネス・ストロング | 晶文社 1987刊 | 英語圏に向けて書かれた初めての田中正造の伝記で、日本国内での評価も高い作品である。ちなみに、作者のケネス・ストロングは、1979年までロンドン大学東洋アフリカ研究所で、日本文学の講座を担当した研究者。 木下尚江の「田中正造翁」がきっかけで、正造研究に入り、1977年「全集」発刊前という研究が困難な状況の中で、この作品は発表された。彼のエコロジストの視点が、この作品を力作にしていると、訳者川端康雄は、あとがきで表している。 |
田中正造 | 由井正臣 | 岩波新書 1984刊 | 正造の生涯をたどるなかから、その思想の現代性を探求した一冊。正造の闘いを支える思想が、現代社会の問題に対してもきわめて有効性を持つことが理解できる書となっている。 |
通史 足尾鉱毒事件 | 東海林吉郎 菅井益郎 | 新曜社 1984刊 | タイトルのとおり、足尾鉱毒事件を過去の出来事とせず、現在まだ未解決のものとしてその全貌を明らかにする。また、渡良瀬川研究会における研究の深化と運動の継承を目指す中から正造の思想を解明している。鉱毒事件の全体と正造の思想を解く好書である。 |
田中正造全集(全20巻及び別冊) | 田中正造全集編纂会 | 岩波新書 1977~ 1980刊 | 「全集」の簡易版、内容を5分の1に凝縮し、編年体で編纂されている。再販されれば、一般人や初学者には一番の推薦本となるかも…。 |
辛酸-田中正造 と足尾鉱毒事件 | 城山三郎 | 角川文庫 1979刊 | 島田宗三こと「宗三郎」の目から見た、谷中村での仮小屋生活を送りながら残留民と共に闘う正造の姿が、強く、鋭く、また悲しく描かれている。 正造の闘いを日本公害運動の原点として、全国区の人物として普及するきっかけになった本でもある。 著者城山三郎は、この作品を書いた年は、この辛酸に精力を傾け他の作品は書かなかったという程、力の入った作品になっています。 |
田中正造の生涯 | 林 竹二 | 講談社 1976刊 | 新書版での田中正造伝の中では、最も長く販売されている。「キリスト教信者」の田中正造像を描いている。 |
渡良瀬農民の苦闘・鉱毒 | 田村紀雄 | 新人物往来社 1973刊 | 足尾鉱毒問題は、日本の民衆が近代化の中で直面した、もっとも深刻で長い闘いであった。明治10年代以来、三代以上にわたって農民は抵抗してきた…が、その中でもっとも重要な事件のひとつが川俣事件である。 |
田中正造翁余禄 | 島田宗三 | 三一書房 1972刊 | |
渡良瀬川 | 大鹿卓 | 講談社 1970再刊 新泉社 1972再刊 | 中央公論社版(昭和16年)と、大日本雄弁会講談社(現在の講談社)版(昭和23年)、さらに春歩堂版(昭和27年)がある。大日本雄弁会講談社版は筆者がかなりの手直しを行っている。春歩堂版は、それに加えて第四篇が追加されている。その後、大日本雄弁会講談社版は、講談社(昭和45年)と新泉社(昭和47年)から再刊されている。 |
谷中村事件 | 大鹿卓 | 講談社 1957刊 新泉社 1972再刊 | この本は、前作「渡良瀬川」の続編にあたる。田中正造は、天皇に直訴した後議員を辞め、谷中村に入るが、そこから話が始まっている。 公害の原点、足尾鉱毒事件に敢然と立ち向かった田中正造を中心に日本最初の土地収用法適用により渡良瀬川遊水池として滅んだ谷中村の人々の権力に対する力強い闘いを描いた記録小説である。 |
田中正造の生涯 | 木下尚江 | 大空社 文化資料調査会 1966復刻 | |
フォト・ドキュメント『渡良瀬の風土』 谷中村と田中正造の現在 | 神山勝三 | 随想舎 | 足尾鉱毒事件は渡良瀬川を「恵みの川」から「死の川」に変えた。谷中村廃村から80余年を経た今、辛酸の民と田中正造の闘いの現在をレンズは追う。「1970年代以降、今日に至る定点観測の集成である」 |
新・田中正造伝 | 朝日新聞宇都宮支局編 | 随想舎 | 現代に生きる田中正造思想を追い、北海道サロマから沖縄まで日本全国縦断取材。 朝日新聞栃木県版64回の連載に小松裕「正造の直訴をめぐって」、布川了「谷中村の滅亡」、年譜、解説などを加えて図版・写真も多数あり内容豊富である。 |
足尾銅山中国人連衡の記録・増補改訂版「痛恨の山河」 | 猪瀬建造 | 随想舎 | 増補改定にあたり生存者の証言を求めて中国取材。第二次世界大戦下、足尾銅山に収容され酷使された中国人強制連行の記録。中国大陸での労工狩りから銅山での生活、そして解放までの様子を膨大な文献資料を用い詳細に解説している。 |
田中正造大学ブックレット「救現」 | 田中正造大学出版部編 | 随想舎 | 足尾鉱毒事件と生涯を貫いて闘った田中正造の生家を学舎に、正造を学長として産声をあげた田中正造大学の講演を収録。 2号・特集「正造生家をめぐって」、3号・特集「公害の原点を見つめて」、4号・特集「田中正造生誕150年」、5号・特集「遺跡保存を考える」、最新7号は特集「白仁家文書をめぐって」、坂東克彦、板橋明治などの講演録を収録している。 |
栃木県朝鮮人強制連行真相調査の記録・改訂版「遥かなるアリランの故郷よ」 | 栃木県朝鮮人強制連行真相調査団編 | 随想舎 | 第二次世界大戦中、労働力確保のため栃木県内にも多くの朝鮮人が強制連行され、鉱山・土木・地下軍需施設などに送られた。 連行者5,413人、犠牲者101人、戦後50年を経て明らかにされた歴史の真相である。 |
田中正造・その生と戦いの「根本義」 | 林 竹二 | 二月社 | |
義人全集(全5巻「演説集(上)(下)」「鉱毒事件(上)(下)」「書簡集」 | 栗原彦三郎 編 | 演説集(上)の序文を書いた人の中に、同僚議員で友人の島田三郎に並んで後の首相となる鳩山一郎も含まれている。 | |
田中正造と足尾鉱毒事件 | 渡良瀬川研究会 | NO.1~NO.6伝統と現代社 NO.7~論創社 | 布川了が幹事をつとめる渡良瀬川研究会の研究紀要。正造研究者・佐野市・小中農教倶楽部の間でもめている田中正造生家問題についても、多くのページが割かれている。正造や鉱毒事件研究の参考文献として価値あり。 |
わたらせ川 | 創刊号~5号 わたらせ川協会編 | 随想舎 | 「足尾に資料館を」のスローガンのもと、新たなネットワークの構築と渡良瀬川流域文化の掘り起こしを目指して発足した「わたらせ川協会」の機関紙。 渡良瀬川隣接首長のインタビュー、飯田賢一・加藤清次の講演録、立松和平・三浦佐久子の随筆、宇井純・布川了の論文などを収録している。 |
足尾の産業遺産を訪ねて「銅山の町 足尾を歩く」 | 文・村上安正 写真・神山勝三 | 随想舎 | 近代日本を支えた足尾銅山。閉山から四半世紀を経た今もなお残る足尾の産業遺産を写真、図版を交え詳細に解説。選鉱場・製錬所・発電所など銅山の心臓部をはじめ、鉱山師や坑夫の墓、足尾暴動など生活の歴史を含め足尾の町を徹底ガイドしている。 |