縄文時代へのリンク、アイヌ文化からの推察

縄文時代へのリンク

 縄文時代(BC11000年〜BC300年)の終わりには、大陸から稲作文化をもたらした民族の大移動がありました。 この大陸からの移住者(弥生人)がもたらした稲作文化(弥生文化)は、先住民の縄文文化を部分的に融合、あるいは駆逐するかたちで、稲作に適さない北海道を除く日本列島全域に広がっていきました。その中で、北海道にいた縄文人で弥生文化との融合を拒み続けた人々の末裔が、アイヌ民族だと考えられています。実際、以下のように、縄文文様とアイヌ文様は類似していますし、近年の遺伝子分析を使った研究においても、アイヌ民族が縄文人の末裔であることを強く示唆する結論が導き出されています。アイヌ民族は、北海道の縄文文化の流れをくみ、その長い歴史のなかで、オホーツク文化や本州の文化を部分的に取り入れながらも、先祖から代々受け継いできた土着の生活様式や文化を、(明治政府による同化政策が取られる)19世紀半ばまで守り続けました。


 ここでは、先史時代の縄文人の生き方・考え方を推測するために、縄文時代への現存するリンクとしてアイヌ文化を見ていきます。

アイヌ民族の世界観

 アイヌ民族は、生物・無生物・自然現象・病など、あらゆるものに霊魂が宿っていると考え、自然やアイヌの生活様式を支える多くの神々と対等な関係で共に生きるという宇宙観・宗教観を持っています。そのなかで、特定の動物や植物は、人間の世界を訪れた神々の仮の姿であり、アイヌとその神々との交流において、正しく神聖な存在として位置づけられています。



アイヌの犬

 犬は、アイヌ文化においても、猟犬としてだけでなく、心の絆がある特別な存在としてとても大切にされています。