法話集
葉月
プラス思考で生きる
全国高額納税者番付で毎年のように上位にランクされ、累積納税額日本一として知られる斎藤一人氏(銀座まるかん[元・日本漢方研究所]創業者)の著書を読みました。さまざまな職を経験し、実務を通じて培った独特の経営哲学で事業を成功に導いた方だけに、氏ならではの人生観と見識を持っておられるようで、例えば悩みについても、悩みというものは「どうにもならないから悩んでいる」ことが多いのが特徴だといいます。1年前に悩んでいたことが、1年後の今も続いているかといえば、大抵が(解決したのではなく)勝手に無くなっていることが多いというのです。つまり、悩みの解決には時間が大きく関係してくるので、大切なことは時間を味方に付ける事だともいっています。
氏は、その具体的な方法として「ツイてる、ツイてる」と一日に何回も唱える事と述べています。言葉には「言霊」といって強い力があり、肯定的な言葉を発していると身体にエネルギーがみなぎってくるそうで、そのエネルギーによって他も良くなっていくといいます。つまり、この世の中にはツイてる波動とツイてない波動があって、悩みながら溜め息をついた後でも必ず言葉の最後に「ツイてる」というと、ツイてる波動がドンドン入ってきて運勢が開けてくるというのです。単に悩みが消え去るのを待つのではなく、時間を味方にしたプラス思考の生き方をすれば必ず悩みは早期解決に向かうそうです。
斎藤氏は、また「過去は変えられるけど、未来は変えられない」といいます。一般的には「終わった事は変えられないから、今からの未来を変えるしかないんだ!」と考えますが、どんなに辛い過去や思い出も、もう一度やり直すことはできないが、その思い出があったからこそ(辛い過去に比べれば)幸せな今があるんだと思い、プラスの思い出に変えることが出来るという意味で心が本当に救われるというのです。そして、未来に起こる事は、すべて起こるべくして起こるのであり、それをしっかりと受け止めてプラスの波動で乗り越えてゆくことが大切であると述べています。
弘法大師の言葉の中に「心暗きときは、即ち遇うところ悉(ことごと)く禍なり。眼(まなこ)明らかなるときは、途に觸れて皆宝なり」という一節があります。心の状態によって、現前の世界が禍にもなり、宝にもなるという意味ですが、斎藤氏もいうように私達の心の在り方は、生きる運勢に大きく関わってくるといえます。もちろん、こうした教えや考え方は頭では分かっていても、悩み落ち込んでいる人が、プラス思考で生きる事はそう簡単なことではありません。
その難しさについては、有名な逸話があります。仏様が語り伝えた事は普遍的な教えであるとする「七仏通戒の偈」といい「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」という有名な句があります。「悪い事はしない善い事をするすると心は清らかになるこれが仏様の教えなり」という意味ですが、唐の時代の有名な詩人・白楽天が、道林禅師に「仏法の大意はどういうものか」と問うと、禅師は「悪い事をせず、善い事をしなさい」と答えたそうです。白楽天が「そんなことなら三歳の童子でもそういうでしょう」というと、禅師は「たとえ三歳の童子が言い得ても、八十の翁でも実践することは難しい」と答え、白楽天は深く礼拝して去ったといいます。
もっと分かりやすい例としては、日々の生き方を戒める語として「おいあくま」という言葉があります。これは、怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、負けるな、の頭文字を取って造られた言葉ですが、これを自らの日常に照らしてみれば、簡単なようで、なかなか実践するのは難しいのがお分かりでしょう。冒頭で紹介した、時間を味方に付けて運勢を開く方法として、「ツイてる、ツイてる」と日々唱える事、それによってツイてる波動を取り込むということも、簡単なようでかなり努力を要するといえます。
第三者の目には、どんなに幸せそうに見えても、人それぞれに悩みは尽きません。まさに、人生に苦悩はつきものですが、苦悩に直面した時こそ、その人の心の在り方が問われる時といえます。そんな事を意識しなければ、おそらくマイナス思考に陥って、暗い苦悩の日々を送ることになるのでしょう。それ程マイナス思考になることは簡単ですから、そうならないためにも、まず気持ちで負けないこと事が大切です。そして自分自身の力を信じることです。
医療関係の方から、こんな話を聞いたことがあります。同じ病気になった患者でも、助かる人と助からない人には明確な違いがあり、「先生お願いです。どんなことでもしますから助けてください」という人より、自分自身で「どんなことをしても助かるんだ」と強く思っている人の方が、助かる確率が高いそうです。まさに、心の在り方で運勢が決まることを実証するような話ですが、もし、苦悩に直面した時は「もう無理だ!」と限界の壁を作るのでなく、逆に、運勢を変えるチャンスと捉え、プラス思考で一歩一歩進む事を試みてください。そうすれば、必ずや苦悩の壁を乗り越えられると信じます。
今月はお盆の月です。ご先祖様をお迎えして、共に過ごしながら、是非、ご家族が揃って元気に、前向きにプラス思考で頑張っている事をお伝えしてあげてください。何よりのご供養になると思います。
(合 掌)
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