春 夏 秋 冬 |
彼岸花(ひがんばな)-平成19年9月24日撮影- |
道路(公道)から山門に続く参道の右土手や、本堂裏手の霊園を囲む丘には真っ赤な彼岸花が、お墓参りに訪れる人々を迎えます。秋の彼岸頃に咲くためか「墓花」「幽霊花」「とうろうはな」「狐花」など様々な異名を持つ花ですが、一般的には「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の別名でよく知られています。根に有毒成分を含むこの花も古くは毒を抜いて粉にし、食用にしたことから「(饅頭花(まんじゅばな)」と呼ばれるようになり、ここから「曼珠沙華」になったという説もありますが、梵語に「天上の赤い花」という意味を持つ「マンジュシャカ」という語があり、良い事が起こる前触れとして赤い花が天から降ってくるという「仏教の経典」に由来しているともいわれています。ですから当山を訪れた際には様々な異名にとらわれることなく、是非、縁起の良い花として愛でて頂きたいものです。 【花の俳句】 曼珠沙華浄土の雲に紅移す 平畑静塔 【花言葉】 悲しい思い出、情熱 【花見頃】 9月中旬~下旬(2007年) |
本堂の前に広がる花壇や裏手の霊園前には、薄紫色のコスモスが咲き、爽やかな秋風に揺れながら、見頃を迎えます。花弁の形が桜に似ているところから和名で「秋桜(あきざくら)」とも呼ばれ、秋の代表花として親しまれていますが、原産はメキシコで、日本への渡来も比較的新しく明治の中頃とされています。 花名は「宇宙」の意を持つ「COSMOS」と同じですが、語源はギリシア語の「美しさ」「飾り」「調和」という意味の「KOSMOS,COSMOS」からきており、星が整然と配置されている状態という意味で付けられた「宇宙」と同様に、花びらが綺麗に咲き揃う様から呼ばれるようになったといいます。大日如来を「宇宙」の根源的な生命力とみなす真言宗ともご縁がある花といえます。 【花の俳句】 コスモスを離れし蝶に谿(たに)深し 水原秋櫻子 【花言葉】 乙女の真心 赤:愛情、調和 白:純潔、優美 【花見頃】 9月中旬~下旬(2007年) |
コスモス-平成19年9月24日撮影- |
薄・芒(すすき)-平成19年10月2日撮影- |
霊園の背後に広がる稲荷山の山裾をはじめ、当山の周辺には、秋の深まりとともに「秋の七草」のひとつで、名月の観賞には欠かせないススキの穂が涼やかな風に揺れています。ススキは「薄」とも「芒」とも書き記され、文字からも何となく影の薄い「枯れすすき」のイメージがありますが、実は花言葉からも分かるように旺盛な繁殖力を特徴としています。月見のお供えとして用いられるのも、この旺盛な生命力にあやかったもので、収穫物を悪霊から守り、翌年の豊作を祈願するという意味があるそうです。また、先のイメージのせいか「花も咲かない」ように思われがちですが、ススキも花を咲かせ、穂が20~30㎝に伸びた後には白から黄色の小さな花が鈴なりのように咲き揃います。 【花の俳句】 仏たち暮れてひかりの芒山 鷲谷七菜子 【花言葉】 勢力、活力 【花見頃】 9月下旬~10月中旬(2007年) |
11月の声を聞く頃になると、境内奥の波切不動尊を囲むように紅葉が始まります。紅葉は「モミジ」とも読みますが、実際には「モミジ」いう植物はなく、「紅や黄色をもみ出だすように色づく木」から「もみず木」と呼ばれ「モミジ」と称されるようになり、木の葉が紅変・黄変する植物の総称として用いられるようになったようです。でも「モミジ」といえば、その代表はやはり楓(カエデ)でしょう。事実、楓を代表とする秋の紅葉の美しさは、古くから愛され親しまれてきたようで、楓にまつわるエピソードは沢山あります。例えば、葉の形が蛙の手足に似ていることから「蛙手(カエルデ)」と呼ばれるようになり、転じて「カエデ」になったという説はご存じの通りです。他にも、カエデの代表種である「イロハカエデ」の場合は、手のひらのように広がる7枚の葉先が「イロハニホヘト」と数えられることから呼ばれるようになったともいわれています。忙しくなる師走を前に心ゆるりと当山での紅葉狩りをお楽しみください。 【花の俳句】 大寺の片戸さしけり夕紅葉 一茶 【花言葉】 節制、遠慮、自制、大切な思い出 【花見頃】 11月上旬~中旬(2007年) |
青空に映える紅葉-平成19年11月11日撮影- |