那須波切不動尊金乘院
数息観・阿字観の瞑想イメージ
無限の宇宙に自らの心を解き放ち、宇宙との一体感を感じる真言宗の瞑想法阿字観(あじかん)
阿字観(あじかん)とは、真言密教の教典である「大日経」に基づく瞑想法の一つです。真言宗では、この瞑想法を密教修行の入口として、また中核をなすものとして全ての修行者が修得すべきものと位置づけています。阿字観の瞑想法について、初心者向けの説明では『梵字の「ア(ア)」の一字に、自心の本不生(ほんぷしょう)を徹見(てっけん)し、自己の本源である大日如来の根本大生命を己が心として、創造的に生き抜く密教瞑想法』としています。分かりやすくすると梵字の第一字母である「ア」字は全ての始まり、即ち宇宙の万物の創世を表わしていると同時に、万物の本源として不生不滅の原理を意味することから、密教の根本仏である大日如来をも象徴しています。この「ア」字を心の眼で観ることにより、本不生すなわち「宇宙の万物はもともと存在しているのであって、新たに生じたものではない」ことを覚り、自身の根源である宇宙と、宇宙の真理の現れである大日如来との一体感を得ることにより創造的に生きるための瞑想法ということになります。
このように述べると真言宗の修行者だけが行う独特の瞑想法のように思われるかも知れませんが、阿字観は修得レベルによって初心者から上級者まで実践する内容が異なり、特に初心者の体験段階では禅宗で行う座禅と比べても変わりはありません。そのため最近は、誰もができる瞑想法として、また心をリラックスさせる精神修養法として、阿字観瞑想法を試みる方が少なくありません。
実は当山が阿字観のご案内をさせて頂くのも、阿字観の瞑想法を通じて、少しでも多くの方に寺院に親しみ、寺院の持つ魅力を知って頂けたら、という考え方に基づくものです。そうした意味もあって、当山では、阿字観体験者が分かりやすく、気軽に取り組めるように、例えば密教の根本仏である大日如来を、単に森羅万象を象徴する宇宙として捉えて頂いたり、宇宙との一体感を得るというより、自身を取り巻く無限の世界に向けて自らの心を解き放つ感覚で良しとするなど、アプローチ手法を工夫しています。この阿字観瞑想法を体験してみたいという方は、前もって、当山までご連絡をくだされば、希望される方のレベルに合わせて責任をもって指導させて頂きます。
 ■阿字観瞑想法への道
阿字観には、初心者から上級者まで段階があり、当然のことながら修するレベルによって得られる内容が異なります。その第一段階は、数息観(すそくかん)と呼ばれる呼吸を観じる瞑想法です。これは呼吸に意識を集中することによって、精神を安定させる瞑想法であり、一般のヨーガや禅と変わりはありません。第二段階は、阿息観(あそくかん)と呼ばれ、出入の息に大日如来の「ア」つまり大宇宙の胎動を観じる瞑想法です。この二つの段階を経て阿字観の基礎である月輪観(がちりんかん)へと進み、最終段階で阿字観となります。尚、初心者レベルの数息観および阿息観は、呼吸法であり、瞑想法ですから心配ありませんが、中級以上のレベルとなる月輪観および阿字観を実践していると、鋭敏かつ不可思議な感覚を覚えることがあり、人によっては混乱をきたすような場合がありますので、確かな経験を有する指導者のもとで実践するようにしてください。では当山の阿字観について、まず数息観から順を追って紹介しましよう。
◆ 数 息 観
座法と印数息観は、呼吸を観じる瞑想法です。つまり、呼吸に意識を集中することにより、精神を安定させる瞑想法といえます。一般の禅と同じように、初心者でも手軽にできる瞑想法ですから、具体的に紹介してみましょう。まず半伽趺座(はんかふざ)で座ります。肩の力を抜き、背骨を下から順に積み上げるような感じで姿勢を正します。この時、身体を動かして座り心地に違和感がないようにしておきます。手は法界定印(ほっかいじょういん:左手の上に右手を置き、親指と親指を軽く触れさせ卵形を作る)を結んでお腹の前に置きます。身体の重心を安定させます。まず、身体を前後に揺らして徐々に揺れを小さくしていくと、身体がピタリと止まり、前後の重心が決まります。続いて、身体を左右に揺らして徐々に揺れを小さくしていくと、身体がピタリと止まり、これで前後左右の重心が決まります。もう一度、背骨を下から順に積み上げるような感じで姿勢を正します。眼は半眼にして、1メートルか1メートル半くらい先の床面を観るようにします。次は呼吸法です。まず、口を軽く開いて身体の中の空気を「ハァ~~~~~~~~~」と吐き出します。息を吐き出す時は、身体の中や心の中のすべての汚れが、吐く息とともに流れ出て部屋の外の自然に溶け込むというイメージを持ちます。次に息を吸い込みます。鼻からゆっくり「スゥ~~~~~~~~~」と空気を吸います。自然の中へ出て行った息が浄化され、口と鼻から入って来るというイメージを持って集中します。清浄な空気が、喉を通り、胸を通って、お腹の中が一杯になるまで吸い込みます。吸った空気が一杯になったら、少し留め置いて、身体の中の空気を全部出す気持ちで静かに長くゆっくりと吐きます。この時大切なことは、息に心を込めることで、吸う時は自然を自らの身体に納める気持ちで、また吐く時は自らが自然に溶け込む気持ちになるようにします。これを随息観といい、こうした呼吸を繰り返しながら心を安定させ、息の数を数えます。やってみましょう。「ヒト~~~~~ツ~~」「フタ~~~~~ツ~~」「ミィ~~~~~ツ~~」・・・・・・・・・・・「ココノ~~~~~ツ~~」「トウ~~~~~オ~~」「ヒト~~~~~ツ~~」「フタ~~~~~ツ~~」・・・・・・これを繰り返しながら、声を徐々に小さくしていきます。声が小さくなって無音になります。口を閉じて鼻だけで息をします。残りの数はそのまま心の中で数えます。途中で幾つまで数えたか分からなくなっても、また数えていることを忘れてしまっても構いません。1回の瞑想は10分ぐらいを一区切りとし、この呼吸を通じて大自然との一体感を得られるようになるまで繰り返します。
◆ 阿 息 観
数息観・阿字観実践の姿数息観が出来るようになったら、次の段階は阿息観です。これは吐く息、吸う息に、命の本源である「ア(ア)」の声を唱えることにより天地と呼吸を通わせ、「ア」の声と一つになって宇宙の大生命を感じる瞑想法です。阿息観が数息観と異なるのは、数息観が呼吸を数えるのに対して、阿息観では「ア」の声を唱えて瞑想します。具体的に紹介してみましょう。数息観で修得した呼吸法により、全身が清らかな空気で満たされるのを感じたら、体の中にある息を「ア~~~~~~~~~」と唱えながら口からゆっくり吐き出します。この時、吐き出す「ア」の息が1メートル2メートルとだんだん遠くへ流れて行くようなイメージを持ちます。息を全部吐き出したら、「ア~~~~~~~~~」と唱えながら鼻からゆっくり吸い込みます。これを3回繰り返します。3回終わりましたら、口を軽く閉じて鼻から息を吸い、鼻から息を抜きます。その際、出る息にも、入る息にも共に「ア~~~~~~~~~」と心で唱えながら、「ア」の息に心を集中します。心を解き放ち、自我という枠を離れ、この世のすべての存在が、一つの大きな生命を生きていると観じます。そして宇宙の大生命を感じる全てのものは、在るがままであり、いつも同じように存在していて、何も変わりがないと観じます。この瞑想を5~10分間続けて阿息観を終えます。終える時は、静かに眼を開き、法界定印を解いて胸の前で合掌し、そのまま一礼して阿息観を終わります。この阿息観の流れとポイントを以下にまとめました。尚、数息観、阿息観は、初心者でも手軽にできる瞑想法であり呼吸法ですから、座法からしっかりと修得して頂ければ、心をリラックスさせる精神修養法として自宅でもできるようになります。一度、当山で体験されることをお勧めします。
 1) 調 身(ちょうしん)---------------------座法(ざほう)
◇半跏趺座(はんかふざ)あるいは結跏趺座(けつかふざ)で座ります。
◇手は、自身即宇宙法界の三昧に住する法界定印を結びます。
◇体を前後・左右にゆっくりと二、三度揺すって重心を安定させます。
◇肩の力を抜き、背筋を伸ばし、ゆったりと座ると、下腹におのずと生気が充実してきます。
◇眼は、半眼にして、鼻筋の斜め下に視線を落とします。
 2) 調 息(ちょうそく)---------------------調気(じょうき)・浄化呼吸法
◇下腹を引っ込めながら、胸に溜まっているモヤモヤした不安・不浄の気を、炭酸ガスと共に、口を軽く開いてゆっくりと吐きます(出息:しゅっそく)。
◇遠くの方から清らかな霊気が白い霧のようになって、鼻から入って来ます。
◇鼻から入って来た霊気は、喉を通り、胸を通り、腹部を次第に満たしてから、胸にまで至ります。
◇その息を、そのまま少しの間、保ちます。
◇次に二度目の出息は、下腹に溜まっている不浄の気を絞り出すように、一度目の要領でゆるゆると吐き、その息は遠くへ去っていきます。前よりも遠くの方から、清らかな霊気が鼻から次第に下腹に入ってから胸に至ります。
◇三度目の出息は、全身の細胞の不浄の気を絞り出します。
◇入息は、全身の毛孔から霊気を全身の細胞に吸収していくと観じます。
 3) 正 観(しょうかん)---------------------自身の本不生を観ずる
◇口を軽く開いて、天地宇宙の本源の「ア」の声が、地底からこの自身の下腹を通り、胸・喉・口へと震動を起こしながら「ア~~~~~~~~~」の声となって、口から体外へゆっくりと流れ出ていきます。それは1メートル、2メートル、3メートル・・・と流れていき、半眼のままで「ア」の声の行方を観じます。
◇声の途切れた所から無音の「ア」になります。
◇目には見えない本不生、無限実相の世界へ・・・。
◇そして再び、天地宇宙を根底から生かし給う大日如来の霊気が、地底から自身の下腹を通り、胸・喉・口へと、現象世界に形をもつ私の全身に震動を起こしながら「ア~~~~~~~~~」の声となってだんだん遠くへ流れて行くを観じます。(繰り返す)
◇次第に「ア」の声を小さくしていきます。
◇無音の「ア」に、天地宇宙の本源、即ち自心の本不生を体得していきます。
(数十人が一堂で「ア」の声を唱えるとき、お互いの声が渉入して「ア」の音声法界となる)
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